イボイモリ
イボイモリ (Echinotriton andersoni) は、両生綱有尾目イモリ科イボイモリ属に分類される有尾類。イボイモリ属の模式種。琉球列島奄美群島と沖縄諸島の固有種。奄美群島の個体群を別種アマミイボイモリE. raffaelliiとする見解もある[7]。
イボイモリ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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イボイモリ Echinotriton andersoni
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保全状況評価[1][2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
VULNERABLE (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Echinotriton andersoni (Boulenger, 1892)[1][3][4][5] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
Tylototriton Andersoni | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
イボイモリ[4][5][6] | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Anderson's crocodile newt[1][3][4] Anderson's newt[3] Anderson's salamander[3] Japanese warty newt[3] Ryukyu spiny newt[3] |
分布
編集形態
編集全長オス15センチメートル、メス20センチメートル[5]。頭胴長オス7.5 - 8.5センチメートル、メス7.2 - 10センチメートル[4]。頭部や胴体は扁平[5]。正中線上に隆起が発達し、体側面には7 - 9本の隆起がある[4][5]。肋骨に突起(上肋骨突起)があり、体表に突出し疣状になる[6]。体色は黒褐色だが[4]、まれに赤褐色の個体もいる[5]。四肢や尾の腹面・総排泄孔・肋骨先端部の隆起は、橙色[4][5]。
生態
編集常緑広葉樹からなる自然林・二次林や草原・池沼などに生息する[4]。年間を通して湿潤なこと・獲物となる無脊椎動物が豊富であること・産卵場となる捕食者のいない水場があること、これらの条件を満たした環境が生息に必要とされる[5]。
ミミズ、陸棲の巻貝、クモ・ワラジムシなどの節足動物・甲虫などの昆虫などを食べる[4]。
繁殖様式は卵生。1 - 4月に、水辺の落ち葉の中や苔で覆われた岩などに卵を産む[4]。卵は1か月で孵化する[4]。幼生は自力で水場まで移動したり、雨水に流されて水場まで移動する[4]。幼生は2 - 3か月で変態し、幼体になる[4][5]。年によっては10月にもまだ幼生が見られることもある[8]。飼育下では、メスが生後4年以内で性成熟した例がある[5]。寿命は10年以上と考えられている[4][5]。
人間との関係
編集森林伐採や土地造成による生息地の破壊、ため池などの繁殖地の埋め立て、ホテルやゴルフ場の取水による土壌の乾燥化、舗装道路での轢死、道路脇の側溝敷設による落下死・乾燥死、人為的に移入されたアメリカザリガニ・フイリマングース・ティラピア類などによる捕食などにより生息数は減少している[4]。2021年に日本の個体群が、ワシントン条約附属書IIIに掲載された[2]。日本では2016年に国内希少野生動植物種に指定され、卵も含め捕獲・譲渡などが原則禁止されている[9]。1978年に沖縄県、2003年に鹿児島県でそれぞれ県の天然記念物に指定されている[5]。2017年の時点で、沖縄県レッドリストでは絶滅危惧II類、鹿児島県レッドリストでは絶滅危惧I類と判定されている[5][10]。
出典
編集- ^ a b c IUCN SSC Amphibian Specialist Group. 2021. Echinotriton andersoni. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T59446A63869090. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-1.RLTS.T59446A63869090.en. Downloaded on 07 May 2021.
- ^ a b UNEP (2021). Echinotriton andersoni. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. [Accessed 07/05/2021]
- ^ a b c d e f Echinotriton andersoni. Frost, Darrel R. 2021. Amphibian Species of the World: an Online Reference. Version 6.1 (Accessed 07 May 2021). Electronic Database accessible at https://amphibiansoftheworld.amnh.org/index.php. American Museum of Natural History, New York, USA. https://doi.org/10.5531/db.vz.0001
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 太田英利 「イボイモリ」『レッドデータブック2014 日本の絶滅のおそれのある野生動物 3 爬虫類・両生類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年、132 - 133頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 富永篤 「イボイモリ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 (レッドデータおきなわ) 第3版 動物編』、沖縄県文化環境部自然保護課、2017年、224 - 226頁。
- ^ a b c 西川完途 「東アジアの有尾類 第18回 イボイモリ属」『クリーパー』第71号、クリーパー社、2014年、80-84頁。
- ^ Dufresnes C and A Hernandez. 2022. Towards completing the crocodile newts’ puzzle with all-inclusive phylogeographic resources, Zoological Journal of the Linnean Society, zlac038.
- ^ 高田榮一、大谷勉 2011 原色爬虫類・両生類検索図鑑. 北隆館
- ^ 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」の閣議決定について・ 国内希少野生動植物種一覧(環境省・2021年5月7日に利用)
- ^ 鹿児島県2003 鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物-動物編-. (財)鹿児島県環境技術協会