建築限界

車両など交通物を安全に通過させるために必要な空間断面(クリアランス)。

建築限界(けんちくげんかい、英語: en:Structure gauge)とは、交通工学における用語のひとつ。 鉄道線路道路などにおいて、交通物を安全に通過させるために必要な空間確保のために定められた規定[1]建築物を設置してはならないクリアランスのことをいう。 建築においては、日照権火災などに関して必要な空間を確保するための規定を指す。

鉄道

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レールに合わせて、ホームが抉れている。三島駅にて。

鉄道は、車両が固定された線路の上を移動する交通機関であり、線路上に障害物があった場合はこれを自由に避けることはできない。よって、列車運行の安全を確保するために、定められた範囲内には障害となりうる建築物等(固定・非固定にかかわらず)を設置してはならない、という建築限界の概念が生まれた。

等の屋根跨線橋等は、この建築限界外に設置されている。ただし、プラットホーム転轍機信号機、点検台等は特例として通常の建築限界を狭めて設置されることがある。また、電気鉄道における架線は建築物等とはみなされない。

具体的な建築限界の幅や高さは、鉄道事業者電化非電化直流電化交流電化直線曲線、平面踏切の有無、JR在来線私鉄新幹線等の軌間によりことごとく異なってくるが、幅は概ね線路中心から左右に約2.0 mずつ、高さは非電化鉄道であればレール頂面から約4.5 m、電気鉄道であれば約6.0 mである(ただし、地下鉄に見られる第三軌条集電方式のものは異なる)。

また、建設された時期や事業者などの差異により、建築限界の値は少なからず異なっている。そのため、中央本線予讃線など、明治期に民間の手によって作られ、その後国有化、さらに後に電化された現在のJR路線や、私鉄でも元々新京阪鉄道の路線であった阪急京都線の様に同社の他線と異なる成立経緯を持つ路線では、他線と線路が繋がっていても特定の装備や車体寸法を持つ車両しか入線できない制約を持っている例が見られる。また東京地下鉄都営地下鉄では乗り入れ先の関係などから、路線毎に建築限界が異なっている。

道路

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桁下防護工を設置した道路。架道橋の例。

日本では、道路構造令第12条で車道歩道自転車道について規定される。

道路の高さ方向の制限は4.5 mが基準であるが、新設される構造物に対しては、舗装のオーバーレイ(舗装を打ち増して修繕を行うこと)を考慮し、0.2 mの余裕を見て4.7 mの制限が実用的に用いられる。4.5 mの建築限界を満たしていない構造物が道路上空にある場合は、通行する車両に高さ制限が設けられ、構造物に対し「桁下防護工」が設置される。

脚注

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  1. ^ 建築限界『新版 2級土木施工管理技士 受験用図解テキスト5 用語集』p54 土木施工管理技士テキスト編集委員会編 1987年

関連項目

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参考文献

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  • 『道路構造令の解説と運用』 日本道路協会、2004年2月