「IPOは儲かる!」という情報を見聞きして、IPO投資に興味を持った人は多いのではないでしょうか?ただ投資というのはリスクが付き物ですから、半信半疑の状態になっているかもしれません。
「本当にIPOは儲かるのか?」
「IPO投資はどれくらい儲かるのか?」
こうした事が気になっている事でしょう。
そこで今回は「IPO株の投資がどれくらい儲かるのか」「IPO投資が儲かる理由」などについて紹介していきたいと思います。前半部分はあま~い話が続きますので、特に初心者の方は最後まで読み進めてくださいね。
IPOはどれくらい儲かるのか?
「IPOが儲かる」と言われる所以は、初値売り時のパフォーマンスにあります。つまり、IPOは初値が公募価格を大きく上回る事が多いんです。初値売りをすれば、その差額を利益として得られるわけですね。
- 初値:新規上場時に初めてその銘柄に付く株価
- 初値売り:初値でのIPO株の売却
- 公募価格:新規上場に向けて投資家に販売される価格
では、IPOがどれくらい儲かるのかを見ていきましょう。
まずはここ5年間の勝率からです。「公募価格<初値」となれば”勝ち“、逆に「公募価格>初値」となれば”負け“、「公募価格=初値」となれば”引き分け“としてカウントしています。
2014年~2018年のIPOの勝率⇒過去5年で85.7%
年 | 上場件数 | 勝敗 | 勝率 |
---|---|---|---|
2018年 | 90件 | 80勝9敗1分 | 88.9% |
2017年 | 90件 | 82勝8敗 | 91.1% |
2016年 | 83件 | 67勝15敗1分 | 80.7% |
2015年 | 92件 | 82勝8敗2分 | 89.1% |
2014年 | 77件 | 59勝15敗3分 | 76.6% |
5年計 | 432件 | 370勝55敗7分 | 85.6% |
どうですか?かなり高い勝率だと思いませんか?2015年・2017年・2018年に至っては勝率90%前後にもなっています。5年間の平均でも85.7%です。
もちろん、100%勝てるわけではありませんが、安定して儲ける事ができる!という点に異論は無いと思います。
次に同期間における初値売り時の年間利益額について見ていきます。これは単純に、各銘柄の「(初値-公募価格)×100株」で計算した利益額・損失額を合計した金額です。
2014年~2018年のIPOの初値売り時の年間利益額⇒年間平均利益は1,600万円!
年 | 獲得利益 |
---|---|
2018年 | 22,119,400円 |
2017年 | 19,196,700円 |
2016年 | 11,123,800円 |
2015年 | 14,931,200円 |
2014年 | 14,336,900円 |
5年計 | 81,708,000円 |
勝率もさることながら利益額も大きな金額になっています。年間の平均獲得利益は約1,600万円にもなります。1銘柄当たりで見れば、平均獲得利益は約19万円です。100株の投資における利益額ですから、かなりの儲けになりますよね。
このような事からIPO投資は「儲かる」と言われているんですね。
1銘柄だけでも儲かる!100万円単位の利益が出る事も
ここまでは年間を通しての「IPO投資の儲け」について見てきました。次に紹介するのは「個別銘柄単位での儲け」についてです。
さきほど1銘柄当たり約19万円の平均獲得利益というデータを紹介しましたが、平均データですから当然ながら平均金額を大きく上回る利益額を叩き出す銘柄もあります。利益額が100万円を超えるようなIPO銘柄もあり、またそうした銘柄が毎年上場します。
では、実際に莫大な利益をもたらしたIPO銘柄のデータについて見ていきましょう。以下の表は、2014年~2018年のそれぞれの年に利益額1位となった銘柄を一覧にしたものです。
年 | 銘柄名 | 価格 | 初値 | 騰落率 | 利益額 |
---|---|---|---|---|---|
2018 | HEROZ | 4,500円 | 49,000円 | 988.9% | 4,450,000円 |
2017 | トレードワークス | 2,200円 | 13,600円 | 518.2% | 1,140,000円 |
2016 | グローバルウェイ | 2,960円 | 14,000円 | 373.0% | 1,104,000円 |
2015 | ネオジャパン | 2,900円 | 14,550円 | 401.8% | 1,165,000円 |
2014 | CRIミドルウェア | 2,400円 | 13,500円 | 462.5% | 1,110,000円 |
HEROZの利益額はサラリーマンの平均年収ぐらいですよね。1銘柄だけの利益で年間の給与分の儲けが出るというのは夢の有る話です。HEROZ以外でも100万円を超える利益額となっているので、十二分な儲けと言えるでしょう。
このように一撃で莫大な儲けを出せるのもIPO投資の魅力の1つなんですね。
公募割れ銘柄を回避できれば勝率・利益は更に高められる
ここ5年間のIPO投資の勝率は85.7%です。逆にいえば、14.3%は公募価格を初値が下回って負ける事になります。いわゆる公募割れという事ですね。
この公募割れは不可避なのか?というとそうではありません。回避可能です。現状、IPOは好調が続いているので、公募割れを起こす銘柄の特徴は分かりやすくなっています。
公募割れを起こす銘柄の特徴がこちらです。
- 公募・売出の株数が多い銘柄
- 上場する市場が東証1部の銘柄
- 仮条件が想定価格を下回る銘柄
- 公募価格が仮条件の上限未満となる銘柄
こうした特徴を持つIPO銘柄は公募割れを起こすリスクが高いので、投資判断を行う際の参考にしてください。公募割れ銘柄を回避する事ができれば、IPO投資の勝率・利益額を更に高める事が出来ますからね。
IPOが儲かる理由~初値はなぜ上がるのか?~
では、そもそもなぜIPOは初値が公募価格よりも大幅に上昇し、儲かるのでしょうか?
その理由として考えられるのが以下の3点です。
- 公募価格が割安に設定されているから
- IPOの人気が高いから
- 需要量が供給量よりも圧倒的に多くなるから
公募価格が割安に設定されているから
まず1つ目の理由が「公募価格の割安設定」です。この事を証券業界では”IPOディスカウント“と呼んでいます。
つまり、適正な株価よりも敢えて安い公募価格で販売しているので、上場時の初値はその分高くなりやすい仕組みになっているんです。
割安で販売する理由は、既に上場している企業よりも公開されている情報が少ない事や株式の流通性が乏しい事など、投資家が負うリスクを株価に反映させるためです。
こう言うと聞こえは良いですが、実際の所は証券会社がIPO株を売り切りたいというのが本当の理由かもしれません。株主数や流通株式数などの上場基準を満たす必要がありますし、また証券会社は全量買い取りの元引受契約を結んでいるので売れ残れば損失につながるからです。
何はともあれ、公募価格が割安な設定になっており、初値が上がりやすくなっているんですね。ただ、必ず割安になった分初値が上昇するわけではなく、それ以上に上がる事もあれば、公募割れを起こす事もあります。あくまでIPOが儲かる理由の1つとして考えておきましょう。
IPOの人気が高いから
2つ目の理由が「IPOの人気の高さ」です。特に新興企業向けのマザーズやジャスダックに上場する銘柄には人気が集中します。
というのも、新興企業の中には短期間または長期間で飛躍的に株価が成長する銘柄が出てくる可能性があるからです。
そのため、成長への期待感による初値買いが加熱相場を生み、初値の上昇へと繋がるんですね。
需要量が供給量よりも圧倒的に多くなるから
そして最後の理由が「株式の需要量が供給量より圧倒的に多くなる点」です。
株価は基本的に需要と供給のバランスによって決まります。需要つまり買いたい人の方が多ければ株価は上がり、逆に少なければ下がります。
IPOでは需要が圧倒的に多くなるケースが頻繁に起こり、初値の上昇に繋がります。
そうした事が起こる要因の1つが、公開株数にあります。ほとんどのIPO銘柄は公開株数が非常に少なく、上場日に売りたい人そのものが少なくなります。供給が少なくなるという事ですね。
そして、公募価格で買えなかった人が大量に出てくるので、そうした人が上場日に殺到する事になります。需要が多くなるわけですね。
このように、IPOでは供給が少なくなり、需要が多くなるので、初値が大きく上昇しやすくなるんですね。
ただし!「確率」という大きな壁がある
ここまで「IPOが儲かる」という話をしてきました。IPO投資を始めようか!と思った人も多いでしょう。
しかし、注意して欲しいのは「公募価格で購入できたら」という条件付きの話です。
というのも、IPOを公募価格で購入するには、まず抽選において当選する必要があります。このIPO抽選の確率がけっこう低いんです。冒頭から紹介してきた利益額等は全ての銘柄で当選したと仮定した場合ですので、実際はかなり少なくなります。運の悪い人なら年に1回も当選しないなんて事も。
IPOは当選すれば儲かる投資ですが、実際に儲けるためには抽選確率という大きな壁を超えていく必要がある事は覚えておきましょう。
ただし、IPOの抽選確率を上げるコツはあります。IPO投資で儲けるのは簡単ではないと理解した上で、それでもIPO投資をやってみよう!と思う人は参考にしてください。
なお、証券会社の中には資金不要で抽選に参加できるところがあります。資金を用意するのは当選した時だけです。なかなか当たらないIPOに資金を回すのが勿体無いと思う人は、資金不要で抽選に参加できる証券会社だけからでもIPO投資をやってみてはいかがでしょうか?
IPOに当選するコツ
IPO投資の基本戦略は「なるべく多くの証券会社の口座から抽選に参加する事」です。
IPOの抽選は各証券会社で独自に抽選が行われるので、抽選機会を増やす為に多くの証券会社でIPOの抽選に申し込む必要があります。抽選に参加しなければ当選確率は0ですからね。当選確率を高める為に1つでも多く、証券会社の口座を開設しておきましょう。
ただし、抽選に参加するには基本的に資金が必要です(さきほど紹介したように、資金不要の証券会社もあります)。抽選に参加する証券会社が多いほど、準備しなければならない資金も多くなります。そのため、投資資金が少ない人は、申し込める証券会社の数が限られてしまいます。
そこで実践して欲しいのが今回紹介するIPO当選のコツです。抽選に参加する証券会社を選ぶ上での基準・考え方とも言えるので是非参考にしてください。
主幹事証券の抽選申込は必須
IPOでは銘柄毎に主幹事証券と幹事証券が存在します。このうち、主幹事証券の抽選は必ず申し込むようにしてください。
その理由は至って単純で、主幹事証券の割当株数が圧倒的に多いからです。銘柄にもよりますが、概ね主幹事証券の割当株数は全体の80%~90%にもなります。残りの株数を幹事証券内で配分します。
そのため、割当株数が多い分、抽選における当選本数も多くなります。当選確率を上げるために、主幹事証券から必ず申し込むようにしましょう。
なお、2018年の主幹事実績ランキングTOP3は「みずほ証券」「SMBC日興証券」「野村證券」です。以下の記事で幹事証券の実績ランキングも併せて紹介しているのでチェックしてみてくださいね。
割当株数と抽選配分割合から当選本数の多い幹事証券をピックアップ
なるべく多くの証券会社で抽選に参加する事がIPO投資の基本戦略ですから、主幹事証券から申し込んでも投資資金に余裕がある場合は幹事証券からも申し込みましょう。ただどの幹事証券が当選しやすいのかは悩ましい所だと思います。
そこで申し込む幹事証券をピックアップする上で基準にして欲しいのが「割当株数」と「抽選配分割合」です。細かい事を抜きにすれば、2つの数値を乗じる事で各幹事証券の当選本数を知る事ができます。当選本数の多い幹事証券から優先して抽選に申し込むようにしましょう。
なお、割当株数は抽選申込開始日の前日である仮条件決定日に提出される目論見書の訂正事項分に記載されます(稀に抽選日である公開価格決定日に提出される第2回訂正事項分に記載される事もあります)。
また、各証券会社の抽選配分については以下の記事で一覧でまとめているので参考にしてください。抽選配分割合を100%に設定しているのは基本的にネット証券ですので、それらを中心にチェックすると良いでしょう。
利用しやすい!SBI証券と大和証券の優遇抽選は要チェック!
優遇抽選とは、証券会社に預けている資産額や取引履歴などによってIPOの当選確率が優遇される抽選方法です。初心者の方や投資資金が少ない人には、不利な抽選と言えます。
しかし、証券会社の中には利用しやすい優遇抽選を採用している所があります。それが「SBI証券」と「大和証券」です。
SBI証券では「IPOチャレンジポイント」と言って、使用するポイントが多い順に当選する優遇抽選が採用されています。ポイントを貯めていけば、いつか必ずIPOに当選するポイント制度なんですね。
ポイントは落選する度に1ポイントが付与されるので、ポイントを貯めるためにもSBI証券からの申込は必須と言えます(貯めている間に当選する事もありますからね)。
大和証券では、預けている資産額によって決まるステージ又は取引手数料等で貯めるポイントで抽選回数が増える優遇抽選が行われます。通常の方法ではハードルが高い優遇抽選ですが、大和証券グループ本社の株主優待を利用すれば、ポイントを一気に貯める事ができます。
最大10回までチャンス抽選を増やす事ができるので、株主優待をゲットして、大和証券からも抽選に参加するようにしましょう。
口座開設数が少ない証券会社から申し込む
突然ですが、当選確率を公表しているのは「楽天証券」と「エイチ・エス証券」だけです。それ以外の証券会社は公表していません。
そこで、なるべく当選確率が高い幹事証券を選ぶ上で参考にして欲しいのが「口座開設数」です。考え方が少し単純すぎるかもしれませんが、口座開設数が少ない証券会社ならIPOの抽選参加人数も少ないだろうという算段です。
基本的には割当株数と抽選配分割合から計算した当選本数の多さで申し込む幹事証券を選べば良いのですが、ほぼ同じ数値になる事もあります。そんな時に口座開設数を加味して申し込む証券会社を選ぶようにしてみましょう。
なお、各証券会社の口座開設数は以下の記事にまとめているので参考にしてくださいね。
みんな知らないかも?裏幹事からの申込
さきほど主幹事証券と幹事証券が存在するという話をしましたが、実は抽選の申し込むができる証券会社がもう1種類存在します。それが「裏幹事」です。
この裏幹事は目論見書に記載されないので、気付かないIPO投資家もけっこういます。ロジックは口座開設数の少ない証券会社からの申し込むと同様です。ライバルの少ない所から申し込む戦略ですね。
ただし、裏幹事の割当株数は基本的に500株~1,000株と少ないです。なので優先度としては低くなります。
しかしながら、狙い目となるパターンもあるので覚えておきましょう。それが以下の3パターンです。
販売を委託する側である証券会社が割当株数が多い主幹事の時ですので、委託する株数も多くなる傾向があります。このパターンに当てはまる場合は優先度を上げるようにしましょう。
資金効率UP!後期型の証券会社からも申込
各証券会社は、抽選のタイミングの違いによって「前期型」と「後期型」に分類する事ができます。
その違いを表したのが以下の画像です。
購入申込の前に抽選が行われるのが「前期型」。購入申込の後に抽選が行われるのが「後期型」となります。この違いを利用すれば、資金の無い人も限られた資金で前期型と後期型において抽選を受ける事ができます。
簡単に説明すると、前期型の証券会社に資金を移動させて抽選申込を行って、抽選を受けます。そして、落選していれば、その資金を後期型の証券会社に移動させて、購入申込を行い抽選を受けます。同じ資金で2度抽選を受けられるという事ですね。
こうした資金効率UPを図れる証券会社は以下の4社です。
資金効率をUPさせて、1回でも多くIPOの抽選を受けたい人は上記証券会社の口座を開設しておきましょう。
なお、証券会社によって先に後期型に資金を移動させて抽選申込を行う必要があるので、詳しい手順は以下の記事を参考にしてください。
以上がIPOに当選するちょっとしたコツです。何も考えずにIPO抽選の申込をするよりも、上記の事を参考にすれば、当選期待度は高まってきます。
IPOに当たらないと悩んでいる人や今からIPO投資を始める初心者の人は参考にしてくださいね。
まとめ
今回は「IPOは儲かるのか?」をテーマに話を進めてきました。
確かにIPOは高確率で勝て、かつ大きな利益が出ます。しかし、実際に利益を得るには、当選確率という壁を超えなければなりません。逆に言えば、抽選さえ突破できればオイシイ投資という見方も出来ます。
当記事の終盤に紹介した”IPO当選のコツ”を参考にして、IPO投資での利益獲得にチャレンジしてみてくださいね。