ヤブニッケイ
ヤブニッケイ(藪肉桂[9]・薮肉桂、学名: Cinnamomum yabunikkei)は、クスノキ科クスノキ属の常緑高木の一種。別名マツラニッケイ(松浦肉桂)[10]、クスタブ[10]、クロダモ[10]、ウスバヤブニッケイ[1]、ナンジャモドキ[1]。山地などに生えるが、庭木などにもされる。
ヤブニッケイ | |||||||||||||||||||||
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ヤブニッケイ
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Cinnamomum yabunikkei H.Ohba (2006)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||
ヤブニッケイ(藪肉桂)、マツラニッケイ、クスタブ、クロダモ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Japanese Cinnamon |
分布・生育環境など
編集日本の本州(福島県以南・北陸地方以西[9])、四国、九州、沖縄、朝鮮の済州島、中国に分布するとされるが[11]、日本における自然分布は、近畿以南から沖縄の範囲までと言われている[10]。
乾燥に強く、暖地の野山、雑木林にふつうに見られる[11][12]。山地に生えるが、特に海の近くに多く生える[9]。シイ林やタブ林の二次林の構成種として重要である。なお、似たような環境に生育するもので、よく似たものにシロダモがある。ヤブニッケイの別名にクロダモがあり、それと対比させたものと思われる[要出典]。
特徴
編集常緑広葉樹[10]。高木で、高さは10 - 20メートル (m) になる[9]。樹皮は灰黒色から茶褐色で滑らか[9]。枝は黄緑色で毛はない[9]。
葉はほぼ対生につくが、ややずれていたり、互生に見えるものもあり、亜対生と言われる。葉身は長さ6 - 12センチメートル (cm) の長楕円形で芳香があり[11][10]、さほど厚くはないが、革質でごわごわしており、やや波打っていることが多い。深緑色で、表面にはつやが強く、はっきりとした3本の葉脈が白っぽく透けて見え、2本の側脈は肩のあたりで消える[11][10]。クスノキの葉にも似ているが、葉脈腋の突起がないので見分けられる[9]。葉の形等に変異が多く、分類は複雑である。沖縄ではシバニッケイやマルバニッケイとの雑種らしいものが知られている。
花期は6 - 7月[11]。枝先の葉腋から長い柄を出して、散形状に淡黄緑色の小花をまばらに数個付ける[10]。花被は筒型で、上部は6裂する[10]。果実は長さ約15ミリメートル (mm)で、10 - 11月になると黒っぽく熟す[11][10]。
利用
編集樹木は庭木などにされ、花や果実は目立たないが、生長が良く葉がよく茂るため、隣地との目隠しを目的とした植栽に向いている[12]。また、潮風にもやや耐えるため、海から少し離れた場所での防風植栽としても期待されている[12]。植栽適期は、3月下旬 - 4月、6月下旬 - 7月中旬、9月とされる[10]。
材は建築材、器具材として使われる。葉や樹皮は薬用に使われ、種子からは香油や蝋を取ることができる[11]。また葉、根皮などに香気があるがニッケイよりは劣る。
脚注
編集- ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum yabunikkei H.Ohba ヤブニッケイ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。 (2006)
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum tenuifolium Sugim. ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum tenuifolium (Makino) Sugim. f. nervosum (Meisn.) H.Hara ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum pedunculatum Nees ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum japonicum auct. non Siebold ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum japonicum Siebold ex Nakai f. tenuifolium (Makino) Sugim. ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum japonicum Siebold ex Nakai ヤブニッケイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum insularimontanum auct. non Hayata”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年7月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 235
- ^ a b c d e f g h i j k 山﨑誠子 2019, p. 88.
- ^ a b c d e f g 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 64.
- ^ a b c 山﨑誠子 2019, p. 89.
参考文献
編集- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、235頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 山﨑誠子『植栽大図鑑[改訂版]』エクスナレッジ、2019年6月7日、88 - 89頁。ISBN 978-4-7678-2625-7。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、64頁。ISBN 4-522-21557-6。
- 茂木透 写真『樹に咲く花 離弁花1』高橋秀男・勝山輝男 監修(改訂第3版)、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2003年、398頁。ISBN 4-635-07003-4。
関連項目
編集外部リンク
編集- "Cinnamomum Schaeffer" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2011年7月4日閲覧。
- "Cinnamomum". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- "Cinnamomum tenuifolium" - Encyclopedia of Life
- "Cinnamomum pedunculatum Nees" - Encyclopedia of Life
- "Cinnamomum japonicum" - Encyclopedia of Life
- "Cinnamomum yabunikkei" - Encyclopedia of Life
- "Cinnamomum insularimontanum" - Encyclopedia of Life
- World Conservation Monitoring Centre (1998). "Cinnamomum japonicum". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2.3. International Union for Conservation of Nature. 2011年7月4日閲覧。
- 波田善夫. “ヤブニッケイ”. 植物雑学事典. 岡山理科大学. 2011年7月4日閲覧。