突込絞
突込絞(つっこみじめ)は、柔道の絞技12本の1つ。講道館や国際柔道連盟 (IJF) での正式名。IJF略号TKJ。神道六合流での別名襟絞(えりしめ)[1]。
概要
編集柔道の絞技の中で、最も簡単に仕掛ける事が出来る技である。基本の形は右手で相手の左前襟を、左手で相手の右前襟を握り、片方の襟で相手の頸部を刈るようにして絞める技。仰向けの相手にマウントポジションやニーオンザベリーから極め技として使ったり、相手が両脚を閉じたクローズドガードの中のインサイドガードポジションから相手の両脚を開かせるためにとか、立ち姿勢の組手争いの中で使ったりする。
変化
編集映画『柔道の真髄 三船十段』では立ち姿勢から相手の両襟を持ってぶら下がるようにしゃがみ、上四方挟のように崩上四方固の下から両脚を振り上げて相手の頭部を挟み固定しながらの突込絞を紹介している[3]。国際ルール2018年版ではこの絞め技の様に直接、両脚で頭部の固定を補うことは指導の反則となった[4]。2017年版ではこの規定はなかった[5]。全日本柔道連盟作成の『2018年~2020年国際柔道連盟試合審判規定』の日本語版にもこの記載は追加されなかった[6]。
ネクタイ絞
編集ネクタイ絞(ねくたいじめ)は両手で両襟を持つ突込絞。片手で相手の喉付近で相手の両襟を引っ張ればすべる程度に持ち、もう一方の手も相手の両襟持って引っ張り絞める。ネクタイチョークとは異なる技である。映像資料『講道館柔道 固技 分類と名称』(講道館)で取りあげられている[7]。別名右片胸捕締(みぎかたむねどりじめ)[8]。
左片胸捕締
編集左片胸捕締(ひだりかたむねどりじめ)は左手で相手の両横襟を持ち、右手で相手の左前襟を持つ突込絞[9]。ネクタイ絞と似た技である。持つ前襟が片方の襟である点が異なる。別名片手絞(かたてじめ)[10]。講道館やIJFの片手絞とは異なる技である。
懸垂絞
編集懸垂絞(けんすいじめ)[11]は片脚を使った絞技。右手を受の左横襟、左手を受の右横襟を親指中で両手絞の様に取り、左手は下に引き右手は拳を受の首に押し付け、立ち姿勢だった場合は座り、左脚を振り上げ受の左から受の後頭部を抑えて絞める。
片閂からの突込絞
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小室宏二は自著『柔道 固技教本』でガードポジションから相手の片腕を抱える片閂(かたかんぬき)から逆手で襟を持ち、もう一方の手で相手の頚動脈を逆手で襟を持ち拳で絞める逆十字絞、片羽絞に似た技も突込絞だと述べている[12][13]。片閂からの逆十字絞と組み方はほとんど同じでこちらは襟を持った正拳部で相手の頸部を押すように絞める。
出典
編集- ^ 帝国尚武会 編『神道六合流柔術教授書』(龍虎之巻 第三期)帝國尚武會、日本、1917年1月31日、261-263頁。NDLJP:1704216/178。「襟絞(えりしめ)」
- ^ Mikinosuke KAWAISHI (1955). Ma méthode de judo. Jean Gailhat(仏訳、イラスト). フランス: Judo international. p. 174. "ERI-JIME"
- ^ 朝日新聞社(製作・企画)『柔道の真髄 三船十段』日本映画新社、日本。「突込絞」
- ^ INTERNATIONAL JUDO FEDERATION Sport and Organisation Rules (Version: 13th October 2018 ed.). (2018-10-20). p. 121. "To apply leg scissors to the opponent’s trunk (dojime), neck or head (scissor with crossed feet, while stretching out the legs.In shime-waza (e.g. ryote -jime) it is forbidden to use the legs to assist the grip."
- ^ INTERNATIONAL JUDO FEDERATION Sport and Organisation Rules (Version 2017 ed.). (2018-03-29). p. 164
- ^ 全日本柔道連盟. “2018年?2020年国際柔道連盟試合審判規定” (PDF). 全日本柔道連盟. p. 38. 2024年12月7日閲覧。
- ^ NHKサービスセンター(協力)、エルコム(販売). 講道館柔道 固技 分類と名称 (VHS). 講道館柔道ビデオシリーズ. Vol. 3. 日本: 講道館(制作・企画・監修). 該当時間: 50m40s.
突込絞
- ^ 井口義為『殺活自在乱捕秘伝柔術教範』榎本法令館書店、1926年、206-207頁。NDLJP:1704216/182。
- ^ 井口義為『殺活自在乱捕秘伝柔術教範』榎本法令館書店、1926年、206頁 。
- ^ 帝国尚武会 編『神道六合流柔術教授書』(龍虎之巻 第三期)帝國尚武會、日本、1917年1月31日、268-269頁。NDLJP:1704216/182。「片手絞(突込絞)」
- ^ Mikinosuke KAWAISHI (1955). Ma methode de judo. フランス: Judo international. pp. 176-177 . "KENSUI-JIME"
- ^ 「コムロックからの突込絞」 小室宏二著『柔道 固技教本』140ページ 晋遊舎
- ^ 柏崎克彦、小室宏二『柔道絞め技入門』ベースボール・マガジン社、2010年8月31日、134-135頁。ISBN 978-4871522052。「【突込絞】四つんばいの相手を下から」