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坂ノ市(さかのいち)は、大分県大分市東部にある地区の地名である。

地理

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大分市の東部に位置し、東側で佐賀関と接している。北側で別府湾に面し、南部に九六位山等の山地、西に丹生台地を有する。地区は、坂ノ市小学校小佐井小学校丹生小学校の3校区からなる[1]

  • 面積 - 49.09km2[1]
  • 人口 - 18,642人(2016年3月末時点)[1]

歴史

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古代には海部郡佐加郷、丹生郷および佐尉郷の一部であった。なお、当時の佐加郷は現在の佐賀関等を含む広い地域であったと考えられている。佐加郷は中世には佐賀郷となった。

漢字表記の変遷

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「サカノイチ」の漢字表記は公式の記録に残るものでも数種類が存在する。

  • 坂ノ市
現在の地域名として使われている「坂ノ市」は、明治期に佐賀村、市村が誕生した時点で既に市村のとして存在[2]しており、後の合併によって一地区の名前が地域名に発展し合成地名のようになったと考えられる。1963年(昭和38年)3月10日に合併して大分市の一部となるまでは、北海部郡坂ノ市町であった。
1907年(明治40年)に佐賀村と市村が合併して誕生した村名であるが、村内所在の司法機関や金融機関の名称としては後述の「坂之市」が使用されており、佐賀県佐賀市(1889年発足)と混同しないよう忌避されていたと考えられる。
  • 坂之市
坂ノ市町の誕生以前において多用されており、市村に存在した大分銀行坂之市出張店[7][8]の他、佐賀市村の誕生後、大分区裁判所市出張所は坂之市出張所へと名前を変更している[9]
  • 阪野市(坂野市)
1893年(明治26年)に市村郵便局が阪野市郵便局に改称[10]され、1899年(明治32年)に阪野市郵便電信局[11]、1911年時点で坂野市郵便局[12]と、1921年に坂ノ市郵便局へ改称[13]されるまでは地域名とは異なる表記となっている。管轄区域は現在の坂ノ市地区と一致しておらず、1902年時点[14]では川添村,西大在村,東大在村,神馬木村も含まれていた。
「坂野市」は1907年発行の「大日本地名辞書」[15]や1912年発行の「帝国地名辞典」[16]に、市村の別名として掲載されている。
  • 坂の市
現在では大分バスの停留所名に使用されるのみであるが、1920年(大正9年)に発行された「大分県実業案内」[17]では、わずか5頁(60-64p.)の中に、「坂ノ市町」「坂之市町」「坂の市町」が混在しており、坂ノ市町が発足した当初は町名・地域名・小字の漢字表記が混乱していた可能性もある。

年表

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交通

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鉄道

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バス

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出身有名人

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脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i 坂ノ市市民センターの紹介 大分市
  2. ^ 市村 役場位置 - 『大分県町村現況一覧』大分県 1894年11月 67頁(国立国会図書館デジタルコレクション)
  3. ^ サガイチ(佐賀市)『帝國地名辭典 上卷』三省堂 1912年 702頁上段右端(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ 最新発見 縮緬高菜を紹介す『日本農業雑誌 12(10)』日本農業社 1916年9月 33頁下段右端
  5. ^ 106724.xls『統計でみた大分県』大分県企画部 1969年 セルH121振り仮名(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ サガノイチ 佐賀市『日本地名大辞典 第4巻』日本書房 1938年 2987頁最下段右端(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 商業登記 大分区裁判所 - 『官報』1902年03月27日 613頁下段(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 大分銀行 - 『大分県案内』菁莪堂 1902年10月 27頁(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 司法省令第13号 - 『官報』257頁上段5行目 1919年06月12日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  10. ^ 逓信省告示第90号 - 『官報』224頁下段左 1893年03月18日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. ^ 逓信省告示第345号 - 『官報』348頁下段右 1899年11月27日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. ^ 逓信省告示第1145号 - 『官報』211頁上段左端 1911年10月11日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  13. ^ 逓信省告示第1710号 - 『官報』672頁上段中央 1921年09月29日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  14. ^ 豊後国北海部郡 - 『郵便区画市町村一覧』716頁 丸善 1902年5月(国立国会図書館デジタルコレクション)
  15. ^ 坂野市 - 『大日本地名辞書 上巻 二版』1388頁 冨山房 1907年10月17日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  16. ^ イチ(市) - 『帝國地名辭典 上卷』128頁 三省堂 1912年(国立国会図書館デジタルコレクション)
  17. ^ 北海部郡之部 - 『大分県実業案内』60-64頁 大分通信社 1920年(国立国会図書館デジタルコレクション)
  18. ^ 庁府県広報 - 『官報』付録1頁 1892年10月28日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  19. ^ 町村合併並役場位置 - 『官報』109頁下段左 1907年07月04日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  20. ^ 『官報』748頁上段先頭 1919年12月25日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  21. ^ 町村廃置『官報』861頁上段中央 1941年10月28日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  22. ^ 六.車中懷舊 - 『青天の白鷺』敬文館 1921年11月10日 279頁(国立国会図書館デジタルコレクション)
  23. ^ 六月一日卒業証書ノ授与ヲ延期スベキ人名表 - 『創立五十周年』大分県立大分中学校 1935年9月30日 26頁下段(国立国会図書館デジタルコレクション)
  24. ^ カボスひろしさん「大分を語り合いシェアすれば楽しく生きられる」 BunGO!発信コレジオ(2025年3月1日閲覧)

参考文献

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  • 角川日本地名大辞典編纂委員会編『角川日本地名大辞典 44 大分県』角川書店、1980年1月

関連項目

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外部リンク

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