パラナル天文台
パラナル天文台(パラナルてんもんだい、英語: Paranal Observatory)は、チリのアタカマ砂漠にある山・セロパラナルに設置された天体観測所で、ヨーロッパ南天天文台によって運営されている。超大型望遠鏡VLT (Very Large Telescope) はパラナルで最大の望遠鏡である。4台の口径8.2メートルの望遠鏡によって構成される。4台の望遠鏡で観測した光を干渉させ、Very Large Telescope干渉計 (VLTI) として観測を行うこともできる。干渉計としての撮像能力を向上させるため、4台の1.8メートル補助望遠鏡が追加されている。
さらに、掃天観測に用いられる口径2.6メートルのVLT掃天望遠鏡 (VST) と口径 4.1メートルのVISTA望遠鏡が運用されている。
概説
編集ヨーロッパ南天天文台の主力サイトに当たる、国際共同天体観測施設。ラ・シヤ天文台でテスト運用が行われた後、当地に移設され観測を行っている望遠鏡もある(VLT掃天望遠鏡はラ・シヤサイトでテスト後、移設されてきたもの)。天体観測における障害の一つである、晴天率、シーイングや透明度は、ラ・シヤ天文台サイトよりも良好なため、1970年代より調査が始まり1980年代より建設が始まった。現在は、研究者の訪問施設や研究解析施設なども建設してある。
主な観測対象は、可視光領域から近赤外線領域までとなっている。VLT掃天望遠鏡及びVISTA掃天望遠鏡による広域観測とVLTによる精密観測を並行して行っている。
Very Large Telescope
編集超大型望遠鏡VLT (VLT) は4台の口径8.2メートル望遠鏡によって構成されている。可視光から赤外線までの領域で観測する。口径1.8メートルの小型の望遠鏡が付随して干渉計を構成する。
VISTA 掃天望遠鏡
編集VISTA (Visible and Infrared Survey Telescope for Astronomy) は掃天観測を目的とした可視光から赤外線の領域で観測する口径4.1メートルの望遠鏡で、2009年12月11日から運用されている[1]。広い視野を持ち、赤外線による掃天観測を行っている。VISTAは英国の18の大学によるコンソーシアムによって計画・設置された[1]。
VLT 掃天望遠鏡 (VST)
編集VLT掃天望遠鏡 (VLT Survey Telescope) は、広視野を得ることができる口径2.6メートルの望遠鏡で、掃天観測でVLTを補佐する[2]。2011年7月8日から運用が開始された[2]。
他の建物
編集望遠鏡と同様に管理棟と整備棟がある。訪問者の宿泊施設も用意されている。他にジムや水泳プールや食堂、2つの庭もある。それらは望遠鏡よりも3キロメートル離れた高度が200メートル低い場所に設置されている。Residencia(レジデンシア)と呼ばれるこれらの施設群は、「特異なデザインと立地条件が悪役のアジトにぴったりである」という理由により、映画『007 慰めの報酬』の撮影に使用された[3]。
脚注
編集- ^ a b “Visible and Infrared Survey Telescope for Astronomy”. ESO. 2017年8月9日閲覧。
- ^ a b “VLT Survey Telescope”. ESO. 2017年8月9日閲覧。
- ^ "Blockbuster starring ESO Paranal opens tomorrow" (Press release). ESO. 30 October 2008. 2017年8月9日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- ウィキメディア・コモンズには、パラナル天文台に関するカテゴリがあります。
- Paranal Observatory
- ESO
- VLT Project
- VLTI - ウェイバックマシン(2001年1月24日アーカイブ分), Very Large Telescope Interferometer
- Paranal Observatory featured in the Astronomy Picture of the Day