はじめに
航空機の世界では急激に金属3Dプリンターへの関心が高まっています。
皆様もニュースなどでご存じかとは思いますが、航空機用エンジン事業を手掛けるGEアビエーションが金属3Dプリンターを使用した部品を製造しているからです。
実用化としては、世界でも一歩先を行っており、エンジンのタービンブレードや燃料ノズルなどでも金属3Dプリンター造形部品を実現しております。
また「GEアディティブ」という専門家集団を作り、さらなる活用拡大を実現しています。
このような動きが加速する要因としては、民間航空機の需要が高まり、航空機メーカー間の競争が激しくなっていることが挙げられます。
日本でも国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット」が今まさに開発製造され、世界の市場の入り口に立っていることは皆様も知っていることでしょう。
競争が高まれば、部品の製造コストの圧縮は避けられません。
しかし今まで通りの工法を続け、改善しても削減できる見込みは底が見えています。
そうした中、寿命を向上させ、重量を削減し、短時間で製造することができる金属3Dプリンターが注目を集めることになったのです。
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航空機業界の高い壁
一躍航空機業界で注目を集めた金属3Dプリンターですが、日本ではまだスタートできていないほどに位置にいるそうです。
航空機産業には、極めて高い安全性要求が存在しています。
人命を預かる航空機なので当たり前のことではありますが、国際的な品質管理基準や、数十年の長きにわたるトレーサビリティが担保される必要があり、別業界のようなコスト優先の取引ではなく、安全・信頼を求める長期安定的品質が重視されています。
このことから金属3Dプリンターに当てはめてみると、日本での活用はまだ確かに見込めないのかもしれません。
その理由は一つに海外のように金属3Dプリンターサービスビューローが多くないこと。
企業間競争が少なく、航空機品質への追及が遅れている。
また、国際的な品質管理基準・認証取得の困難さと投資金額が航空機産業への参入を高い壁にしていることです。
金属3Dプリンターも決して安くはありません。高価な設備のほかに莫大な投資金額を用意しなければ航空機における金属3Dプリンター技術を使用できないのも壁になっているかもしれません。
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どうする?トレーサビリティ
航空機での金属3Dプリンターの存在が大きく拡大すればするほど考えなくてはならない問題が金属3Dプリンターにはあります。
それがトレーサビリティです。
トレーサビリティとは物品の 流通 経路を生産段階から最終消費段階あるいは 廃棄 段階まで 追跡 が可能な状態をいいますが、金属3Dプリンターで使用する粉末のトレーサビリティをどう担保するのかは頭を抱えます。
毎回新品の粉末を使用するのであれば問題は少ないですが、再生を繰り返す場合は大きな課題になります。
日本の航空機業界、粉末業界を交えてこの課題について取り組む必要がありそうですね。
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日本も遅れを取れない
海外の航空業界でどのように課題を克服し進んでいるのかはわかりませんが、日本も遅れを取ることは許されません。
それは中国の自動車産業が驚異的な成長を遂げていると同時に航空機業界での成長も急激だからです。
金属3Dプリンターも中国製が販売され、その技術も積極的に取り組んでいます。
航空機産業の中心アメリカ、フランス、イギリス、ドイツはそれぞれ金属3Dプリンターの活用を以前からしていますが、日本はまだ遅れている状況。 中国は積極的に取り組んでいる状況からすると、本当に遅すぎている感じがあります。
弊社は航空機業界からは縁遠いですが、関係あろうがなかろうが金属3Dプリンター技術を高め各国に後れを取らないよう研究も含め実施いたします。
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