ヌマダイコン Adenostemma lavenia (L.) O. Kuntze はキク科の草本。種子に粘りがあってひっつき虫になる。

ヌマダイコン
ヌマダイコン
開花中の株
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類II Euasterids II
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
: ヌマダイコン属 Adenostemma
: ヌマダイコン A. lavenia
学名
Adenostemma lavenia (L.) O. Kuntze
和名
ヌマダイコン

特徴

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多年生草本[1]。茎は直立し、高さ30-100cmになる。葉は対生[2]だが、茎の上の方では時に互生し[3]、葉柄は長さ1-6cm、葉身は4-20cm。卵形から卵状長楕円形で鈍い鋸歯があり、表裏の両面にまばらに短い毛が生えている。

花は9-11月に咲く。花序は散房状か円錐状でまばらに、あるいは密集して頭花を付ける[3]。頭花は開花時には径5-6mm、総苞は長さ4mmで花が終わると反り返る。花はすべて両性の筒状花で、花冠は長さ2.5mm、先端が浅く5裂し、周囲に毛が多いが、小さくて目立たない。花柱は花冠の先端近くで2つに分かれてその先は長さ2mm、白くて先端が丸くて平らになり、これが頭花から突き出して見える。

痩果は棍棒状で長さ4mm、先端にある冠毛は棍棒状で4本ある。その先端からは粘物質が分泌される[2]。なお、果時に総苞が反り返り、花床は中央が盛り上がり、その結果、果実は放射状に広がる。冠毛に粘り気があるのは、動物に付着して運ばれるための適応と考えられる[4]

和名は葉の質が大根に似ることと、沼地に生えることによる[5]

分布と生育環境

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日本では本州の関東以西から琉球列島にまで見られ、国外では朝鮮、中国、マレーシア、インド、オーストラリアまで分布する[6]

野原の湿った場所や、溝などに生える[2]

分類・他

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ヌマダイコン属には熱帯域を中心に10種が知られるが、日本からは本種のみが知られる[6]。その点で見分けに困ることはない。

出典

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  1. ^ 以下、記載は主として佐竹他(1981),p.212
  2. ^ a b c 北村他(1957),p.69
  3. ^ a b 初島(1975),p.607
  4. ^ 河原)1997),p.123
  5. ^ 牧野(1961),p.617
  6. ^ a b 佐竹他(1981),p.212

参考文献

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  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎他『日本の野生植物 草本III 合弁花類』,(1981),平凡社
  • 北村四郎・村田源・堀勝、『原色日本植物図鑑・草本偏I』、(1957)、保育社
  • 初島住彦『琉球植物誌(追加・訂正版)』,(1975),沖縄生物教育研究会
  • 牧野富太郎、『牧野 新日本植物圖鑑』、(1961)、図鑑の北隆館
  • 河原孝行、「フジバカマ」:『朝日百科 植物の世界 1』、(1997)、朝日新聞社:p.122-123