鈴 (仏具)
鈴(りん、れい、英: Singing bowl)とは、仏具の1つである。
りん
編集「鈴」(りん)とは、仏具の1つ。「お鈴」(おりん)ということもある[1]。「錀」とも書く。「鈴台」などとともに用いる。
りんの概要
編集- 用法
- 縁を棒で打ち鳴らして用いる。
- 「鈴台」と呼ばれる台の上に、「鈴布団」と呼ばれる中敷を置き、その上に「鈴」を乗せて用いる。
- 勤行の際に、経典などの読誦の開始・区切り・終了の合図として打つ。また、合掌を解く合図としても打つ。
- 鈴を打つ際に用いる棒を、「鈴棒」(りんぼう)、「撥」(ばち)、「棓」(ばい)と呼ぶ。
- 形状・大きさ
- 形状は、鉢状、もしくは壷状。
- 大きさは、仏壇では直径が二寸三分(7cm)から五寸(15cm)程度の小型の物が用いられる。
- 直径が六寸(18cm)以上の大型の物は、寺院用仏具として扱われる。寺院用の物は、「鈴」(りん)とは呼ばずに、「磬子」(『きんす』もしくは『けいす』)・「磬」・「鏧」(読みはいずれも「きん」)などと呼称する。縁が厚くなり、色も黒く漆を焼付けたものが多い。
その他
編集- 印鏧
- 小型の「鈴」に布団と柄を付けて携帯できるようにしたもの。
- 高台りん
- 金属製の足と一体になった物は、「高台りん」と呼ばれる。
鈴台
編集「鈴台」(りんだい)とは、「鈴」を置くための仏具のこと。
- 形状
- 一般に丸型、六角型の物が多い。
真宗大谷派用の鈴台とその作法について
編集- 真宗大谷派で用いられる「鈴台」
- 真宗大谷派では、正六面体の形状をした専用の「鈴台」を用いるのが正式である[2]。
- 鈴台側面の透かしの形状により、「後平型」・「八猪目型」・「壺繰型」がある。
- 真宗大谷派においては、鈴台を畳の上に直に置いて用いるのが正式な作法である。小型の鈴台の場合は、畳の上におくと打ちにくいため、経卓(きょうじょく)などの上において用いることも許容されている。
- 大谷派専用の鈴台を用いる際は、「雲輪」(くもわ)を用いる。小型の鈴台の場合は、「雲輪」の略式として「金襴輪」(きんらんわ)を用いる場合もある。「鈴ふとん」は用いない。
- 真宗大谷派における「鈴」の作法
- 「撥」(鈴棒)は「鈴」の中に納める[3]。「リン棒台」は用いない。
- 勤行中に「撥」を置く位置は、「鈴台」の上の「雲輪」(「金襴輪」)の右側に置くのが作法である。
れい
編集鈴(れい)とは、密教では、小型の鐘に似た手持ちの仏具である。金剛鈴(こんごうれい)、宝珠鈴(ほうじゅれい)などが知られる。
金剛鈴の種類
編集- 塔鈴(とうれい)
- 宝珠鈴(ほうじゅれい)
- 独鈷鈴(とっこれい)
- 古くは武器の一種であった独鈷杵(とっこしょ)の片側に鈴がついたもの。
- 三鈷鈴(さんこれい)
- 三鈷杵(さんこしょ)の片側に鈴がついたもの。
- 五鈷鈴(ごこれい)
- 五鈷杵(ごこしょ)の片側に鈴がついたもの。
以上を五種鈴と称する。密教の修法に用いる大壇上では、塔鈴を中央、残り四鈴をその四方に配す。塔鈴は大日如来、四方の四鈴はその他四如来の象徴であり、全体として五智如来を表す[4]。
打楽器としての利用
編集現代音楽などではしばし打楽器として仏具の鈴が用いられる。またティンパニ上に鈴をいくつか乗せ、鈴を叩いた後、ティンパニのペダルを操作するなどの奏法がある[5]。
脚注
編集- ^ 「銅器の街」高岡市 では高岡駅などでは「お鈴」を使った独自の発車メロディが流れる。
- ^ 京仏具資料館「真宗大谷派の主要な仏具」14 金襴輪(きんらんわ)・鈴台(りんだい)
- ^ 京仏具資料館「真宗大谷派の主要な仏具」13 鈴台(りん)
- ^ 金銅五種鈴のうち - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ “<見たことない楽器を演奏してみた>ウォーターフォン、ティンパニと鈴、ベルツリー、レインスティック、ライオンズローアなど。現代音楽の祭典「サントリーホール サマーフェスティバル2018」にて演奏 8分48秒”. サントリーチャンネル サントリーCM・動画ポータルサイト. 2021年8月29日閲覧。
参考文献
編集- 菊池祐恭 監修『お内仏のお給仕と心得』真宗大谷派宗務所出版部、1981年改訂。ISBN 4-8341-0067-7。
- 真宗大谷派教師養成のための教科書 編『真宗の儀式-声明作法』真宗大谷派宗務所出版部、1998年。ISBN 4-8341-0259-9。
関連項目
編集- 鈴 - 神具・楽器の「鈴」(すず)