杉本苑子
小説家 (1925-2017)
杉本 苑子(すぎもと そのこ、1925年6月26日 - 2017年5月31日[1])は、日本の小説家、歴史小説家、文化勲章受章者。
杉本 苑子 | |
---|---|
誕生 |
1925年6月26日 日本・東京府東京市牛込区 (現在の東京都新宿区) |
死没 |
2017年5月31日(91歳没) 日本・静岡県熱海市 |
職業 |
小説家 評論家 |
言語 | 日本語 |
国籍 | 日本 |
最終学歴 |
旧制千代田女子専門学校(現:武蔵野大学) 文化学院 |
活動期間 | 1952年 - 2017年 |
ジャンル | 歴史小説 |
代表作 |
『船と将軍』(1961年) 『孤愁の岸』(1962年) 『玉川兄弟』(1974年) 『滝沢馬琴』(1978年) 『穢土荘厳』(1986年) 『風の群像』(1997年) |
主な受賞歴 |
直木三十五賞(1962年) 吉川英治文学賞(1978年) 女流文学賞(1986年) 紫綬褒章(1987年) 文化功労者(1995年) 菊池寛賞(2002年) 文化勲章(2002年) |
デビュー作 | 『燐の譜』(1952年) |
活動期間 | 1952年 - 2017年 |
配偶者 | なし |
子供 | なし |
影響を受けたもの
|
来歴・人物
編集東京府東京市牛込区[2](現在の東京都新宿区)出身。旧制千代田女子専門学校(現 武蔵野大学)、文化学院卒業。
1952年、「燐の譜」で『サンデー毎日』の懸賞小説に入選、選考委員である吉川英治に師事する[3]。吉川死去の翌年、『孤愁の岸』で第48回(1962年下半期)直木賞を受賞。以後、歴史小説家として活躍する。また、一般向けの歴史書も記している。
1985年に、『マダム貞奴』および『冥府回廊』を原作[注 1]とするNHK大河ドラマ『春の波濤』が放映される。作品が舞台演劇として上演された数も多い。
受賞歴
編集作品一覧
編集- 『二条ノ后』(1963年、南北社) のち集英社文庫
- 『焔の果て』東方社 1964
- 『華の碑文-世阿弥元清』(1964年、講談社)のち中公文庫
- 『隠々洞ききがき抄 天和のお七火事』講談社 1965 のち集英社文庫、文春文庫
- 『西国巡拝記』大法輪閣 1966 のち中公文庫
- 『歴史を彩った女性たち』華書房 1966 「歴史に咲く花々」集英社文庫
- 『蝶の谷』人物往来社 1967
- 『歴史を彩る女たち』新塔社 1968
- 『傾く滝』(1969年、講談社)のち角川文庫、講談社文庫
- 『春日局』(1970年、読売新聞社)のち集英社文庫、学陽書房人物文庫
- 『蚤さわぐ』(短編集)毎日新聞社 1971 「雪中松梅図」集英社文庫、文春文庫
- 『西鶴置きみやげ』(短編集)月刊ペン社 1971
- 『平家物語 カメラ紀行』浅野喜市写真 淡交新社 1971 「平家物語を歩く」講談社文庫
- 『飛鳥路の寺』入江泰吉写真 保育社カラーブックス 1972
- 『愛憎流転』講談社 1972(「長勝院の萩」静岡新聞 (1970年5月-1972年2月)原題「長勝院の萩」として講談社文庫)
- 『今昔物語ふぁんたじあ』(1972年、読売新聞社)のち講談社文庫
- 『鶴渡る』(短編集)(1972年、双葉社)のち文庫、集英社文庫
- 『江戸芙蓉堂医館』(短編集)講談社 1973 のち文庫
- 『瑪瑙の鳩』(短編集)朝日新聞社 1973
- 『孔雀茶屋心中』(短編集)読売新聞社 1973 のち集英社文庫
- 『夢まぼろしの如くなり 書簡にみる歴史群像』PHP研究所 1974 旺文社文庫 「歴史を語る手紙たち」文春文庫
- 『埋み火-近松門左衛門の生涯』(1974年、文藝春秋)のち文庫
- 『玉川兄弟-江戸上水ものがたり』(1974年、朝日新聞社)のち講談社文庫、文春文庫
- 『元禄歳時記』講談社 1974 のち文庫 (新井白石)
- 『マダム貞奴』(1975年、読売新聞社)のち集英社文庫
- 『東京の中の江戸名所図会』北洋社 1975 のち旺文社文庫、文春文庫
- 『江戸を生きる』中央公論社 1976 のち文庫、講談社文庫
- 『虚空を風が吹く』(短編集)講談社 1976 のち文庫、文春文庫
- 『終焉』(1977年、毎日新聞社)のち中公文庫(井戸正明)
- 『滝沢馬琴』(1977年、文藝春秋)のち文庫、講談社文庫、朝日文庫
- 『江戸散策』毎日新聞社 1978 のち旺文社文庫
- 『人間紀行 歴史エッセイ』毎日新聞社 1978 のち旺文社文庫、文春文庫
- 『冬の蝉』(短編集)文藝春秋 1978 のち文庫
- 『私の万葉集』海竜社 1978 のち光文社文庫、集英社文庫
- 『片方の耳飾り 随想集』読売新聞社 1979 のち中公文庫
- 『夜叉神堂の男』(短編集)(1979年、東京文芸社)のち集英社文庫
- 『対談にっぽん女性史』文藝春秋 1979 のち中公文庫
- 『逆髪』(短編集)東京文芸社 1980 のち集英社文庫
- 『開化乗合馬車』(短編集)読売新聞社 1980 のち文春文庫
- 『杉本苑子の京都』冬樹社 1980 のち旺文社文庫
- 『影の系譜 豊臣家崩壊』文藝春秋 1981 のち文庫
- 『橋のたもと』(短編集)東京文芸社 1981 のち集英社文庫
- 『檀林皇后私譜』(1981年、中央公論社)のち文庫
- 『二条院ノ讃岐』(1982年、中央公論社)のち文庫
- 『鳥影の関』(1982年、読売新聞社)のち中公文庫
- 『干潟の秋』(エッセイ集)文化出版局 1983 のち集英社文庫
- 『絵島疑獄』(1983年、毎日新聞社)のち講談社文庫
- 『古典を読む 伊勢物語』岩波書店 1984 のち同時代ライブラリー、「伊勢物語謎多き古典を読む」中公文庫
- 『信号三回待ち』読売新聞社 1984
- 『胸に棲む鬼』(短編集)文化出版局 1984
- 『冥府回廊』(1984年、日本放送出版協会)のち文春文庫(福沢桃介)
- 『別れ霜』(短編集)朝日文庫 1985
- 『姿見ずの橋』(短編集)中央公論社 1985 のち文庫
- 『伯爵夫人の肖像』朝日新聞社 1985 のち文庫 (芳川鎌子)
- 『わたしの古典 杉本苑子の枕草子』集英社 1986 のち文庫
- 『穢土荘厳』(1986年、文藝春秋)のち文庫(長屋王)
- 『残照』(短編集) 旺文社文庫、1987 のち文春文庫
- 『永代橋崩落』中央公論社 1988 のち文庫
- 『大和花の寺』中央公論社 1988
- 『聞き語りにっぽん女性「愛」史』講談社 1988 のち文庫
- 『月宮の人』朝日新聞社 1988 のち文庫 (お市から東福門院まで)
- 『太閤さまの虎』(短編集)読売新聞社 1989 のち中公文庫
- 『埠頭の風』(短編集) 講談社 1989 のち文庫
- 『歌舞伎のダンディズム』日本放送出版協会 1989 のち講談社文庫
- 『新とはずがたり』(1990年、講談社)のち文庫
- 鎌倉時代後期、後深草上皇寵姫・中院雅忠女(1258年生、通名・後深草院二条)による、宮廷女流文学『とはずがたり』を小説化。原典は、宮廷女房時代の経験を赤裸々に回想する日記文学的前半と、宮廷退出後、出家し全国を女西行さながらに放浪してゆく過程を記録した、紀行文学的後半に大きく分かれるが、この作品では原典の前半部分に焦点を当てている。小説化にあたって、雅忠女の愛人の一人で、当時一流の宮廷政治家であった、西園寺実兼の視点で物語を再構築しており、原典では書かれていない、北条執権家を軸とする鎌倉幕府の内紛や二度にわたる元寇、時宗開祖一遍の台頭など、当時の政治・文化的世相がエピソードとして盛り込まれている。
- 『古典の旅 更級日記』講談社 1990 「「更級日記」を旅しよう」文庫
- 『菜摘ます児 杉本苑子自選短篇集』学芸書林 1990
- 『利休 破調の悲劇』講談社 1990 のち文庫
- 『決断のとき 歴史にみる男の岐路』文藝春秋 1990 のち文庫
- 『鶴屋南北の死』文春文庫 1990
- 『散華-紫式部の生涯』(1991年、中央公論社)のち文庫
- 『はみだし人間の系譜』読売新聞社 1991 のち中公文庫
- 『引越し大名の笑い』講談社文庫 1991
- 『大江戸ゴミ戦争』文藝春秋 1991 のち文庫
- 『汚名 本多正純の悲劇』毎日新聞社 1992 のち講談社文庫、中公文庫
- 『秋蘭という女』(短編集)講談社文庫 1992
- 『霧の窓 随筆集』光風社出版 1992
- 『女人古寺巡礼』講談社 1992 のち文庫
- 『竹ノ御所鞠子』(1992年、中央公論社)のち文庫
- 『小鳥の食卓』(エッセイ集)中央公論社 1993 のち文庫
- 『少年少女古典文学館 今昔物語集』講談社 1993
- 『悲劇の風雲児』講談社文庫 1994(源義仲)
- 『天智帝をめぐる七人』(1994年、文藝春秋)のち文庫
- 『銀の猫』(短編集)読売新聞社 1995 のち中公文庫
- 『落とし穴 鎌倉釈迦堂の僧たち』PHP研究所 1996 のち文庫
- 『私家版かげろふ日記』文化出版局 1996 のち講談社文庫
- 『万葉に生きた女性たち』(CD)アートデイズ 1996年9月収録
- 『春風秋雨』読売新聞社 1997 のち文春文庫
- 『杉本苑子全集』全22巻 中央公論社(1997年~1998年)
- 『じじばばの記』(短編集)双葉ノベルス 1997
- 『杉本苑子歴史エッセイ』全2巻 小学館、1997
- 『風の群像』(1997年、日本経済新聞社)のち講談社文庫(足利尊氏)
- 『悲華水滸伝』(1998年、中央公論社)のち文庫
- 『一夜の客』読売新聞社 1998 のち文春文庫
- 『万葉の女性歌人たち』日本放送出版協会(NHKライブラリー) 1999
- 『女性はどう学んできたか 卑弥呼から江戸庶民の女まで』集英社新書 1999
- 『山河寂寥 ある女官の生涯』(1999年、岩波書店)のち文春文庫(藤原淑子)
- 『能の女たち』文春新書 2000
- 『流されびと考』文藝春秋 2002
- 『愛に生きた女たち・男たち にっぽんラブストーリーズ』日本放送出版協会 2002
- 『戦国二人三脚 まつと又左と子どもたち』日本放送出版協会 2002
- 『おくのほそ道人物紀行』文春新書 2005
共著
編集脚注
編集- 注釈
- 出典
- ^ a b c “作家の杉本苑子さん死去 91歳 歴史小説「孤愁の岸」”. アサヒ・コム. 朝日新聞社. (2017年6月2日) 2017年6月2日閲覧。
- ^ “受賞作家の群像 杉本苑子(Sugimoto Sonoko)”. 直木賞のすべて. 2017年6月2日閲覧。
- ^ “杉本苑子さんが死去 作家、「孤愁の岸」”. 日本経済新聞. (2017年6月2日) 2020年2月18日閲覧。
- ^ “杉本苑子さん死去、91歳=歴史小説「滝沢馬琴」、文化勲章”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2017年6月2日) 2017年6月2日閲覧。
- ^ “平成14年度 文化功労者及び文化勲章受章者(五十音順)”. 文部科学省 (2002年11月3日). 2011年3月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。