トラツグミ(虎鶫、学名Zoothera aurea)は、ツグミ科に分類されるの一種。分子系統解析により、1990年代に分類が大きく変更された。その後長らくZ. dauma aurea とされていたが[2]、最近はZ. daumaの亜種から別種に昇格させてZ. aureaとする見解が広まっている[3](このページでもそれに従う)。

トラツグミ
トラツグミ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: ツグミ科 Turdidae
: トラツグミ属 Zoothera
: トラツグミ Z. aurea
学名
Zoothera aurea
(Holandre, 1825)
和名
トラツグミ
英名
White's Thrush

一方、これまでトラツグミと同じくZ. daumaの亜種Z. d. majorとされていたオオトラツグミは、従来通りZ. daumaの亜種とする見解と別種Z. majorとする見解があるが、いずれにしてもトラツグミZ. aureaとは別種になる。

分布

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シベリア東南部から中国東北部、朝鮮半島、日本などで繁殖し、北方の地方のものは、冬季にはインド東部からインドシナ半島フィリピンなどに渡りをおこない越冬する。

日本では留鳥または漂鳥として周年生息し、本州四国九州の低山から亜高山帯で繁殖する。北海道には夏鳥として、琉球列島(奄美大島や沖縄島)には冬鳥として渡来する。

奄美大島に留鳥として分布するオオトラツグミは、本種(Z. daumaとして)の亜種とされている[2]が、別種とする見解もある[4]

形態

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体長は30cmほどでヒヨドリ並みの大きさ。頭部から腰までや翼などの体表は、黄褐色で黒い鱗状の斑が密にある。体の下面は白っぽい。嘴は黒く、脚は肉色である。雌雄同色である。尾羽は14枚。

生態

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土中のミミズを捕らえたトラツグミ

主に丘陵地や低山の広葉樹林に好んで生息するが、林の多い公園などでも観察されることがある。積雪の多い地方にいるものは、冬は暖地へ移動する。

食性は雑食。雑木林などの地面で、積もる落ち葉などをかき分けながら歩き、土中のミミズや昆虫類などを捕食することが多い。冬季には、木の実も食べる。

繁殖形態は卵生。木の枝の上に、コケ類や枯れ枝で椀状の巣を作り、4-7月に3-5個を産卵する。

さえずりは「ヒィー、ヒィー」「ヒョー、ヒョー」と寂しいような声[5]。地鳴きは「ガッ」。主に夜間に鳴くが、雨天や曇っている時には日中でも鳴いていることがある。

人間との関わり

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森の中で夜中に細い声で鳴くため、(ぬえ)、鵺鳥(ぬえどり)、ぬえしない[5]とも呼ばれ、気味悪がられることがあった[注釈 1]。「鵺鳥の」は、「うらなけ」「片恋づま」「のどよふ」という悲しげな言葉の枕詞となっている。トラツグミの声で鳴くとされた架空の動物はその名を奪って鵺と呼ばれ、今ではそちらの方が有名となっている。

脚注

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注釈
  1. ^ そのため、不審者幽霊UFOなどと間違えられることがあったという[6]
出典
  1. ^ BirdLife International (2019). “Zoothera aurea”. IUCN Red List of Threatened Species 2019: e.T155646620A154736759. doi:10.2305/IUCN.UK.2019-3.RLTS.T155646620A154736759.en. https://www.iucnredlist.org/species/155646620/154736759 2023年9月27日閲覧。. 
  2. ^ a b 日本鳥学会編 日本鳥類目録第7版
  3. ^ IUCN Red List of threatened species ( https://www.iucnredlist.org/species/155646620/154736759 )
  4. ^ IUCN Red List of Threatened Speies https://www.iucnredlist.org/species/22708496/119560364
  5. ^ a b 新村出 編『広辞苑』(第六版)岩波書店、2008年1月11日、2041頁。 
  6. ^ トラツグミ”. 日本野鳥の会京都支部. 2023年4月1日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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