カラフトイバラ

バラ科の植物の一種

カラフトイバラ(樺太茨・山浜梨、学名: Rosa amblyotis)は、バラ科バラ属落葉低木。こんもりとした茂みを作り、夏に芳香を持つ淡い紅紫色の花を1 - 5ほど集まって咲かせる。ハマナスにくらべ果実はほぼ球形で果肉が薄い。北海道、群馬県、長野県の都道府県絶滅危惧種のリストに掲載される[8]

カラフトイバラ
カラフトイバラの花
分類
: 植物界 Plantae
: バラ目
: バラ科 Rosaceae
: バラ属
: ハマナス節 Cinnamomeae[1]
: カラフトイバラ R.amblyotis
学名
Rosa amblyotis C.A.Mey. (1849)[2]
シノニム
和名
カラフトイバラ、ヤマハマナス、カラフトバラ

名称

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別名ヤマハマナス、カラフトバラ、ミヤマバラ、コバノミヤマバラとよばれる[9]。さらに別称として、タカネバラと混同されて本種が流通している。タカネバラは北海道には分布しておらず生育条件からも区別できる。樺太の名が示すように、北海道以北の樺太(サハリン)島をふくむ極東ロシアやアジア北部に分布がある。別名にヤマハマナス、ミヤマバラとあるが高山帯に分布するというわけではない。学名にも異名(シノニム)が多く、Rosa amblyotis C.A.Mey.のほかに、Rosa rubrostipullata Nakai、Rosa marretii H.Lév.、Rosa davurica auct. non Pall.、Rosa davurica Pall. var. alpestris (Nakai) Kitag.が知られる[9]中国名は、山刺玫[2]

生育環境

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海岸ではなく内陸で見られる[10]。日本国内では明るい草地に自生し、北海道東部に分布し平野部の道路沿いに多く見られるほか[11]、群馬県と長野県の高原にも少数が隔離的に自生する。

特徴

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高さ1.5 - 2メートル (m) の落葉低木。ハマナスに似るが、トゲや針は少なく、全体にほっそりしている[10]。枝は無毛で、細い刺が徒長枝につくが後に脱落、側枝には少ない。葉柄基部の枝に一対の刺が明瞭につく。托葉は上部まで沿着し、先はとがらず耳状に広くなる。集散花序で1 - 5[12]もしくは3 - 7つの房咲きになる[13]。小花柄には目立つがあり、つぼみを包むように幅が広く披針形。花弁は平開し花弁の基部があまり重ならず、基部の縁がわずかに白く縁どられるため星形模様に見える。果実は球形で秋に赤熟する。葉は奇数羽状複葉で、小葉[要曖昧さ回避]は5 - 9個で平たくハマナスオオタカネバラよりも細身で、長さ3 - 4センチメートル (cm) の長楕円形または倒卵状楕円形で鋭頭または円頭[12]。かつて小葉の下部に腺点のあるものをヤマハマナスとして区別していた[14]

品種

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ハマナスと同様に園芸バラとしても利用されており、わずかではあるが北海道立林業試験場の作出した以下の品種が知られる[15]

  • ノーストピア
  • プリティーシャイン
  • コンサレッド

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ Bruun, Hans Henrik (2005). “Rosa rugosa Thunb. ex Murray”. Journal of Ecology 93 (2): 441-470. doi:10.1111/j.1365-2745.2005.01002.x. 
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rosa amblyotis C.A.Mey. カラフトイバラ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月4日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rosa rubrostipullata Nakai カラフトイバラ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月4日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rosa marretii H.Lév. カラフトイバラ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月4日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rosa davurica auct. non Pall. カラフトイバラ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月4日閲覧。
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rosa davurica Pall. var. alpestris (Nakai) Kitag. カラフトイバラ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月4日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rosa davurica Pall. f. marretii (H.Lév.) Sugim. カラフトイバラ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年6月4日閲覧。
  8. ^ RL/RDB:環境省”. ikilog.biodic.go.jp. 2021年5月5日閲覧。
  9. ^ a b YList 植物和名-学名インデックス:簡易検索結果”. ylist.info. 2021年5月5日閲覧。
  10. ^ a b 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、85頁。ISBN 4-12-101834-6 
  11. ^ 五十嵐 博 (2015). “バラ科バラ属の北海道分布”. 北方山草 32: 25-26. 
  12. ^ a b 御巫由紀 解説、大作晃一 写真『野ばらハンドブック』文一総合出版、2019年。ISBN 978-4-8299-8136-8 [要ページ番号]
  13. ^ 松本路子 写真、大場秀章 監修・文『日本のバラ』淡交社、2012年5月、30頁。ISBN 978-4-473-03813-5 
  14. ^ 岡本省吾 著、北村四郎 補『原色日本樹木図鑑』保育社〈保育社の原色図鑑 19〉、1959年。 [要ページ番号]
  15. ^ 第1話 ハマナス|道総研”. www.hro.or.jp. 2021年5月5日閲覧。