米最高裁判所は米国時間27日、ファイル交換をめぐる裁判で、映画会社およびレコード会社各社に対して全面勝訴の判決を言い渡した。これにより、Groksterなどのピアツーピア(PtoP)企業は、自らが運営するネットワーク上で行われた著作権侵害行為の責任を問われる可能性が生じることになった。
同訴訟を担当した9人の裁判官は、全員一致で下した判決のなかで、著作権侵害を助長する積極的な意図を持って事業を構築する企業は、顧客の違法行為について責任を問われることになると述べた。
David Souter判事は、統一意見書のなかで、「われわれは、明確な説明を記述したり、侵害を助長する各種の方策を講じるなどして、著作権侵害を助長する目的で考案物を流通させるものは、侵害行為の結果に対する責任を負うべきだと考える」と述べている。
この判断は、著作権を保有する企業各社に予想外に大きな勝利をもたらすとともに、ファイル交換が一般化したインターネットの状況を塗り替えることにもなる。
この判決は当面、レコード業界や映画業界がファイル交換企業に対する訴訟を起こす際の強力な武器となるだろう。また、Apple ComputerのiTunesのような合法的な音楽配信サービスにとってもメリットをもたらす可能性がある。iTunesにとって、無償でダウンロードできる楽曲は最も強力な競争相手だが、今回の判決でこれらの楽曲がさらに非合法化されるからだ。
しかし、この判決によりファイル交換ネットワークが即時に閉鎖されることにはならない。最高裁の判決は、裁判を下級裁判所に差し戻しており、そこでGroksterとStreamCastの両社に対する証拠が27日の判決を踏まえて再検討されることになる。
レコード会社や映画会社は、今回の判決を自陣営の明らかな勝利だとして、これを歓迎する声明を発表している。
Warner Music GroupのCEO(最高経営責任者)、Edgar Bronfmanは声明のなかで、「スタジオミュージシャン、作曲家、そしてエンターテイメント業界関係者が発展や革新の犠牲になる必要はない、というのが今日の歴史的判決の最も重要な趣意だ。今回の判決により、アーチストやクリエイターのコミュニティも、IT業界と共存/繁栄できるようになる」と述べている。
これに対し、この裁判に関わったPtoP企業側では、今回の判決により多岐に渡るテクノロジー企業を相手取った訴訟が大量に発生する可能性が生まれるとの警告を発した。さらに、これらのPtoP企業各社は、引き続き各々のソフトウェアの配布を行い、さらに自らの行為には違法な点がないことが明らかにされることを期待していると述べている。
「われわれは、Morpheusが著作権侵害行為を助長/推奨してはいないことが証明されると信じている」とStreamCastのCEOであるMichael Weissは述べている。「われわれは今後もこの戦いを続け、引き続き技術革新を行い、新たな製品を生み出していく」(Weiss)
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