もちろん、ITの歴史に詳しければ、Appleが独力でPCビジネスを展開していく判断を下したことが、Microsoftのデスクトップ市場独占につながった要因の1つだったことを思い出すかもしれない。MicrosoftのOSは、当初は嘲笑されたものの、バージョンを重ねるごとに少しずつ改善されていった。Microsoftはまた、多くのPCメーカーやソフトウェアメーカーと提携し、最終的にはAppleを市場の隅に追いやってしまった。
音楽市場もPC市場と同じか。この重要な問題について考える必要がある。人々は、PCの複雑な操作性に慣れている。しかし、音楽の場合、人々は何十年も前からステレオシステムを利用してきた。そして、操作が最も複雑なステレオでさえ、PCよりはるかに使いやすい。
アナリストによると、デジタル音楽市場で勝利を収めるためにはステレオシステムのようなシンプルさを取り入れる必要があるという。
American Technology Researchの金融アナリストShaw Wu氏は、「Appleのライバル各社が販売する製品は消費者を混乱させるだけだ。一般の人々には、製品の名前も、機能の良し悪しも分からない。一方で、Appleのアプローチはとてもシンプルでわかりやすい」と語っている。
これこそ、MicrosoftがWMP 11で対応しようとしている課題だ。アナリストによると、Microsoftが進めている音楽コンテンツプロバイダーやハードウェアメーカーとの提携は、同社が操作の難しさという障害に真剣に立ち向かおうとしている証拠だという。
MTVの最高デジタル技術責任者Jason Hirschhorn氏は、「包括的な提携関係が形成を大きく変える」と語っている。
WMP 11は、Appleに代わる選択肢を提供できる可能性がMicrosoftにあることを示している。
IDCのアナリストSusan Kevorkian氏は、「ベンダーとMicrosoftの間にはこれまでもしばしばズレがあった。音楽の再生デバイスを見ても、過去には、曲単位の販売だけをサポートするものがある一方で、サブスクリプション方式の販売のみに対応するものが存在した。だが現在は、定評のある音楽サービスプロバイダやデバイスメーカーがMicrosoftに協力しており、業界のシステムがわかりやすくなってきた」と語っている。
Microsoftの幹部らは、戦いは始まったばかりだとしている。
Windows Media Player製品事業部マネージャーGeoff Harris氏は、「デジタル販売は、(音楽)市場全体の5%にすぎないことを忘れてはならない。音楽販売の95%は今も従来の手段で行われているのだ。要するに、(この市場は)まだ黎明期にあるということだ」と語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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