京阪7000系電車
京阪7000系電車(けいはん7000けいでんしゃ)は、1989年(平成元年)に登場した京阪電気鉄道(京阪)の通勤形電車。
京阪7000系電車 | |
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![]() 準急の運用に就いた7002F | |
基本情報 | |
運用者 | 京阪電気鉄道 |
製造所 | 川崎重工業 |
製造年 | 1989年 - 1993年 |
製造数 | 4編成28両 |
主要諸元 | |
編成 | 7両編成(3M4T) |
軌間 | 1,435 mm(標準軌) |
電気方式 |
直流1,500 V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 110 km/h |
設計最高速度 | 120 km/h |
起動加速度 | 2.8 km/h/s |
減速度(常用) | 4.0 km/h/s |
減速度(非常) | 4.5 km/h/s |
編成定員 | 910人 - 980人 |
車両定員 | 130人 - 140人 |
自重 |
Mc:32.5 t M:32.0 t T:24.0 t・22.0 t |
編成長 | 130,900 mm |
全長 | 18,700 mm |
全幅 | 2,780 mm |
全高 | 4,185 mm |
車体 | アルミニウム合金 |
主電動機 | 三相かご形誘導電動機 |
主電動機出力 | 200 kW |
駆動方式 | TD継手平行カルダン駆動 KD506-B-M |
歯車比 | 6.07 |
編成出力 | 2,400 kW |
制御方式 | GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御 |
制御装置 | 東洋電機製造 ATR-H4200-RG622A |
制動装置 | 回生ブレーキ優先電気指令式電磁直通ブレーキ HRDA-1 |
保安装置 | K-ATS |
1993年(平成5年)までに7000系として25両が製造されたほか、1989年(平成元年)に6000系VVVFインバータ制御試作車として製造された3両が1993年(平成5年)に本系列に編入され[1]、2024年(令和6年)4月1日現在、7両編成×4本(28両)が在籍する[2]。
概要
編集(2011年5月13日 土居駅)
1989年(平成元年)10月の鴨東線開業に伴う増備車として、同年に6両編成×2本(7001F・7002F)と4両編成×1本(7003F)が投入された[1]。京阪で初めてVVVFインバータ制御を本採用した系列である。
7003Fは当初交野線・宇治線で運用されていたが、1991年(平成3年)に中間車を2両新造して6両編成化され、1992年(平成4年)には中間車がさらに3両新造されて、3編成とも7両編成化された。これにより、一般車(通勤車)による代用特急・臨時特急運用には6000系に代わり本系列が優先的に充当されるようになった。
(2011年8月16日 出町柳駅)
1993年(平成5年)、VVVFインバータ制御試験車6000系6014F(6次車)の京都方3両を、系列内で制御方式を統一するため、改番のうえ本系列に編入し、新造の大阪側4両と組んで、7004Fが組成された。このため、7004Fの京都方3両は6000系(2 - 6次車)と同じ車体形状で、床下の機器配置も異なる[注 1]。
車体・内装・機器
編集前面デザインは6000系を踏襲しつつ、乗務員室スペース拡大のため、先頭部を直立させている。また、側窓構造が変更され、6000系6次車以前に比べて窓枠の露出が少なくなっている(前述の7004F京都方3両を除く)。
内装では、座席袖仕切りにモケットが貼られ、乗降ドア上部のつり革の跳ね上げ機構を省略した(長さが短い)点が6000系からの主な変更点である。なお、6000系7次車以降の車体・内装は本系列と同一となっている。
制御装置は東洋電機製造製 ATR-H4200-RG622A[注 2] で、GTOサイリスタ素子(4500 V/3000 A)によるVVVFインバータ制御を本格的に採用した。主電動機 TDK6151-A は200 kW(当時は新幹線以外では日本最大)の大出力の誘導電動機を装備している。最高速度は110 km/h(設計上は120 km/h)、起動加速度は6000系より少々上がって2.8 km/h/sである。
なお、本系列は京都方3両+大阪方4両のユニット構成が基本であるが、7004Fのみ京都方が4両ユニットとなっている[1]。
製造
編集← 出町柳・宇治・私市 淀屋橋 →
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形式 | ◇ 7000 (Mc1) |
7500 (T1) |
7600 (T2) |
◇ 7150 (M1) |
7650 (T3) |
7550 (T4) |
◇ 7050 (Mc2) |
竣工 |
車両番号 | 7001 | 7501 | 7151 | 7651 | 7551 | 7051 | 1989/09/04 | |
7002 | 7502 | 7152 | 7652 | 7552 [注 3] |
7052 | 1989/09/09 | ||
7003 | 7503 | 7553 | 7053 | 1989/09/13 | ||||
7153 | 7653 | 1991/10/23 | ||||||
7601 | 1992/09/29 | |||||||
7602 | 1992/09/12 | |||||||
7603 | 1992/09/09 |
← 出町柳 淀屋橋 →
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形式 | 7600 (T4') |
7650 (T3') |
7550 (T1') |
◇ 7050 (Mc2') |
竣工 | |||
車両番号 | 7604 | 7554 | 7654 | 7054 | 1993/12/07 |
改造工事等
編集バリアフリー対応工事
編集7002Fは2006年(平成18年)3月に、7001Fは同年10月に、7004Fは2007年(平成19年)11月に、7003Fは2008年(平成20年)2月にそれぞれバリアフリー対応工事が実施された。工事内容は、LED式車内案内表示器・誘導鈴・車椅子スペース新設などで、あわせて当時の10000系に準じた赤御影石調の床材と青色の座席モケットに更新された。
新塗装化
編集2008年(平成20年)より京阪線車両の新塗装への変更が開始され、2009年(平成21年)2月に7002Fが本系列初の新塗装車となった[3]。2012年(平成24年)2月、本系列全編成の新塗装化が完了した。
前照灯LED化
編集2015年(平成27年)ごろに本系列全4編成の前照灯がLEDに換装された。その後、全編成が一旦シールドビームに戻されたのち、再びLED前照灯に換装されている[4]。
リニューアル工事
編集2022年(令和4年)12月に寝屋川工場に入場した7002Fより、本系列のリニューアル工事が開始された[5]。老朽化した制御装置などの機器更新を実施し、故障に対する予防保全、および機器の保守軽減が図られている。外観では、種別行先表示器がフルカラーLED化され、側窓枠を黒色に、側扉沓摺部をオレンジ色に変更している。これによりVVVFインバータ制御装置や補助電源装置のGTO→IGBT化が行われている。
内装は13000系に準じたデザインとなり、座席幅の拡大とバケットシート化、スタンションポール(握り棒)の設置、化粧板(天井部を除く)および床敷物の更新、広告用デジタルサイネージ(1両あたり3カ所)の設置、バリアフリー対応として扉開閉予告灯およびドアチャイムの設置、液晶型車内案内表示器(1両あたり3カ所)への更新と広告用デジタルサイネージ(1両あたり3カ所)の設置、車いすスペースの拡大が行われている。
また、省エネ化のため車内照明にLEDを採用、車内防犯カメラ(1両あたり3カ所)やホーム検知装置(先頭車床下)、戸挟み検知装置[6](1両あたり6カ所)の設置など車内外の安全性向上を図ったほか、車内非常用設備(非常通報装置・非常用ドアコック)の表示内容を、2022年(令和4年)6月に国土交通省が策定した「車内非常用設備等の表示に関するガイドライン」に適合させている。
7002Fは2024年(令和6年)1月21日(日)より営業運転を開始した。また、7003Fも更新され、同年10月3日(木)から運用を開始した[7]。2025年(令和7年)度には本系列全編成のリニューアルを完了する予定となっている。
運用
編集7両編成化後は京阪本線・鴨東線・中之島線(淀屋橋・中之島駅 - 出町柳駅)にて普通や準急、さらには区間急行をメインに運用されている。前述のとおり、7003Fは製造当初4両編成で、交野線や宇治線で運用されていた。現在これら支線系統での定期運用はない。
特別塗色・ラッピングなど
編集本項では、本系列に施工された車体ラッピングについて記述する。
- 7001F
- KUZUHA MALL(2005年4月1日 - 2006年5月31日)
- e-kenet PiTaPa(2007年3月31日 - 2008年3月31日)
- きかんしゃトーマスとゆかいななかまたち(2009年7月18日 - )
- 7002F
- きかんしゃトーマスとゆかいななかまたち(2007年7月21日 - 2008年1月27日)
- よしもとお化け屋敷・京橋花月(2008年7月15日 - 2008年8月28日)
- 同月19日に天満橋から枚方公園まで招待制の臨時列車として運行され、先頭車前面に「臨」の種別標を掲出した。
- 7003F
- 7004F
- 劇場版 どうぶつの森わくわくヴィレッジ(2006年11月3日 - 2007年1月14日)
編成表
編集2024年(令和6年)4月1日現在[2]
← 出町柳 淀屋橋・中之島 →
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形式 | ◇ 7000 (Mc1) |
7500 (T1) |
7600 (T2) |
◇ 7150 (M1) |
7650 (T3) |
7550 (T4) |
◇ 7050 (Mc2) |
新塗装化 | リニューアル工事 | 備考 |
搭載機器 | VVVF CP |
SIV | CP | VVVF | SIV | VVVF CP | ||||
車両番号 | 7001 | 7501 | 7601 | 7151 | 7651 | 7551 | 7051 | 2010/10/06[8] | ||
7002 | 7502 | 7602 | 7152 | 7652 | 7552 | 7052 | 2009/02/23[3] | 2023/12/20[2] | ||
7003 | 7503 | 7603 | 7153 | 7653 | 7553 | 7053 | 2012/02/18[9] | 2024/10/03[7] | ||
形式 | ◇ 7000 (Mc3) |
7500 (T5) |
◇ 7100 (M4) |
7600 (T4') |
7550 (T3') |
7650 (T1') |
◇ 7050 (Mc2') |
新塗装化 | リニューアル工事 | 備考 |
搭載機器 | VVVF CP |
VVVF SIV |
CP | SIV | VVVF CP | |||||
車両番号 (旧車番) |
7004 (6014) |
7504 (6614) |
7104 (6114) |
7604 | 7554 | 7654 | 7054 | 2011/09/20[10] | 京都方3両は元6000系 (1989/02/01竣工) |
- 凡例
- VVVF:制御装置
- SIV:補助電源
- CP:空気圧縮機
- ◇:集電装置
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c 福島温也「京阪電気鉄道 現有車両プロフィール 2009」-『鉄道ピクトリアル』2009年8月臨時増刊号(No.822)、PP.256-258、電気車研究会
- ^ a b c ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表2024』、P.146、交通新聞社(2024年7月11日、ISBN 978-4-330-03424-9)
- ^ a b 「京阪7000系に新塗装車登場」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2009年2月24日)
- ^ 『私鉄車両年鑑2020』、P.71、イカロス出版(2020年5月21日、ISBN 978-4-802-20837-6)
- ^ 7000系リニューアル車両が営業運転を開始します! (PDF) - 京阪電気鉄道(2024年1月17日、年月日時点でのアーカイブ)
- ^ 7. 車両の安全性向上 (2):京阪電気鉄道株式会社 安全報告書2024 (PDF) - 京阪電気鉄道(2024年6月)
- ^ a b 「京阪7000系7003編成がリニューアルを終え復帰」-『railf.jp(鉄道ニュース)』、交友社(2024年10月9日)
- ^ 「京阪だより」-『関西の鉄道』2011初夏号(No.59)、P.109、関西鉄道研究会
- ^ 『鉄道ファン』2012年5月号(No.613)、P.189、交友社
- ^ 「京阪だより」-『関西の鉄道』2012新春号(No.60)、P.102、関西鉄道研究会
外部リンク
編集- 7000系:車両図鑑 - 京阪電気鉄道