ユカギール語族
ユカギール語族(ユカギールごぞく)、またはユカギール諸語、ユカギール語とは、シベリア東部のコリマ川流域に住むユカギール族が話す諸言語から成る語族である。便宜上古シベリア諸語の一つとされている。古くはバイカル湖から北極海まで分布したといわれ、17世紀にはレナ川からアナディル川河口に至る広範囲で約9000人に話されていたが、現在ほとんどの人々がロシア語やサハ語を使うようになり、話者は200人以下に減り(1989年)、絶滅の危機に瀕している。現在残っているのは2つの言語だけである。
ユカギール語族 | |
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民族 | ユカギール人 |
話される地域 | ロシア・シベリア東部 |
言語系統 | ウラル・ユカギール語族? |
下位言語 | |
Glottolog | yuka1259[1] |
ユカギール諸語の分布。ハッチは17世紀、赤塗りは20世紀の分布。 |
下位言語
編集- ツンドラ・ユカギール語(部族名としてはヴァドゥル):話者は30ないし150人。コリマ川下流部で使われるが、かつてはさらに広く、西のレナ川付近でも使われた。
- オモック語 †死語
- チュバンチー語 †死語
- コリマ・ユカギール語(タイガ・ユカギール、部族名オドゥル):話者は10ないし50人。コリマ川上流部で使われ、サハ共和国とマガダン州の方言に分けられる。
特徴
編集文法的には膠着語であるが、名詞には接尾辞がつくのに対し動詞には接頭辞がつく特徴がある。ウラル語族同様、母音調和、否定動詞[2]が存在する。
他の言語との系統関係
編集他言語との関係は明らかでないが、ウラル語族と関係があるとの説が比較的有力であり(ウラル・ユカギール語族)[3]、サモエード語派に近いとみられてきたが、最近の研究ではフィン・ウゴル語派との共通の特徴も指摘される[4]。また、チュクチ・カムチャツカ語族などとの親縁関係[5]が指摘されることもある(ウラル・シベリア語族)。
参考
編集- ユカギール語(コトバンク)
脚注
編集- ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “ユカギール語族”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History
- ^ Pedersen, Holger. 1933. "Zur Frage nach der Urverwandtschaft des Indoeuropäischen mit dem Ugrofinnischen." Mémoires de la Société finno-ougrienne 67:308–325.
- ^ Collinder, Björn (1940) Jukagirisch und Uralisch. Uppsala: Almqvist & Wiksell.
- ^ 世界大百科事典 第2版 ユカギール族 Yukagiry
- ^ Fortescue, Michael. 1998. Language Relations across Bering Strait: Reappraising the Archaeological and Linguistic Evidence. London and New York: Cassell. ISBN 0-304-70330-3.