幾代通
幾代 通(いくよ とおる、1923年(大正12年)3月30日[1] - 1991年(平成3年)1月31日[1])は、日本の法学者。専門は民法。学位は、法学博士(東京大学・論文博士・1962年)。東北大学名誉教授。従三位勲二等。我妻榮門下。弟子に徳本伸一など。
来歴
[編集]1923年(大正12年)3月30日、福井県福井市に生まれる[1]。1939年(昭和14年)3月、東京府立第一中学校四年修了[1]。1942年(昭和17年)3月、第一高等学校文科甲類卒業[1]、同年4月東京帝国大学法学部法律学科入学[1]。1944年(昭和19年)9月、東京帝国大学法学部法律学科卒業[1]。
第二次世界大戦中は海軍に勤務し、終戦後の1946年(昭和21年)10月東京大学法学部大学院特別研究生となる[1]。1949年(昭和24年)5月14日、名古屋大学法経学部助教授[1]、1950年(昭和25年)4月、同大学法学部助教授[1]、1956年(昭和31年)12月1日同教授[1]。1961年(昭和36年)4月から東北大学法学部教授を併任した[1]。1961年(昭和36年)8月1日、東北大学法学部教授へと配置転換された[1]。1962年(昭和37年)3月、東京大学より法学博士の学位を取得[1](学位論文「不動産登記法」)。1978年(昭和53年)4月、東北大学法学部長[1]。
1986年(昭和61年)3月31日、東北大学を停年退官[1]、同年4月1日同大学名誉教授[1]、上智大学法学部教授[1]。1988年(昭和63年)4月29日、紫綬褒章受章[1]。
1991年(平成3年)1月31日死去[1]。叙従三位勲二等授旭日重光章[1]。
人物
[編集]民法総則、不法行為、不動産物権変動と登記、その他不動産登記法関連の研究で名高い。穏当で謙虚な人物だったとされ、「この教科書という概念がまた、二〇年間法律教師をやりながら、私にはまだよくわからない」などその著書のはしがきに人物を偲ばされる記述が見受けられる[2]。
取消やこれに準じる無効への民法94条2項の類推適用という法律構成を提唱した[3]。かかる法律構成は、現在は当然のこととなっているが、当時は画期的なことで評価は高い。バランスに富み、精緻な理論に支えられた研究が多い[4]。
著書
[編集]- 『法律行為の取消と登記』(於保還暦記念論集(上))
- 『民法総則』(青林書院、1969年)
- 『不法行為』(筑摩書房、1977年)
- 『不動産登記法』(有斐閣、1989年)
- 『民法研究ノート(法学教室選書)』(有斐閣、1986年12月)