セイロンマツモ
Ceratophyllum submersum はマツモ目マツモ科に属する水草の1種であり、セイロンマツモやペルーマツモとよばれることがある[3]。ただし C. submersum(狭義)はセイロン島や南米には生育していない[1][4]。アクアリウムでの観賞用に栽培されることがある。
Ceratophyllum submersum | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Ceratophyllum submersum L. (1763)[1] | ||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||
"セイロンマツモ"[3]、"ペルーマツモ"[3] | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
soft hornwort[2], spineless hornwort[2] |
特徴
編集根を欠く沈水性の浮遊植物である。特殊化した枝によって水底に固着していることもある。節には葉が輪生する(下図1, 2a)。葉は明緑色、2–4 cm、ふつう3–4回二叉分岐し、柔軟で水から出すと崩れやすく、鋸歯は目立たない[1][4](図2b)。幼芽の第1節、第2節の葉は分岐しない[4]。
花柄は1ミリメートル (mm) 以下[4]。雄花は直径 –2 mm、葯は 0.6–0.8 × 0.4–0.7 mm[1]。雌花の苞葉(花被片)は (1.5–)1.8–2 x 0.1–0.3 mm[1]。果実は痩果、長さは 4.5 mm 以上、縦/横は1.6以上[1][4]。痩果のトゲが未発達であり、花柱由来のトゲもふつう 2 mm 以下[4]。
分布
編集利用
編集アクアリウムでは、Ceratophyllum submersum とされる植物が、観賞用に栽培されることがある。弱酸性から弱アルカリ性の水質まで適応し、育成は容易とされる[3]。
分類
編集マツモ属の種は互いに類似し、かつ環境条件による形態変異が大きいため種の認識が難しく、さまざまな分類体系が提唱されている[5][4]。Wilmot-Dear (1985) はマツモ属を Ceratophyllum submersum とマツモ (C. demersum) に大きく二分することを提唱した[4](下表1)。一方、Les (1989) は Wilmot-Dear (1985) がまとめた C. submersum を4種(狭義の C. submersum, C. muricatum, C. tanaiticum, C. echinatum)に分けることを提唱した[4](下表1)。Szalontai et al. (2018) による分子系統学的研究からは、後者がおおよそ支持されている[4](下表1)。このような変遷があったため、C. submersum の範囲は文献によって異なることがある。
Wilmot-Dear (1985) | Les (1989) | Szalontai et al. (2018) | 分布 |
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Ceratophyllum demersum | Ceratophyllum demersum | Ceratophyllum demersum | 世界中 |
Ceratophyllum platyacanthum | ヨーロッパ、東アジア | ||
Ceratophyllum submersum | Ceratophyllum echinatum | Ceratophyllum echinatum | 北アメリカ東部、西部 |
Ceratophyllum submersum | Ceratophyllum submersum | ヨーロッパ、中央アジア、アフリカ北部から中部 | |
Ceratophyllum muricatum | Ceratophyllum muricatum | 中央アジアから東アジア、東南アジア、南アジア、アフリカ | |
Ceratophyllum australe | 北アメリカ南東部、中央アメリカ、南アメリカ | ||
Ceratophyllum tanaiticum | Ceratophyllum tanaiticum | 北東ヨーロッパ |
脚注
編集出典
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n “Ceratophyllum submersum”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年7月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k GBIF Secretariat (2021年). “Ceratophyllum submersum”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年7月22日閲覧。
- ^ a b c d 吉野敏 (2005). 世界の水草728種図鑑. エムピージェー. p. 138–139. ISBN 978-4895125345
- ^ a b c d e f g h i j k l Szalontai, B., Stranczinger, S., Mesterhazy, A., Scribailo, R. W., Les, D. H., Efremov, A. N., ... & Csiky, J. (2018). “Molecular phylogenetic analysis of Ceratophyllum L. taxa: a new perspective”. Botanical Journal of the Linnean Society 188 (2): 161-172. doi:10.1093/botlinnean/boy057.
- ^ Judd, W.S., Campbell, C.S., Kellogg, E.A., Stevens, P.F. & Donoghue, M.J. (2015). “Ceratophyllales”. Plant Systematics: A Phylogenetic Approach. Academic Press. pp. 262–263. ISBN 978-1605353890
外部リンク
編集- “Ceratophyllum submersum”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年7月21日閲覧。(英語)
- GBIF Secretariat (2021年). “Ceratophyllum submersum”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年7月22日閲覧。