南廻線
南廻線(なんかいせん)は、台湾屏東県枋寮郷の枋寮駅から台東県台東市の台東駅に至る台湾鉄路公司の鉄道路線。
南廻線 | |||
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基本情報 | |||
国 | 中華民国(台湾) | ||
起点 | 枋寮駅 | ||
終点 | 台東駅 | ||
駅数 | 14(起終点駅含む。信号場3含む) | ||
開業 | 1985年7月15日 | ||
太麻里延伸 | 1988年1月1日 | ||
香蘭延伸 | 1989年7月15日 | ||
全通 |
1991年12月16日(仮) 1992年10月5日(正式開業) | ||
所有者 | 台湾鉄路公司 | ||
運営者 | 台湾鉄路公司 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 98.2 km | ||
軌間 | 1,067 mm | ||
線路数 | 単線、複線 | ||
複線区間 | 中央信号場 - 古荘信号場 | ||
電化区間 | 全線 | ||
電化方式 | 交流25,000V 60Hz 架空電車線方式 | ||
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南廻線 | |
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各種表記 | |
繁体字: | 南迴線 |
簡体字: | 南回线 |
拼音: | Nánhúixiàn |
通用拼音: | Nánhúisiàn |
注音符号: | ㄋㄢˊ ㄏㄨㄟˊ ㄒㄧㄢˋ |
発音: |
ナンフイシェン ナンホェイシェン[1] |
台湾語白話字: | Lâm-hôe Soàⁿ |
日本語漢音読み: | なんかいせん |
英文: | South-Link Line |
駅・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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概要
編集台湾を一周する鉄道路線として、最後に開通した区間である。中央山脈を越え、険しい海岸線を通過する路線であるため、建設は困難を極めた。全長97.15 kmのうち、トンネル区間が38.9 kmを占める。旧型客車で定期運用されている最後の普快車運転区間でもあったが、電化を機に普快車は廃止され、通常の区間車となった(現在は、区間快車に変更)。
路線データ
編集歴史
編集明治時代から台湾総督府により台南から卑南、または枋寮線の恒春および台東への延伸が計画されていた[2]。大正期に計画が本格化するも、宜蘭線との同時並行で予算不足だったこと、1923年10月の渓州(現・南州)延伸当時は関東大震災による本土政府の復興債券発行などもあり延期を重ねた[3]。結局1940年に現在の枋寮線(屏東線の旧称)が枋寮に達するにとどまり、枋寮と恒春の間は交通局のバス輸送となった[4]。 ルートは現在の台26線および県道200号(未成区間含む)に沿ったもので、枋寮から恒春までの区間の一部はほぼ当路線に相当する[5]。
戦後も1947年から1976年にかけて路線選定および測量が行われた[6]:頁28。戦前案を踏襲した「屏東 - 知本」、「竹田 - 太麻里」、「竹田 - 金崙」、「台9線沿いの楓港経由安朔」、「恒春経由」など複数の経路が検討され[6]:頁30、枋山から大武に至る現行案が有力視されていた[7]。その後政府の公共事業政策「十二項建設[8]」および「十四項建設」に組み込まれた[6]:頁18。
年表
編集- 1980年
- 1985年7月15日 - 卑南(後の台東新駅)~知本駅間が開通し営業開始した[6]:頁424。
- 1988年1月1日 - 知本駅~太麻里駅間が開業した。当時は1日2往復の列車が運行された[9]。
- 1989年7月25日 - 太麻里駅~香蘭駅間が開業[10][注 1]。
- 1990年12月 - 中央トンネル(8,070m)が貫通[6]:頁429。
- 1991年
- 1992年
- 1997年2月19日 - 香蘭駅廃止[12]。
- 1997年10月1日 - 三和駅廃止[11]:頁46。
- 2004年10月21日 - この日に枋山駅北方で線路上に障害物が置かれるなど2年間に渡って2度の脱線事故を含む少なくとも5度以上の同一犯による列車運行妨害事件が発生した。脱線事故のうち2005年6月21日は負傷者が[13]、2006年3月17日のものは莒光号脱線転覆にともなう死傷者が伴う事故となっている。その後犯人は逮捕、無期懲役の判決が下されている。→「zh:臺鐵南迴線連續破壞事件」も参照
- 2006年7月1日 - 多良駅 (台東県)廃止[11]:頁48。
- 2009年8月8日 - 台風8号(モーラコット)による八八水災で南迴線でも太麻里渓の橋梁が被災[14]、9月15日まで不通となった[15]。
- 2010年9月 - 19日に花蓮県に上陸した台風11号(ファナピ)で太麻里郷の太麻里渓橋が流失、29日に復旧[16]
- 2013年8月31日 - 獅子郷のトンネル間で土石流により自強号が脱線、12人が負傷した[17]。→「zh:2013年臺灣枋山一號隧道火車事故」も参照
- 2014年
- 2016年6月28日 - 全駅がIC乗車券(Easycard/悠遊卡、iPASS/一卡通、icash2.0/愛金卡など)対応エリアとなる[20]。
- 2017年
- 2020年
-
電化完成式典での蔡英文(2020年12月20日)
運行形態
編集使用車両
編集過去の列車
編集2019年1月現在のものである[36]。
駅一覧
編集- 背景色が■である部分は現在廃止、または施設が供用されていない、あるいは完成していないことを示す。
駅名 | 駅間 キロ |
累計 キロ |
等級 | 接続路線・備考 | 線路 | 所在地 | |||
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日本語 | 繁体字中国語 | 英語 | |||||||
枋寮駅 | 枋寮車站 | Fangliao | 0.0 | 0.0 | 二等 | 屏東線と接続 | ◇ | 屏東県 | 枋寮郷 |
加祿駅 | 加祿車站 | Jialu | 5.3 | 5.3 | 三等 | ◇ | 枋山郷 | ||
内獅駅 | 內獅車站 | Neishi | 3.4 | 8.7 | 招呼 | | | |||
枋山駅 | 枋山車站 | Fangshan | 4.9 | 13.6 | 乙簡 | 台湾最南端の駅 | ◇ | 獅子郷 | |
枋野信号場 | 枋野號誌站 | Fangye Signal Station | 6.9 | 20.5 | 三等 | ◇ | 屏東県 | 獅子郷 | |
中央信号場 | 中央號誌站 | Central Signal Station | 3.1 | 23.6 | 號誌 | ∧ | |||
菩安信号場 | 菩安號誌站 | Pu'an Signal Station | (31.9) | 廃止 | 未供用 | 台東県 | 達仁郷 | ||
古荘信号場 | 古莊號誌站 | Guzhuang Signal Station | (16.9) | (40.5) | 號誌 | 元旅客駅。 | ∨ | 大武郷 | |
大武駅 | 大武車站 | Dawu | 3.3 | 43.8 | 三等 | ◇ | |||
富山信号場 | 富山號誌站 | Fushan Signal Station | (51.7) | 廃止 | 未供用 | ||||
瀧渓駅 | 瀧溪車站 | Longxi | 11.7 | 55.5 | 乙簡 | ◇ | 太麻里郷 | ||
多良駅 | 多良車站 | Duoliang | 60.9 | 廃止 | |||||
金崙駅 | 金崙車站 | Jinlun | 8.4 | 63.9 | 三等 | ◇ | |||
香蘭駅 | 香蘭車站 | Xianglan | (69.8) | 廃止 | |||||
太麻里駅 | 太麻里車站 | Taimali | 11.0 | 74.9 | 三等 | ◇ | |||
三和駅 | 三和車站 | Sanhe | (82.2) | 廃止 | |||||
知本駅 | 知本車站 | Zhiben | 11.7 | 86.6 | 三等 | ◇ | 台東市 | ||
康楽駅 | 康樂車站 | Kangle | 7.0 | 93.6 | 乙簡 | ◇ | |||
台東駅 | 臺東車站 | Taitung | 4.6 | 98.2 | 一等 | 台東線と接続 | ∧ |
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 『台湾鉄道の旅完全ガイド』. イカロス出版. (2008). p. 131. ISBN 978-4-86320-026-5
- ^ 台湾総督府鉄道部 (1911). “第二款 線路測量 第六章 將来ノ企劃”. 台湾鉄道史. 中. 台湾総督府鉄道部. pp. 79-81,105-109 国立国会図書館
- ^ 台湾総督府 (1924年12月6日). “件名 海岸線其他鉄道建設工事ニ関シ台湾総督府鉄道部長新元鹿之助外十八名賞与ノ件”. 国立公文書館 アジア資料センター. 2022年1月31日閲覧。
- ^ 戴寶村 (2018-07-13). “焦點報導 日治時期臺灣鐵道網絡”. 臺灣學通訊 (国立台湾図書館) (106期): 5. ISSN 1999-1851 .
- ^ 黃偉嘉 (2017). “日本時代的南迴線計畫”. 鐵道情報 (春臨臺灣文化事業坊) (No.234): 86-89. ISSN 2073-2163.
- ^ a b c d e f g 董希堯 (1992). 國家十四項重要建設 南迴鐵路工程輯要. 臺灣省政府交通處南迴鐵路工程處. ISBN 9570040475 國家圖書館 臺灣記憶
- ^ “本省南廻鐵路,採用第三線,由枋寮通至臺東”. 臺灣民聲日報 (國立公共資訊圖書館 數位典藏服務網). (1959年6月27日)
- ^ “十二項經建計畫”. 檔案支援教學網. 交通部臺灣鐵路管理局. 國家發展委員會檔案管理局. 2022年1月31日閲覧。
- ^ a b c d e f 結解喜幸 (2002). 『台湾一週鉄道の旅』. 光人社. p. 158. ISBN 4-7698-1058-X
- ^ “重拾回憶-裁撤小站巡禮”. 台湾鉄路管理局花蓮運務段 (2014年2月8日). 2014年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月31日閲覧。
- ^ a b c 社團法人臺灣史研究會, ed (2013). 太麻里鄉志. 臺東縣太麻里鄉公所. p. 44. ISBN 9789860372519 國家圖書館 臺灣記憶
- ^ “重拾回憶-裁撤小站巡禮”. 台湾鉄路管理局花蓮運務段 (2015年8月21日). 2015年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月20日閲覧。
- ^ “專業脫軌器 火車出軌「凶器」”. TVBS. (2005年9月27日)
- ^ “雙園大橋斷 來不及煞車/我掉下去了,快來救我...”. 自由時報. (2009年8月10日)
- ^ “南迴鐵路15日復駛 屏東線年底通”. 大紀元. (2009年9月9日)
- ^ “南迴鐵路復駛 環島全線暢通”. 中央通訊社 (Taiwan News). (2010年9月29日)
- ^ “特急「自強号」、トンネル入口で土石流に遭い脱線=台湾・屏東”. 中央社フォーカス台湾. (2013年8月31日)
- ^ “台鐵太麻里溪橋切換通車 擺脫遇颱就斷噩夢”. 台灣蘋果日報. (2014年11月22日)
- ^ “台湾鉄道南回線、電化工事が起工 交通相がプユマ号の増備を示唆”. 中央社フォーカス台湾. (2014年11月16日)
- ^ “悠遊卡、一卡通搭台鐵 今起全線皆可通”. 自由時報. (2016年6月28日)
- ^ “前瞻第一期軌道預算170.69億 南迴花東段電氣化54.93億居冠”. 風傳媒. (2017年7月10日)
- ^ 台湾鉄道、南部一部区間で6日から夜間の運行を停止=電化工事のため2017-09-04,フォーカス台湾
- ^ “改善血汗 台鐵將增2860人”. 台灣蘋果日報. (2017年9月22日)
- ^ “台湾鉄道南廻線の秘境駅、10月から信号場に 記念切符販売で名残惜しむ”. フォーカス台湾. (2017年9月24日)
- ^ “景色自慢の高架橋、供用開始 “台湾一美しい駅”に隣接/台東”. 中央社フォーカス台湾. (2020年5月28日)
- ^ “蛻變中的南迴鐵路/多良改線段”. 交通部鉄道局. Youtube (2019年10月24日). 2020年12月20日閲覧。
- ^ “南迴鐵路電氣化今起通電測試 估年底通車”. 客家電視台 (Youtube). (2020年10月1日)
- ^ “環島電氣化最後一哩路! 枋寮知本試車、12月23日通車”. 公視新聞網. (2020年11月1日)
- ^ “台鉄南廻線、電化工事が完了「歴史的に意義」=蔡総統/台湾”. 中央社フォーカス台湾. (2020年12月20日)
- ^ “南廻線の名物列車、全線電化に伴い引退へ 名残惜しむファンが殺到/台湾”. 中央社フォーカス台湾. (2020年12月19日)
- ^ “台鉄、12/23南迴線電化開通を祝い運賃半額に”. RTI 台湾国際放送. (2020年11月26日)
- ^ “鐵路電氣化通南迴 「門戶」枋寮站升等”. 自由時報. (2020年10月27日)
- ^ “台鉄「藍皮解憂號」、10/23より南廻り線に復活”. RTI 台湾国際放送. (2021年10月20日)
- ^ “EMU3000型城際列車今上路 初期每天6班”. 更生日報. (2021年12月29日)
- ^ “台鐵新城際列車EMU3000來了!6列次12/29投入東部幹線”. 自由時報. (2021年10月25日)
- ^ 日本鉄道研究団体連合会『新台湾時刻表』2019年1月号