るんは風の中』(るんはかぜのなか)は、1979年に『月刊少年ジャンプ』に掲載された手塚治虫の短編読み切り漫画。総ページ数は扉絵を含め36ページ。手塚治虫漫画全集タイガーブックス第4巻に収録。

概要

編集

思春期に経験する初恋の切なさを描いている。

手塚治虫本人の監督により1985年4月に本編25分の短編アニメとして完成。テレビアニメとして制作されたが、放送は叶わずに1989年7月にNHKエンタープライズよりビデオグラムとして発売された[1](VHSでのリリース、『安達が原』と『緑の猫』を併録、ASIN B00005H583)。

2000年4月13日テレビ朝日系列にて「手塚治虫劇場」というタイトルで『ふしぎなメルモ』『カノン』と共にドラマ化された。

あらすじ

編集

憂鬱な高校生活を送っている少年・アキラは、ある日、高架下の薄暗い通路で、ポスターの中の女の子に一目惚れしてしまう。彼女をポスターごと家に持ち帰ったアキラは、彼女を''るん''と名付ける。気だるい日々を送る中で、彼は唯一気の許せる存在となっていく''るん''に対する興味が尽きず、ついには''るん''そのものを探す決意をしたのだった。

登場人物

編集
豊田明
主人公。高校生。根は明るいが孤独で空虚な日常を送っている中、''るん''に出会う。母はおらず父子家庭。
アニメ版では中学2年生の設定。
るん
ヒロイン。ポスターの中の少女。ポスターの中からアキラに話しかけ、やがてアキラの良き対話相手になってゆく。
''るん''という名は、''るん''が写っているポスターに書かれていたキャッチコピーに由来している。''るん''のポスターはもともとはコーヒーのポスターで、広告コピーとして「五人いるんです! 家中みんながネスコ・コーヒー党なのです!」と書かれていた。アキラがポスターから余計な部分を切り取る時に、「いるんです」の「るん」が目に止まったことから名付けられた。
三輪南平
著名な商業デザイナー。十数年前に撮影された''るん''の写真をコーヒーのポスターとして使った人物で、当時中学3年生だった''るん''を現在は妻としている。アキラの訪問を受け、''るん''のポスターが作られたいきさつをアキラに説明し、現在の''るん''をアキラに引き合わせる。
三輪南平夫人
現在の''るん''。ポスターの''るん''の写真が撮影された頃から十数年経過しており、品のよい小太りの中年女性の容姿で描かれている。
三輪克子
三輪南平の娘。ポスターの中の''るん''、つまり三輪南平夫人のかつての容姿にそっくり。終幕近く、アキラのもとを訪ねてくる。

その他、脇役として教師役にノラキュラ。手塚作品におけるスター・システムの定型通り、嫌味なキャラクターでアキラをいじめる。アキラの父親はセリフのみの登場で、容姿は描かれていない。

オリジナルアニメ版

編集

キャスト

編集

スタッフ

編集

テレビドラマ版

編集

2000年4月13日、『手塚治虫劇場』の中の一作としてドラマ化された。

2000年代に合わせるため、原作ではポスターという設定をインターネットで見つけた画像写真という形で物語が始まる。

テレビドラマ版キャスト

編集

単行本

編集

リメイク

編集

石田敦子によるリメイク作品初恋は風の中が『テヅコミ』(マイクロマガジン社)Vol.02に掲載、『三つ目がわらう』単行本に収録。

脚注

編集
  1. ^ 『手塚治虫劇場 手塚アニメーションフィルモグラフィー』手塚プロダクション、1991年第2版、pp.72-73

外部リンク

編集