奇跡の人
ウィリアム・ギブソンによる戯曲
『奇跡の人』(きせきのひと、The Miracle Worker)は、ヘレン・ケラーの家庭教師を務めたアニー・サリバンを描いた、ウィリアム・ギブソン(同名のSF作家とは別人)による戯曲である。アン・バンクロフト(タイトル・ロールであるアニー・サリバン)とパティ・デューク(ヘレン・ケラー)が演じて1959年に初演された。
この『奇跡の人』はアン・サリヴァンの記録をもとに書かれたものである[1]が、有名な井戸水を手にかけて「ウォーター」という言葉を理解し発した、というエピソードはこの戯曲における創作である(実際にはサリバンの著作では、ケラーはこの時"water"と綴っている。ケラーが発声できるようになるのはもっと後のことである)。
オリジナルのアメリカ舞台
編集映画
編集舞台で好評を博したため、3年後には同じキャストで映画化された。1980年にはヘレン・ケラー役のパティ・デュークが、アニー・ サリバン役でテレビ映画化されている。
- 1962年公開『奇跡の人』(「ヘレン・ケラー物語」)(モノクロ)日本公開は1963年10月。
- アーサー・ペン監督
- アニー・サリバン役:アン・バンクロフト:1962年アカデミー主演女優賞
- ヘレン・ケラー役 : パティ・デューク:1962年アカデミー助演女優賞
- 1979年公開『奇跡の人』(カラー、テレビ映画版)
- プライムタイム・エミー賞 作品賞 (テレビ映画部門)受賞
- ポール・アーロン監督
- アニー・サリバン役:パティ・デューク
- ヘレン・ケラー役 :メリッサ・ギルバート
日本での公演
編集日本での公演は、近年では額田やえ子の翻訳版がテキストとして使われている。アマチュアにおいても多く演じられている。歴代の主演者の内、鈴木杏と高畑充希はヘレン役とサリバン役の双方を演じている。鈴木:ヘレン・ケラー(2003年)→アニー・サリバン(2009年)、高畑:ヘレン・ケラー(2009・14年)→アニー・サリバン(2019・22年)
- 1964年:芸術座、1965年:名鉄ホール
- 1979年、芸術座、演出:伊藤俊也
- 1986年、日生劇場
- 1987年、日生劇場
- アニー・サリバン役:大竹しのぶ
- ヘレン・ケラー役 : 荻野目慶子
- 1992年、東京芸術劇場中ホール 演出:テリー・シュライバー
- アニー・サリバン役:大竹しのぶ
- ヘレン・ケラー役 : 中嶋朋子
- 1994年、シアターサンモール 演出:野伏翔
- 1997年、Bunkamuraシアターコクーン 演出:マイケル・ブルーム
- アニー・サリバン役:大竹しのぶ
- ヘレン・ケラー役 : 寺島しのぶ
- 2000年、Bunkamuraシアターコクーン 演出:鈴木裕美
- アニー・サリバン役:大竹しのぶ
- ヘレン・ケラー役 : 菅野美穂
- 2003年3月2日~4月5日、Bunkamurシアターコクーン 演出:鈴木裕美
- 2003年4月7日~4月13日、近鉄劇場
- アニー・サリバン役:大竹しのぶ
- ヘレン・ケラー役:鈴木杏
- 2006年、青山劇場ほか 演出:鈴木裕美
- 2009年、Bunkamuraシアターコクーンほか 演出:鈴木裕美
- アニー・サリバン役:鈴木杏
- ヘレン・ケラー役:高畑充希
- 2011年 8月27日 〜28日、東京・ダイジョースタジオ Dスタジオ
- 2014年、天王洲 銀河劇場ほか 演出:森新太郎
- アニー・サリバン役:木南晴夏
- ヘレン・ケラー役:高畑充希
- 2019年、東京芸術劇場ほか[6] 演出:森新太郎
- アニー・サリバン役:高畑充希
- ヘレン・ケラー役:鈴木梨央
- 2022年5月18日〜6月5日、東京芸術劇場プレイハウス[7] 演出:森新太郎
- アニー・サリバン役:高畑充希
- ヘレン・ケラー役:平祐奈
その他、漫画『ガラスの仮面』でも劇中劇として利用されており、「奇跡の人」のシーンがテレビアニメ、ドラマ化され放映されている。2010年には、この漫画版を原作として音楽劇『ガラスの仮面〜二人のヘレン〜』が公演されている。
脚注
編集注釈
編集- ^ 芸能関係者や少数の一般客を対象とした試演会であり、商業目的の公演ではない。プロフィール上の初舞台はミュージカル『王様と私』とされている。
出典
編集- ^ クレジットには書いてないが、英語版ウィキペディアほかはすべてヘレン・ケラーの『自伝』(en:The Story of My Life (biography))に基づいているとなっている。(フランス語版、ロシア語版、アルメニア語版はそうでもない)
- ^ 樋口尚文『「昭和」の子役: もうひとつの日本映画史』国書刊行会、2017年8月、367頁。ISBN 978-4-336-06198-0 。
- ^ “伊藤俊也監督インタビュー2018”. アクターズ・ヴィジョン (2018年11月13日). 2019年5月27日閲覧。 “1979年に市原悦子さんのサリヴァン先生で「奇跡の人」の演出を芸術座でやっているのですが、ヘレン・ケラー役の少女をこれも児童劇団でオーディションをして。(中略)それらしい子がいると言って連れて来たのが14歳の荻野目慶子だったんです。”
- ^ “TMA-Extra 「奇跡の人」”. 箕輪菜穂江公式ブログ はなつづり。。。。. (2011年7月22日). オリジナルの2017年3月31日時点におけるアーカイブ。 2019年4月24日閲覧。
- ^ “9月☆”. 木内健人オフィシャルブログ. (2011年9月4日) 2017年3月31日閲覧。
- ^ “ヘレン・ケラー演じた高畑充希が念願サリバン先生役”. 日刊スポーツ. (2018年10月29日) 2018年10月29日閲覧。
- ^ “高畑充希、舞台初出演の平祐奈と奇跡呼ぶタッグ「最後には光をつかめる作品」”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2021年11月30日) 2021年11月30日閲覧。