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東芝に好材料相次ぐも株価の反応はいまひとつ

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 ここにきて好材料が相次いでいる東芝だが、株価の反応はいまひとつ鈍い。同社の株価は400円台前半の水準で低迷を続け、一部市場関係者からは「総合電機の来期の業績見通しに対する不透明感が東芝の株価に表れているのではないか」との見方も出ている。

 東芝の株価が3月30日、5日ぶりに前日比4円高の445円と小幅反発した。これは29日に、同社が1分間で充電可能な新型充電式電池を開発したと発表したことが買い手掛かり材料となったもの。新型電池は負極材料にリチウムイオンをスムーズに吸蔵することが可能で、かつ急速に充電しても有機電解液を分解することのないナノ微粒子を新材料として採用。これにより1分間で電池容量の80%まで充電することができるキャパシタ並みの急速充電性能を実現するとともに、充放電を1000回繰り返した後の容量低下もわずか1%に抑えるなど、優れたサイクル寿命性能も達成している。東芝では「電力・産業用途などへの応用に向けた製品開発を行い、2006年中の製品化を目指す」としており、今後、携帯電話やパソコン、電気自動車向けなどへの需要が見込めそうだ。

 また、これに先立つ18日には、今3月期末に1株3円配当を実施し、合計で年5円配当と、前期比で2円増配すると発表した。しかし、同社の増配は事前に予想され、株価にかなり織り込まれていたこともあり、市場の受け止め方は「増配の発表が逆に目先好材料出尽くしとなった格好」(準大手証券)との見方が多く、株価に目立った動きはみられなかった。

 さらに、半導体部門の市況軟化が響き、今3月期の連結経常利益が前期比24%減の1100億円と減益の見通しにあることも、株価の上値を重くしているようだ。ただ、純利益は特別損計上が前期でほぼ一巡したこともあり、同56%増の450億円と連続大幅増益の予想にある。また、これまでは来期の業績について半導体部門の復調が期待視されるなかで、経常利益も再び増益に転じてくることが有力視されてきた。しかし、世界的なデジタル家電需要の回復遅れなどに伴い、ここにきてこの回復シナリオにも不透明感が生じている。

 さらに、2002年11月に米Lexar MediaがNAND型フラッシュメモリ関連技術に関する機密事項を東芝が不正に使用したとして損害賠償を求めていた訴訟で、3月24日に米カリフォルニア州の第一審(サンタクララ郡)裁判所が陪審により、東芝並びに東芝の米子会社に対して4億6500万ドルの支払いを命じる評決が下されたことも懸念材料となっている。これに対し東芝では「当社はNAND型フラッシュメモリ技術の発明企業であり、これまでの開発をリードしている。今回の評決は不当であると考えており、当社の主張が認められるよう、あらゆる法的手段を用いて行く」(会社側)と説明している。

 この第一審の結果を受けての各証券系の調査機関の反応は、強弱感が分かれている。東芝が「今回の陪審による評決には誤りがあると考えており、2004年度の会社側収益見通しを見直す予定はない」と強気の姿勢を変えていないことから、日興シティグループ証券では、「現時点で訴訟の方向性を議論するのは時期尚早」として、投資判断「1H」(強気)と目標株価620円を継続している。これに対しモルガン・スタンレー証券会社では、「訴訟の先行きは不透明」としながらも、「当面の収益の柱であるフラッシュメモリ事業の下方リスクが増してきた」とし、投資判断で強気の「オーバーウエート」から中立の「イコールウエート」に、目標株価も510円から490円に引き下げている。

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