アルドリン
アルドリン | |
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1,2,3,4,10,10-Hexachloro- | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 309-00-2 |
ChemSpider | 10292747 |
UNII | OZE3CLY605 |
KEGG | C07552 |
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特性 | |
化学式 | C12H8Cl6 |
モル質量 | 364.91 g mol−1 |
外観 | 無色固体 |
融点 |
104 °C, 377 K, 219 °F |
水への溶解度 | わずかに可溶 |
蒸気圧 | 7.5 × 10−5 mmHg @ 20 °C |
危険性 | |
NFPA 704 | |
引火点 | 66 °C (151 °F) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
アルドリン(Aldrin)は、1970年代に多くの国で使用が禁止されるまで広く使われていた有機塩素化合物系の殺虫剤である。無色の固体で、禁止前は種子や土壌用の殺虫剤として大量に用いられていた。アルドリンや関連するシクロジエン系の殺虫剤は、残留性有機汚染物質としてよく知られている[1]。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている[2] 。
製造
[編集]アルドリンは、ディールス・アルダー反応でノルボルナジエンにヘキサクロロシクロペンタジエンを付加させることによって製造される[3]。
同様に、イソドリンとして知られるアルドリンの異性体は、ヘキサクロロノルボルナジエンにシクロペンタジエンを反応させることによって得られる[4]。
アルドリンは、この種の反応の共同発明者であるドイツの化学者クルト・アルダーの名前に因んで命名された。1946年から1976年の間に、推定2億7000万kgのアルドリン及び関連シクロジエン殺虫剤が製造された。
土壌、植物表面、昆虫の消化器官の中で、アルドリンは酸化されて、より強い殺虫力を持つエポキシドのディルドリンになる。
環境影響と規制
[編集]関連するポリ塩素系殺虫剤と同様に、アルドリンは高い脂溶性を持つ。水への溶解度はわずか0.027 mg/Lであり、環境中への残留性を深刻化させている。そのため、アルドリンは残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約で禁止されている。アメリカ合衆国では、1974年に承認を取り消されており、EUでも植物防護への使用が禁止されている[5]。
日本でも1970年にディルドリンなどともに農産物から残留農薬として検出されると問題視されるようになった[6]。その後、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (化審法) 昭和四十八年 法律百十七号 第二条 2により第一種特定化学物質として指定されている[7]
安全性
[編集]ラットの半数致死量は、経口で30-60 mg/kgであるが、魚に対する毒性は非常に強く、マスやブルーギルに対する半数致死量は、0.006-0.01 mg/kgである[1]。
出典
[編集]- ^ a b Robert L. Metcalf “Insect Control” in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry” Wiley-VCH, Weinheim, 2002. doi:10.1002/14356007.a14_263
- ^ 毒物及び劇物取締法 昭和二十五年十二月二十八日 法律三百三号 第二条 別表第二
- ^ Jubb, A. H. (1975). Basic Organic Chemistry, Part 5 Industrial products. London: Wiley. ISBN 0-471-85014-4
- ^ Bird, C. W.; Cookson, R. C.; Crundwell, E. (1961). “946. Cyclisations and rearrangements in the isodrin?aldrin series”. Journal of the Chemical Society (Resumed): 4809. doi:10.1039/JR9610004809.
- ^ Chemicals Regulation Directorate. “Banned and Non-Authorised Pesticides in the United Kingdom”. 1 December 2009閲覧。
- ^ ジャガイモにも汚染 ディルドリン『朝日新聞』1970年(昭和45年)10月1日朝刊 12版 3面
- ^ 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令 昭和四十九年六月七日 政令第二百二号 第一条 四