2007年 09月 23日
共生社会をデザインする
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エイブル・アート・ワークショップ2007 「共生社会をデザインする」 ~インクルーシブデザインの手法を通して~ での講演
「コミュニケーションをデザインする」 京都大学 塩瀬先生
本ワークショップのテーマである「共生社会をデザインする」に対する一つのリファレンスを提示された。
目の見えない方と美術館に行き「絵を解説する」という活動をされているという。
聞いただけでも「大変そう」と感じる方もいると思うが、さて以下の絵(モナリザ)はどのように伝えられるだろうか。
・女性が座っています。
・右手が左手の上に添えられています。
・少し微笑んでいます。
・
・
いやいや、もっとこの絵には伝えるべきことがありそうだ。
・気品を感じる女性が、薄明かりの中で微笑んでいる。
・落ち着いた、でも何かを伝えたいような非常に奥行感のある表情だ。
・服装はダークな色でシンプル、そして品がある。
・
・
単にそこにあるモノ・コトを伝えるだけでなく、晴眼者が感じた感性的、情緒的な部分も伝えなければ、その絵を伝えたことにはならない。客観性に欠けるとの指摘もありそうだが、こうした主観的な感想が目の見えない方にはありありと情景が想起できるもののようだ。
そして、このように伝えるためには晴眼者自らが「解釈(絵を読み取ろうとする意識)」をしなければならない。この「解釈」のプロセスは、伝える側に様々な「気づき」を与えるという。本講演では、様々な事例を通して「そもそも晴眼者は普段の生活において(美術館に行った時でさえ!)”見ているようで見ていない”」ということを気づかせる。
そして、ここからが面白い。
目の見えない方は「伝えてくれることにありがとう」 そして、晴眼者(伝えている側)も、「いろいろ気づかせてくれてありがとう」と、お互いに感謝の気持ちが出てくるという。
サポートする側、される側といった一方的な関係ではなく、お互いがメリットを感じる関係になりうる。これこそ「あるべき共生社会」に向けた正しい関係ではないか。
塩瀬先生はこうした障がいを持つ方から発想したコミュニケーションの可能性を研究しておられる。講演後、様々な研究活動をご紹介して頂いたが、どれも大変興味深く、様々な応用展開を感じさせるものばかり。
手前味噌になるが、拙著で紹介しているプレゼン方法も、障がいを持つ方に配慮したものだが、「伝わるようにサポートした」というより、「新しいプレゼン方法に気づかせてくれた」という意識の方が強い。
様々な特性を持つ方が、お互いサポートしあい、でもそれがサポートという一方的な関係ではなく、お互いがメリットを感じる新しい関係。
「共生社会をデザインする」というのは、こうした関係をデザインすることなのかもしれません。
___
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「コミュニケーションをデザインする」 京都大学 塩瀬先生
本ワークショップのテーマである「共生社会をデザインする」に対する一つのリファレンスを提示された。
目の見えない方と美術館に行き「絵を解説する」という活動をされているという。
聞いただけでも「大変そう」と感じる方もいると思うが、さて以下の絵(モナリザ)はどのように伝えられるだろうか。
・女性が座っています。
・右手が左手の上に添えられています。
・少し微笑んでいます。
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いやいや、もっとこの絵には伝えるべきことがありそうだ。
・気品を感じる女性が、薄明かりの中で微笑んでいる。
・落ち着いた、でも何かを伝えたいような非常に奥行感のある表情だ。
・服装はダークな色でシンプル、そして品がある。
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単にそこにあるモノ・コトを伝えるだけでなく、晴眼者が感じた感性的、情緒的な部分も伝えなければ、その絵を伝えたことにはならない。客観性に欠けるとの指摘もありそうだが、こうした主観的な感想が目の見えない方にはありありと情景が想起できるもののようだ。
そして、このように伝えるためには晴眼者自らが「解釈(絵を読み取ろうとする意識)」をしなければならない。この「解釈」のプロセスは、伝える側に様々な「気づき」を与えるという。本講演では、様々な事例を通して「そもそも晴眼者は普段の生活において(美術館に行った時でさえ!)”見ているようで見ていない”」ということを気づかせる。
そして、ここからが面白い。
目の見えない方は「伝えてくれることにありがとう」 そして、晴眼者(伝えている側)も、「いろいろ気づかせてくれてありがとう」と、お互いに感謝の気持ちが出てくるという。
サポートする側、される側といった一方的な関係ではなく、お互いがメリットを感じる関係になりうる。これこそ「あるべき共生社会」に向けた正しい関係ではないか。
塩瀬先生はこうした障がいを持つ方から発想したコミュニケーションの可能性を研究しておられる。講演後、様々な研究活動をご紹介して頂いたが、どれも大変興味深く、様々な応用展開を感じさせるものばかり。
手前味噌になるが、拙著で紹介しているプレゼン方法も、障がいを持つ方に配慮したものだが、「伝わるようにサポートした」というより、「新しいプレゼン方法に気づかせてくれた」という意識の方が強い。
様々な特性を持つ方が、お互いサポートしあい、でもそれがサポートという一方的な関係ではなく、お互いがメリットを感じる新しい関係。
「共生社会をデザインする」というのは、こうした関係をデザインすることなのかもしれません。
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by isoamu
| 2007-09-23 07:44
| インクルーシブデザイン