定符号二次形式
数学において実ベクトル空間 V 上で定義された二次形式 Q が定符号(ていふごう、英: definite)であるとは、V の任意の非零ベクトルに対して Q が同じ符号をもつことを言う。定符号二次形式は、至る所正となるか、または至る所負となるかに従ってさらに、正の定符号(positive definite; 正値、正定値)または負の定符号(negative definite; 負値、負定値)に分けられる。
半定符号 (semidefinite) 二次形式も、至る所「正」および「負」としていたところを、至る所「負でない」および「正でない」に置き換えて、それぞれ半正定値(positive semi-definite; 正半定値)と半負定値(negative semi-definite; 負半定値)と定義される。正の値も負の値も取るような二次形式は不定符号 (indefinite; 不定値) であると言う。
同伴対称双線型形式
編集ベクトル空間 V 上の二次形式の全体と、同じ空間上の対称双線型形式の全体との間には、一対一の対応が存在する。ゆえに対称双線型形式に対しても、対応する二次形式を考えることにより、定符号性や半定符号性などを考えることができる。二次形式 Q とそれに同伴する対称双線型形式 B との間には
なる関係が成り立つ。
例
編集例えば V = ℝ2 で二次形式
を考える。
- c1 > 0 かつ c2 > 0 のとき、この二次形式 Q は正値である。
- 係数の一方が正で他方が零のとき Q は半正値になる。
- c1 > 0 かつ c2 < 0 とすれば Q は不定符号になる。
関連項目
編集参考文献
編集- ^ Milnor & Husemoller (1973) p.61
- Nathanael Leedom Ackerman (2006) Lecture notes Math 371, Positive definite bilinear form is definition 0.5.0.7, weblink from University of California, Berkeley.
- Kitaoka, Yoshiyuki (1993). Arithmetic of quadratic forms. Cambridge Tracts in Mathematics. 106. Cambridge University Press. ISBN 0-521-40475-4. Zbl 0785.11021
- Lang, Serge (2004), Algebra, Graduate Texts in Mathematics, 211 (Corrected fourth printing, revised third ed.), New York: Springer-Verlag, p. 578, ISBN 978-0-387-95385-4
- Milnor, J.; Husemoller, D. (1973). Symmetric Bilinear Forms. Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete. 73. Springer-Verlag. ISBN 3-540-06009-X. Zbl 0292.10016