陽子線治療
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陽子線治療(ようしせんちりょう、proton beam therapy)は、粒子線治療(りゅうしせんちりょう、particle therapy)に分類される放射線療法の一手法。がんに対して用いられ、日本国内では約20施設に治療装置が導入されている[1]。
概要
編集線形加速器、サイクロトロン、シンクロトロンなどの加速器から患部に陽子線を照射する[2]。
2016年診療報酬改訂で小児がんへの陽子線治療が公的医療保険の対象となった[3]。
生物学的な効果は、X線の照射に対して陽子線が1.1倍、重粒子線が3倍とされる[3]。
陽子線治療の適用部位に関しては、胃や腸は常時動いていて正確に照射することが困難なため、穿孔の危険性もあるので胃癌や小腸癌、大腸癌の原発巣に対しては実施されていない[3]。
適用
編集他
作用原理
編集中エネルギー(250MeV程度まで)の陽子線を照射してブラッグ曲線のピークと腫瘍の位置を一致させて、選択的に腫瘍に放射線を与えつつ危険臓器(正常細胞)の障害を抑える。
陽子線治療機関
編集- 筑波大学陽子線医学利用研究センター
- 国立がん研究センター東病院
- 静岡県立静岡がんセンター
- 若狭湾エネルギー研究センター
- 兵庫県立粒子線医療センター
- 南東北がん陽子線治療センター
- 相澤病院[4]
- 名古屋陽子線治療センター
- メディポリス国際陽子線治療センター
- 福井県立病院
- 大阪陽子線クリニック(2017年9月稼働開始)
- 京都府立医科大学附属病院永守記念最先端がん治療研究センター (2019年稼働予定)
- 湘南鎌倉総合病院
そのほか
北海道大学病院陽子線治療センター、札幌禎心会病院陽子線治療センター、北海道大野記念病院札幌高機能放射線センター、南東北がん陽子線治療センター、高井病院、兵庫県立粒子線医療センター付属神戸陽子線センター、岡山大学・津山中央病院共同運用がん陽子線治療センター、メディポリスがん粒子線治療研究センター、など
脚注
編集- ^ 「がん陽子線装置、小型に」『日経産業新聞』2021年6月2日イノベーション面
- ^ 稲田哲雄「陽子線治療」『RADIOISOTOPES』1989年 38巻 1号 p.28-39, doi:10.3769/radioisotopes.38.28, 日本アイソトープ協会
- ^ a b c 小児がんに対し陽子線治療が保険適用に
- ^ “先進がん治療の拠点 松本の相沢病院「陽子線治療センター」完成”. 長野日報 (2012年9月28日). 2016年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月23日閲覧。
参考文献
編集- 河内清光, 金井達明, 松沢秀夫 ほか「スポット走査法を用いた陽子線治療装置」『日本医学放射線学会雑誌』1982年 42巻 5号 p.467-475, 日本医学放射線学会
- 稲田哲雄, 早川吉則, 丸橋晃 ほか「高エネルギー垂直陽子線治療装置」『日本医学放射線学会雑誌』1984年 44巻 6号 p.844-853, 日本医学放射線学会
- 辻井博彦「陽子線治療の進歩と展望」『日本放射線腫瘍学会誌(The Journal of JASTRO)』1994年 6巻 2号 p.63-76, doi:10.11182/jastro1989.6.63, 日本放射線腫瘍学会
- 勝井邦彰, 沖本智昭, 金澤右「陽子線治療」『岡山医学会雑誌』2015年 127巻 2号 p.155-157, doi:10.4044/joma.127.155, 岡山医学会