Chromebook
Googleが開発しているオペレーティングシステム「Google Chrome OS」を搭載しているノートパソコンのシリーズ
Google Chromebook(グーグル クロームブック)は、Googleが開発しているオペレーティングシステム「ChromeOS」を搭載しているノートパソコンのシリーズである。Chromebox(クロームボックス)及びChromebase(クロームベース)は、そのデスクトップのシリーズ。
概要
編集日本語フォントでは、標準フォントとサンセリフ(ゴシック体)フォントにNoto Sans CJK JP、セリフ(明朝体)フォントにモトヤG04明朝 (MotoyaG04Mincho)、固定幅フォントにNoto Sans Mono CJK JPが設定されている。ユーザー自ら新しいフォントのインストールはできないが、他のOSのChrome同様あらかじめインストールされているフォントの中から別のものに変更することはできる。
更新速度の違いによってStable版・Beta版・Dev版が存在し、ユーザーの目的や嗜好によって設定の概要からバージョンの変更がである。
2017年8月には企業向けの「Chrome Enterprise」も選択できるようになっている[1]。一括管理のための管理コンソールが提供されており[2]、端末の集中管理がしやすいため、学校[3] や会社[4] での導入を Google は紹介している。
特徴
編集- HTML5 (JavaScript) やAdobe Flash[注 1][注 2] などで構成されたWebアプリが動作する[注 3]。一方で、Linuxアプリケーションを実行することも可能。
- ChromeウェブストアではChromeアプリ・拡張機能が配布されているが、これらの中身は単に既存のWebアプリサイトへのショートカットである場合と、Chrome固有のAPIを用いたローカル動作する
- 一部の製品では、Chrome OS内でGoogle Play Storeが利用できる。すなわち、Androidアプリケーションをインストールすることが可能である。[5]
- 同じアカウントでログインしたデスクトップChromeやChrome OS機との間で、アプリ・拡張機能・テーマ・自動入力・パスワードなどが同期される[注 4]。
- OSアップデートは完全にバックグラウンドで実行される。またOSはユーザーストレージ空間から切り離されている(スマートフォンに近い)。
上記の特徴により、新品のChromebookを購入した直後やPowerwash (端末初期化) 直後でも、数分で元の環境に戻る。
- 同スペックのWindows機と比較して動作が軽い。
- ユーザー側でウイルス対策する必要がない。
- Android端末とBluetoothペアリングしていればログイン時パスワード入力を省略できる(Smartlock)。
- HID準拠のマウス・ヘッドセット等、USBマスストレージクラス準拠のUSBメモリ・外付けHDD等はそのまま使える。
- キーボードはChrome OSに特化した固有のファンクションキーなどを備えている。
- プリンタを直接接続することはできない。Google Cloud Print対応プリンタやChromeインストール済みのWindows/Mac/Linux機経由で印刷する必要がある。
- Wi-Fiまたは有線ネットワーク接続のプリンタを使用できる[6] が、印刷にCUPS (旧称Common Unix Printing System) を利用するため、日本国内メーカーのプリンタは対応していないものが多い[7]。
- Windows用ドライバのインストールが必要になる周辺機器は使えない。
- 内蔵の光学ドライブも搭載せず、Blu-rayやDVDのビデオを再生することはできない。
- ファイルシステムは、ダウンロードフォルダを除いてGoogleドライブに保存する前提で作られている。実際に使われるファイルのみ、自動的にクラウド上からローカルストレージに一時キャッシュされるため、扱うファイルの大きさによっては開くまで時間がかかる。一時キャッシュされたファイルはオフラインで扱える。手動でファイルをキャッシュさせることもできる。
- Chromecastへのキャスト機能がOSにビルトインされている。
- Chromeリモートデスクトップのクライアントは動くが、ホストにはなれない。
- 2017年8月にはChrome OSの企業版「Chrome Enterprise」が発表され、プリンタ管理、OSアップデートの制御、盗難防止などの機能が追加されたほか、24時間365日のサポートも提供されるようになった。また、Microsoft Active Directoryにも対応しており、既存のActive DirectoryのIDなどを使用して、Windows PCと併せて一元管理可能になっている[1]。
販売
編集- 2011年5月に、Google がサムスン電子(Samsung)とエイサー(Acer)から最初のChromebookが提供されると発表し[8]、同年6月よりSamsung製Chromebookの市販アメリカ等で開始された[9]。日本では2014年7月16日からAcer製Chromebookが法人ユーザーと教育関係機関向けに先行販売された[10]。一般消費者(コンシューマ)向けは同年11月11日よりデル(Dell)が最初の販売を開始し[11]、Acerも11月13日から販売を行っている[12]。
- 2024年4月末現在、GoogleはChromebookの公式ホームページを開設しており、アメリカ、イギリス、イタリア、インド、オーストラリア、オランダ、カナダ、スウェーデン、スペイン、台湾、チェコ、デンマーク、ドイツ、日本、ノルウェー、フィンランド、ブラジル、フランス、ポーランド、ポルトガル、南アフリカ共和国、メキシコの各国向けに情報を発信している[13]。ただしこれら以外の国でも購入は可能であり、例えばAsusは過去にアイルランド[14]、大韓民国[15]やシンガポール[16]でも一般家庭向けにChromebookを販売した実績がある。
- 2024年4月末時点で、Chromebookの小売を行っているメーカーはAcer[17]、Asus[18]、Dell[19]、HP(ヒューレット・パッカード)[20]、Lenovo(レノボ)[21]、Samsung[22]の6社である。また、かつてChromebookの販売を行っていたメーカーとしてAOpen(エーオープン)[23]、Fujitsu(富士通・FCCL)[24]、Google(Chromebook Pixel・Pixelbook・Pixelbook Go)、Haier(ハイアール)[25]、Hisense(ハイセンス)[26]、LG(LGエレクトロニクス)[27]、Poin2(ポインツーラボ)[28]、Toshiba(東芝)[29]が存在する。
- 日本では2014年から一般消費者向けにChromebookが販売されていたが、2019年の「GIGAスクール構想」の開始、及び2020年のMicrosoft Windows 7サポート終了を機に注目を集めるようになった。
- 「GIGAスクール構想」関連では、公立小中学校における学習用端末のOS別シェア(2021年7月時点)は、Chromebook(Chrome OS)が市場占有率で40%とトップシェアを獲得していたことが文部科学省の調査で判明した。また、メーカー別のシェアでは上位3位が上から順にNEC(NECパーソナルコンピュータ:シェア30%)、Lenovo(レノボ・ジャパン:23%)、HP(日本HP:14%)であることがMM総研の調査で判明している[30]。
- Windows 7搭載のPCを刷新する際に低価格のChromebookを採用する企業が増え、日経クロステックでは都市型ホームセンター大手の東急ハンズやエスカレーター大手のフジテックがChromebookを採用する事例を紹介した[31][32]。
- 2024年4月時点で、日本ではAcer[33]、Asus[34]、HP[35]、Lenovo[36]の4社が個人向けに製品を販売している。他に、NEC(日本電気)[37]とSHARP(シャープ)[38]が教育関係機関向けのChromebookを販売している。
- Chromebookの認知度上昇や販売台数増加を受け、一部の日系PCメーカーは小売・企業向けのChromebookも一時期取り扱っていた。しかし、いずれも2024年4月末時点で終売となっている。
脚注
編集注釈
編集- ^ 一部Webアプリで動画が再生されない、日本語が文字化けするなど、Linux版Flash固有の問題がある。
- ^ Adobe Flashは2020年12月31日にサポートを終了した。
- ^ Ver57以降WebAssemblyに対応した。
- ^ ダウンロードフォルダ、日本語の入力設定とユーザー辞書は同期されない。
出典
編集- ^ a b 清嶋直樹 (2017年8月23日). “米グーグルが企業向け「Chrome OS」、Windows PCからの移行促す”. 日経 xTECH (日経BP) 2020年1月6日閲覧。
- ^ Chromebook management console
- ^ Chromebooks and Chromeboxes for Education
- ^ Chromebooks and Chromeboxes for Business
- ^ Chromebook に Android アプリをインストールして使用する - Chromebook ヘルプ
- ^ プリンタを設定する - Chromebook ヘルプ
- ^ chromebookから既存プリンタを使って印刷する方法
- ^ “A new kind of computer: Chromebook”. Google Official Blog. (2011年5月11日) 2022年11月3日閲覧。
- ^ 滝本麻貴(翻訳) (2011年6月28日). “Googleのクラウド指向を具現化する「Chromebook」、成否はハードウェアが握る”. EE Times Japan (ITmedia Inc.) 2022年11月3日閲覧。
- ^ 多和田新也 (2014年7月17日). “エイサー、8.5時間駆動の11.6型「Chromebook C720」を国内で発売”. PC Watch (株式会社インプレス) 2022年11月3日閲覧。
- ^ 劉尭 (2014年11月11日). “デル、Chromebook 11を個人向けに販売開始”. PC Watch (株式会社インプレス) 2022年11月2日閲覧。
- ^ 多和田新也 (2014年11月11日). “日本エイサー、Chromebookを13日より一般発売”. PC Watch (株式会社インプレス) 2022年11月2日閲覧。
- ^ Google Chromebook - ノートパソコン、セパレートタイプ、タブレット(Google)
- ^ “Chromebook; Laptops For Home”. ASUS Ireland 2022年11月3日閲覧。
- ^ “Chromebook; 노트북 노트북”. ASUS 한국 2022年11月3日閲覧。
- ^ “Chromebook; Laptops For Home”. ASUS Singapore 2022年11月3日閲覧。
- ^ “/ Acer Chromebooks”. Acer Inc.. 2022年11月3日閲覧。
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- ^ “HP Chromebooks”. HP Development Company, L.P.. 2022年11月3日閲覧。
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- ^ “Samsung Chromebooks”. SAMSUNG. 2022年11月3日閲覧。
- ^ Masahide Omura (2020年5月7日). HelenTech (HelenTech.). https://www.helentech.net/aopen-announces-chromebook-commercial-tab-10/+2022年11月3日閲覧。
- ^ “FMV Chromebook”. Fujitsu Client Computing Limited. 2022年11月3日閲覧。
- ^ Frederic Lardinois (2015年4月1日). “Hisense And Haier Launch $149 Chromebooks”. TechCrunch (Yahoo!) 2022年11月3日閲覧。
- ^ Nate Ralph (2015年4月11日). “Hisense Chromebook review: A cheap Chromebook that cuts the right corners”. CNET (a Red Ventures company) 2022年11月3日閲覧。
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- ^ Dan Ackerman (CNET News) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子 (2014年3月18日). “Chromebookは本当に企業で使えるか?”. CNET Japan (朝日インタラクティブ) 2022年11月3日閲覧。
- ^ アイティメディア株式会社 (2024年5月23日). “Next GIGAで学習用端末のOSシェアが大きく変わる? PCメーカーやプラットフォーマーの動き【後編】”. ITmedia PC USER Watch. 2024年5月23日閲覧。
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- ^ “Chromebook ノートパソコン、PC、Chromebook タブレット”. Lenovo. 2022年11月3日閲覧。
- ^ “GIGAスクール 教育向け端末”. NEC Corporation. 2022年11月3日閲覧。
- ^ “Dynabook Chromebook C1の特徴”. SHARP. 2022年11月3日閲覧。
- ^ 『国内メーカー初のコンシューマ向けChromebook 「FMV Chromebook 14F」「FMV Chromebook WM1/F3」を発売開始』(プレスリリース)富士通クライアントコンピューティング株式会社、2021年11月16日 。2021年12月14日閲覧。
- ^ 大河原克行 (2021年12月2日). “【大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」】 なぜ富士通ブランドのChromebookが誕生したのか?「FMV Chromebook 14F」の狙いを聞く”. PC Watch (株式会社インプレス) 2022年11月2日閲覧。
- ^ “NEC Chromebook for テレワーク”. NEC Corporation. 2022年11月3日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- 存在感高まるChromebook 教育向け躍進、シェア24%へ(日本経済新聞2021年2月2日記事)
- 手持ちのPCにChrome OSをインストールする方法。古いパソコンをChromebookのように活用できる! ほか(PC Watch, 2021年5月10日記事)
- GIGAスクール構想の実現について (文部科学省)
- Chromebook、GIGAスクールでシェア43%の衝撃! 大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」 - PC Watch (2021年2月18日)
- 「GIGAスクール構想対象自治体の約半数がChromebookを選択」とGoogle - ITmedia NEWS (2021年02月18日)
- 令和4年度から県立高等学校において生徒1人1台端末を活用した新たな学びを推進します - 山形県教育委員会
- 令和3年度(2021年4月)からGIGAスクールが始まります! - 西東京市教育委員会
- GIGAスクール通信 - 札幌市教育委員会
- GIGAスクール構想について - 木更津市
- GIGAスクール構想で注目を集める Google Chrome OS 搭載の Chromebook とは - ICT Business Online