マグノン
マグノン(英: magnon)は、結晶格子中の電子のスピンの構造を量子化した準粒子である。一方、結晶格子中での原子やイオンの振動を量子化した準粒子は、フォノンという。量子力学における波の描像では、マグノンはスピン波を量子化したものと見なすことができる。準粒子として、マグノンは一定の量のエネルギーと格子運動量を運搬する。プランク定数を2πで割ったディラック定数のスピンを持つ。
研究の歴史
編集- 1930年にフェリックス・ブロッホによって、強磁性体の自発磁化が減少する現象を説明するために導入された。
- その後、量子化されたスピン波の量子理論は、Theodore Holstein and Henry Primakoff (1940) やフリーマン・ダイソン (1956) によって発展させられた。彼らは第二量子化の形式を用いることで、マグノンがボース=アインシュタイン統計に従い、弱く相互作用する準粒子であることを示した。
- 1957年にはバートラム・ブロックハウスがフェライト相中の非弾性中性子散乱を用いて、実験的に直接検出した。それ以来、マグノンは強磁性体、フェリ磁性体、反強磁性体の中で検出されている。
- マグノンがボース=アインシュタイン統計に従うという事実は、1960年代から1980年代に、マグノンからの光散乱実験によって確認された。
マグノニクス
編集磁石材料の内部には情報を伝達するキャリアがあり、マグノンを制御する試みは、低消費電力かつサブテラヘルツ領域の素子への応用が期待される[1]。
脚注
編集参考文献
編集- C. Kittel, Introduction to Solid State Physics, 7th edition (Wiley, 1995). ISBN 0-471-11181-3.
- F. Bloch, Z. Physik 61, 206 (1930).
- T. Holstein and H. Primakoff, Phys. Rev. 58, 1098 (1940). online
- F. J. Dyson, Phys. Rev. 102, 1217 (1956). online
- B. N. Brockhouse, Phys. Rev. 106, 859 (1957). online
- J. Van Kranendonk and J. H. Van Vleck, Rev. Mod. Phys. 30, 1 (1958). online
- T. Nikuni, M. Oshikawa, A. Oosawa, and H. Tanaka, Phys. Rev. Lett. 84, 5868 (1999). online
- S. O. Demokritov, V. E. Demidov, O. Dzyapko, G. A. Melkov, A. A. Serga, B. Hillebrands, and A. N. Slavin, Nature 443, 430 (2006).online
- P. Schewe and B. Stein, Physics News Update 746, 2 (2005). online
- A.V. Kimel, A. Kirilyuk and T.H. Rasing, Laser & Photon Rev. 1, No. 3, 275-287 (2007). online
関連項目
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外部リンク
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