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調和微分形式(ちょうわびぶんけいしき)とは、数学において曲面上の実 1-形式 ω として、ω とその共役 1-形式 ω* 両方が閉形式のことをいう。
2-次元実解析多様体の上で定義された実 1-形式の場合を考える。さらに複素微分形式の実部となる実 1-形式を考える。
ω = A dx + B dy とし、形式的に 共役 1-形式を
ω* = A dy − B dx と定義する。
調和微分形式は明らかに複素解析に関係している.複素数 z を実部と虚部に分けて、それぞれを x と y とし、
z = x + iy とする.複素解析の観点から、
ω + iω* = (A − iB)(dx + i dy) となり、従って dz がゼロに近付くとき商 (ω + iω*)/dz は極限を取る。言い換えると、ω* は、微分(解析性)の概念に関連している。もうひとつの概念である虚数単位は、
(ω*)* = −ω である(まさに
i2 = −1 と同じである)。
与えられた函数 f に対し、ω = df とする。つまり
-
ここに ∂ は偏微分を表す。すると、
-
となる。ここで注意することは はいつもゼロとは限らないことで、実際、
-
であり、ここに
-
が示される。
上で見たように、ω と ω* がともに閉形式のときに、1-形式 ω を 調和的 という。このことは
∂A/∂y = ∂B/∂x (ω が閉形式のとき) でかつ ∂B/∂y = −∂A/∂x (ω* が閉形式のとき) であることを意味する。これらは、A − iB のコーシー・リーマンの方程式という。普通、これらは、u(x, y) + iv(x, y) の項で表すと、
-
となる。
- 調和微分 (1-形式) は正確に(解析的)複素微分形式の実部に一致する[1]。これを証明するためには、u + iv が、x + iy で局所的に解析函数であるときに、コーシー・リーマンの方程式を満たすことを示せばよい。もちろん、解析函数 w(z) = u + iv は、何らか(すなわち ∫ w(z) dz)の局所での微分である。
- 調和微分形式 ω は(局所的に)正確にラプラス方程式 Δf = 0 の解 f の微分 df である[1]。
- ω が調和微分形式であれば、ω* もまた調和微分形式である[1]。
- ^ a b c Cohn, Harvey (1967), Conformal Mapping on Riemann Surfaces, McGraw-Hill Book Company