喧嘩富士」(けんかふじ)は、橋幸夫の楽曲。佐伯孝夫が作詞、吉田正が作曲を手掛けた。橋の4枚目のシングルとして1960年11月5日ビクターから発売された。後に同名の映画が作られ、主題歌となった。

「喧嘩富士」
橋幸夫シングル
B面 流転がらす
リリース
ジャンル 演歌
時間
レーベル ビクター
作詞・作曲 佐伯孝夫(作詞)
吉田正(作・編曲)
橋幸夫 シングル 年表
おけさ唄えば
(1960年)
喧嘩富士
(1960年)
木曽ぶし三度笠
(1960年)
テンプレートを表示

概要

編集

デビューの「潮来笠」を大ヒットさせた橋は、3作目の「おけさ唄えば」でその実力、人気を確定させた。その橋が、4作目としてリリースしたのがこの股旅物「喧嘩富士」で、引き続き、作詞は佐伯孝夫、作曲は吉田正の楽曲である。デビュー間もないのに、10月「おけさ唄えば」、11月「喧嘩富士」、12月「木曽ぶし三度笠」異例の3ヶ月連続新譜リリースについて、後に橋は、「今はある曲がヒットしている間は、新譜は控えて」その販促に努めるが、「当時は、新曲を出した方が数字が出るという考え」「ファンも新曲リリースを楽しみ」にしていたと回顧している[1]。このため、恩師の吉田は。多くの門下生を抱えながら、「橋にかかりっきり」となり、「枚数を稼げる(橋に)ワッと営業サイドもついた」としている[2]。橋はこの後、毎年10数枚の新譜をリリースし続けることになる。

佐伯が橋に提供した股旅物としては、「潮来笠」「伊太郎旅唄」(潮来笠B面)についで3作目にあたる。ジャケットは相変わらずスーツ姿で、「潮来笠」や「木曽ぶし三度笠」のように股旅姿のイラストもなく、また、振り付けもついていない。

再発売のアンコール盤では「潮来笠」のB面に収録されることもあった[3]

2曲目の「流転がらす」も、佐伯、吉田の作品である。

1961年に年間で15万枚を売り上げ、ビクターの年間ヒット賞を受賞した[4]

収録曲

編集
  1. 喧嘩富士
    作詞:佐伯孝夫、作・編曲:吉田正
  2. 流転がらす
    作詞:佐伯孝夫、作・編曲:吉田正

主な収録アルバム

編集
  • 『橋幸夫 全曲集』1999/10(VICL-60474)
  • 『元祖、股旅ここにあり!』2001/1(VICL-60817)
  • 颯爽!橋幸夫 股旅名曲集』1972/7(LP・SJX-10032)<COLEZO!>で復刻 2005/3(VICL-41192)

なお「流転がらす」のCD音源は、芸能生活45周年記念盤『歌の架け橋』2005/12に収録されている。

映画「喧嘩富士」

編集
喧嘩富士
監督 渡辺邦男
脚本 渡辺邦男、松村正温
製作 高森富夫(企画)
出演者 勝新太郎
小林勝彦
橋幸夫
音楽 福永久広
撮影 渡辺孝
編集 宮田味津三
製作会社 大映
公開  1961年4月26日
上映時間 88分
製作国   日本
言語 日本語
テンプレートを表示

本作のヒットを受け、勝新太郎、橋幸夫、小林勝彦共演で映画「喧嘩富士」(大映京都)が制作され、1961年4月26日に公開された[5]。モノクロ・大映スコープ・88分。この年、橋が出演する大映映画は8本に達したが、橋と勝の共演はこの1作のみである。監督は『明治天皇と日露大戦争』で知られる渡辺邦男で、脚本の一部も手掛けた。

物語は、やくざにあこがれ家を飛び出した魚屋の源太(勝新太郎)と、同じくやくざ志願の坊主の権三(小林勝彦)に、流し芸人の鶴太郎(橋幸夫)も加わり、やくざ一家の縄張り争いで大活躍する娯楽時代劇。

1998年9月11日に大映からビデオソフト化(VHS)されたが廃盤、DVD化はされてない。

スタッフ

編集

出演者

編集

同時上映

編集

五人の突撃隊

出典

編集
  1. ^ 橋幸夫・小野善太郎共著『橋幸夫歌謡魂』ISBN 4-948735-16-7 ワイズ出版(東京)1993/6 23頁参照
  2. ^ ビクターエンタテインメント『吉田正大全集~1948-1997』1997/9 解説書19頁その他参照
  3. ^ 橋幸夫・小野善太郎共著『橋幸夫歌謡魂』前掲 215頁参照
  4. ^ 週刊サンケイ』1962年2月12日号(田家秀樹『読むJ‐POP―1945‐1999私的全史 あの時を忘れない』徳間書店、1999年、59-60頁。ISBN 4-19-861057-6
  5. ^ 前掲書 280頁

外部リンク

編集