国の擬人化
概要
編集擬人化は対象に人間のような内面・心理を設定することで、世界を認知するための方法である[1]。社会的な存在である国家や地域を人として表すことは、メッセージを受け取る側と送る側にとっても関係性を強化することにつながり[2]、政治的パンフレットや美術作品などで伝統的に広く用いられていた。古代都市国家のアテナイは女神アテーナーを象徴としている。またアメリカ合衆国をあらわすアンクル・サム、ドイツをあらわすゲルマニア、フランスのマリアンヌが知られる[2]。それぞれの国家の国獣や国旗を国家の擬人とする事もしばしば見られる。[3]
伝統的に用いられる国の擬人化
編集これらは非公式・公式を問わず、表現として用いられた国家の擬人化である。
ギャラリー
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1914年の三国協商を表したポスター。 マリアンヌ(フランス)、マザー・ロシア(ロシア)、ブリタニア(イギリス)が一堂に会している。
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ゲルマニア。 フィリップ・ファイト(1848年)
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スペイン第二共和政において描かれた、 ヒスパニア (擬人化)とマリアンヌ(1931年)
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ウジェーヌ・ドラクロワ『ミソロンギの廃墟に立つギリシア』 (1827年)
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イタリア・トゥッリタ(イタリア) とゲルマニア。 ヨハン・フリードリヒ・オーファーベック作。ドイツとイタリアの友好関係をあらわしている。
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ノルウェー、デンマーク、スウェーデンを現した19世紀のポスター。
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レフとチェフとルス(ポーランド、チェコ、ウクライナ) と ポーランドを現す白い鷲
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第一次世界大戦における ジョン・ブルのポスター。
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バーラト·マータの像。
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アルゼンチンとブラジルの友好関係を現した図。両国を現した女神が握手を交わしている。
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ゼ・ポヴィーニョ。19世紀のポルトガルの労働者を現している。
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1806年のフランス。ユダヤ人を現した人々とナポレオン・ボナパルト
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ジェームス・ギルレイが1803年のアミアンの和約を描いた戯画。 「フランス市民」と太ったブリタニアにキスをしている。
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『ルーマニアの解放』コンスタンティン・ダニエル・ローゼンタール
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第一次世界大戦におけるルーマニアとドイツの休戦を現したフランスのパンフレット。屈強な男がドイツ、女性がルーマニア
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司馬江漢が描いた、日本と中国、西洋の擬人化。
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アイスランドの象徴、レディ・オブ・マウンテン
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『自由ブルガリア』ゲオルギ・ダンチョフのリトグラフ。
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フレデリック・デ・ウィートが描いた17世紀のヨーロッパ地図。
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ミセス・ブリタニアとその娘のミス・カナダ、 それに言いよるブラザー・ジョナサン(ニューイングランド)を描いた1886年の政治風刺画。
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ナポレオンの首を掲げるジョン・ブル。ジェームス・ギルレイ(1803年)
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ジョナサン・スウィフトとアイルランドの擬人化
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19世紀に建造された、擬人化したババリア(バイエルン州)の銅像。
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オットー・フォン・ビスマルク主導のフランス孤立政策によって動かされるヨーロッパの政治情勢を描いた戯画。
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Countryhumansは、国家を擬人化したインターネット・ミームである。
大衆文化における擬人化
編集現代の日本においては、人物(歴史上の人物や神話の登場人物など)や動植物から非生物(天体、鉄道、言語、元素など)まで、あらゆるものが擬人化、キャラクター化されている[2]。それら萌え擬人化の一つとして国(広義には州や非独立地域、民族の擬人化を含むこともある)の擬人化作品も、インターネット上などで多く見られる。
SNS上のみで展開される個人規模の物から、メディアミックスされる大規模な商業作品まで幅広く存在し、前者の例はCountryhumans、後者の例としては、アフガニスタンと周辺国を擬人化したあふがにすタン、アニメ化や舞台化もされたヘタリア、地政学的な側面を重視した地政学ボーイズなどが存在する。
また、各都道府県や自治体などが、広報活動の一環として各地域を擬人化したキャラクターを制作していることもある[9]。
→「萌え擬人化」も参照
脚注
編集- ^ 関沢英彦 2012, pp. 21.
- ^ a b c 関沢英彦 2012, pp. 26.
- ^ “中国、「最後の晩餐」なぞらえG7風刺 ネットに拡散”. 日本経済新聞. 2024年7月13日閲覧。
- ^ O'Clery, M. (2003) Annals of Ireland by the Four Masters as translated into English
- ^ A Manifesto from the Provisional Government of Macedonia. (1881). "Our mother Macedonia became now as a widow, lonely and deserted by her sons. She does not fly the banner of the victorious Macedonian army"
- ^ Bulgarian graphic representation of Bulgaria, East Rumelia and Macedonia
- ^ 林みちこ『明治政府の対外美術戦略に関する研究 : 1910年日英博覧会をめぐって』筑波大学〈博士(芸術学) 甲第8234号〉、2017年。 NAID 500001374207 。
- ^ “「ハッピー」”. タバコと塩の博物館. 2024年8月3日閲覧。
- ^ 真田風・倉田陽平「「都道府県擬人化」の分析」
参考文献
編集- 関沢英彦「父さんは犬 : 広告における擬人化 (林龍二教授退任記念号)」(PDF)『コミュニケーション科学』第35号、東京経済大学 コミュニケーション学会、2012年、19-47頁、NAID 120005281415。