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谷川藩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

谷川藩(たにがわはん[1][注釈 1])は、和泉国日根郡谷川村(現在の大阪府泉南郡岬町多奈川谷川)を居所として、江戸時代初期にごく短期間存在した藩。1606年、桑山清晴が祖父桑山重晴の遺領のうち1万石を分与されて成立したが、1609年に改易された。

歴史

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谷川藩の位置(大阪府内)
大坂
大坂
堺
岸和田
岸和田
御所
御所
谷川
谷川
関連地図(大阪府)[注釈 2]

前史

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桑山重晴豊臣秀長の麾下に属した武将であり、天正13年(1585年)の紀州征伐後は秀長に与えられた紀伊国和歌山城の城代を務めて3万石を領した[4][5][6]。その後、文禄4年(1595年)の秀次事件の際に伏見城の守衛にあたったことが功績とされて[7]和泉国谷川において1万石を加増された[8]

慶長5年(1600年)の関ヶ原の役の際、桑山重晴(治部卿法印)およびその嫡孫の一晴(重晴の長男・一重の子)は東軍に属し、和歌山城を守備するとともに、西軍に属した新宮城堀内氏善に対処した[8]。同年、桑山重晴は致仕し、その領地4万石のうち和歌山城と2万石を一晴が継いだ[8]。1万石は桑山元晴(重晴の次男)に与えられ[8][9]、谷川1万石は重晴の所領(隠居料)とされたが、このほかに一晴が4000石、元晴が2000石を重晴の隠居料として拠出したため、重晴は合計1万6000石を隠居料として領有することとなった[8][9][注釈 3]

立藩から廃藩まで

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慶長11年(1606年)、桑山重晴が死去した[7][8]。重晴の養老料1万6000石のうち6000石は元晴に与えられ、1万石は桑山清晴(元晴の子)に与えられた[8]。清晴は和泉国日根郡谷川に陣屋を置いた[3]。『角川日本地名大辞典[7]・『藩と城下町の事典』[3]は、清晴が1万石を分与されたことをもって谷川藩の立藩とする。

慶長14年(1609年)、桑山清晴は幕府より勘気を被って蟄居処分となった[10][7][11][注釈 4]。その所領はその父・桑山元晴大和国御所藩領に編入され、谷川藩は廃藩となった[7][12]

後史

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谷川藩領を編入した御所藩桑山家は、寛永6年(1629年)に無嗣を理由として廃藩・絶家になった[12]

領地

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中世、当地には興福寺領の荘園である谷川荘が所在した[13]。慶長年間には「桑山氏勝」によって豊国崎寄りに谷川港が開かれたが、土砂の堆積を受けて延宝3年(1675年)から元禄2年(1689年)にかけて観音崎寄りに港を移した[14]。谷川港は漁港として機能したほか、和泉瓦や燃料用薪炭の積み下ろし地として繁栄した[14]

歴代藩主

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桑山家

外様。1万石。

  1. 桑山清晴

脚注

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注釈

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  1. ^ 日本郵便の郵便番号検索によれば、「谷川」は「たにがわ」と読む[2]。『藩と城下町の事典』は「たにかわ」とする[3]
  2. ^ 赤丸は本文内で藩領として言及する土地。青丸はそれ以外。
  3. ^ 桑山一晴は1万6000石を領してのちに大和国葛下郡布施に移り[9]桑山元晴は(従前の所領2000石と合わせ)大和国葛上郡内で1万石を治めることとなった(御所藩[9]。桑山一晴は慶長9年(1604年)に没し、弟で養子の桑山一直(一重の次男)が1万6000石を継ぎ、のちに大和国新庄に移った(大和新庄藩[8]
  4. ^ 『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』の「桑山清晴」の記事によれば、「将軍のとがめをうけ除封」とある[11]。慶長14年(1609年)時点の将軍は徳川秀忠。『角川日本地名大辞典』の「御所藩」の項目によれば、谷川藩は「徳川家康の勘気にふれて改易された」とある[12]

出典

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  1. ^ 谷川藩”. 世界大百科事典. 2024年7月28日閲覧。
  2. ^ 泉南郡岬町の郵便番号一覧”. 日本郵政. 2024年7月26日閲覧。
  3. ^ a b c 『藩と城下町の事典』, p. 427.
  4. ^ 『寛政重修諸家譜』巻第九百九十一「桑山」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第六輯』pp.166-167
  5. ^ 桑山重晴”. 朝日日本歴史人物事典. 2024年7月28日閲覧。
  6. ^ 桑山重晴”. デジタル版 日本人名大辞典+Plus. 2024年7月28日閲覧。
  7. ^ a b c d e 谷川藩(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2024年7月28日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h 『寛政重修諸家譜』巻第九百九十一「桑山」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第六輯』p.167
  9. ^ a b c d 『寛政重修諸家譜』巻第九百九十二「桑山」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第六輯』p.171
  10. ^ 『寛政重修諸家譜』巻第九百九十二「桑山」、国民図書版『寛政重修諸家譜 第六輯』p.172
  11. ^ a b 桑山清晴”. デジタル版 日本人名大辞典+Plus. 2024年7月28日閲覧。
  12. ^ a b c 御所藩(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2024年7月28日閲覧。
  13. ^ 谷川荘(中世)”. 角川日本地名大辞典. 2024年7月28日閲覧。
  14. ^ a b 谷川村(近世)”. 角川日本地名大辞典. 2024年7月28日閲覧。

参考文献

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