コンテンツの品質を向上させるための方策として、ドイツ語版Wikipediaに実験的な機能が搭載されることになった。
Wikipediaの創設者であるJimmy Wales氏はCNET News.comの取材に対し、この機能はドイツ語版Wikipediaコミュニティのメンバーが考案したもので、8月末までに実現される見込みであると述べた。この機能は記事の破壊を防止するための方策として考案されたという。
200万件以上の記事が229カ国語で展開されているWikipediaでは、ほとんど誰もが編集に参加することができる。その編集内容はただちにサイトに掲載されるため、Wikipediaは、公序良俗に反する内容や作り話を書き込もうとする悪質な行為に悩まされてきた。
その結果、例えばブッシュ大統領に関する記事など、大きな論争につながりそうな内容については、ロックがかけられている。
2005年秋に、Robert F. Kennedy元米司法長官の補佐官を務めたJohn Seigenthaler氏が、当時Kennedy氏の暗殺事件に関わっていたことを示唆するエントリが記事のなかに発見された。その後Wikipediaの記事の正確性に対する懸念は頂点に達した。また2006年の8月に入り、コメディアンのStephen Colbert氏がテレビ番組視聴者に対し、Wikipediaの記事に無意味な書き込みをするように呼びかけたため、同氏はWikipediaから追放処分を受けている。
しかしWales氏によると、今回ドイツ語版Wikipediaの管理者グループは、記事を保護するためのシステムを考案したという。同システムにより特に、正確性の維持に余念がない、注意深いコミュニティメンバーによる精査を免れてしまいがちな、目立たない誤りを含む記事が不用意に公開されてしまうことを防げるという。なお、ドイツ語版Wikipediaは英語版に次いで2番目の規模を誇る。
新機能が搭載された後でもこれまで通り、誰でも記事の編集ができる。しかし今後は、一定の期間(具体的にどれくらいの期間にするかはまだ定められていない)、Wikipediaに携わった経験があり、ある程度の信頼性を認められた人だけが、編集済みの記事をサイトに公開する権限を持つようになる。もし誰かが記事に誤った書き込みをしても、承認の過程を経なければ、その書き込みが公開されることはない。
一見すると大した進歩でもないようだが、Wales氏やその他のコミュニティメンバーにとっては、この機能がドイツ語版サイトで成功すれば、(各言語のバージョンにおいても)不正確な記述を含む記事の件数が大幅に減らしてゆく仕組みが確立しつつあることを意味する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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