Appleの新ケース素材「ファインウーブン」を徹底調査〜コーヒーのシミはつく?
デバイスの分解で知られるiFixitは、レザーの代わりに導入されたファブリック素材「ファインウーブン」を徹底的に調査しました。ケースはひっかき傷やコーヒー、油などにも晒されており、その耐久性が検証されています。
■3行で分かる、この記事のポイント
1. iFixitが、ファインウーブンのケースの耐久性を検証した。
2. デジタル顕微鏡で見ると、一部のアウトドアジャケットに近い構造であることがわかった。
3. 鍵によるひっかきでは繊維自体にダメージはなかったものの、視覚的な跡が残ることが判明。
デジタル顕微鏡で拡大して見てみる
iPhone15 Proのファインウーブンケースを、Evident Scientificの協力のもと、52倍、490倍(トップ画像)で見てみます。
“ファイン”ウーブン(FineWoven)の名の通り、一本一本の繊維が非常に細いのがわかります。その太さは約6ミクロンで、人間の髪の毛の約12分の1の幅だそうです。これらの繊維の集まりが、約150ミクロンの太さの糸を構成しており、1インチ(2.54センチ)あたり、170本の糸が一方向に通っています。
アウトドアジャケットと同じ繊維だった?
iFixitは、Appleのファインウーブンと同じ繊維構造のファブリックがどこかに使用されていないか調べたところ、Arc’teryxのアトムLTジャケットとPatagoniaのテックフェイスジャケットに使用されている素材が非常に近いことがわかったそうです。
Patagoniaのテックフェイスの商品ページには、素材について次のように記されています。
通気性と伸縮性のあるダブル織りの5.2オンス・ポリエステル92%(リサイクル・ポリエステル69%)/ポリウレタン8%。DWR(耐久性撥水)加工済み。
このリサイクル素材69%という数字は、Appleの「消費者からの回収品由来の再生材料を68%使用した、エレガントで耐久性のある綾織物」というファインウーブンの説明ともほぼ一致すると言えます。
ひっかき傷を検証
ファインウーブンを鍵でひっかいてみたところ、糸が切れたり染料が剥がれたりすることはなかったようです。しかし、傷のついた繊維が光を乱反射することで、視覚的な跡が残ることがわかっています。
コーヒーのシミを検証
Appleのファインウーブンは、Patagoniaのジャケットのように撥水加工が施されていませんが、コーヒーのシミは跡形もなくケースから蒸発したとのことです。
油のシミを検証
油分を多く含んだ指でケースを持ったところ、やはり跡が残ってしまったようです。試しに洗剤でこすってみたところ、シミは薄くなったものの、完全には取れなかったそうです。
ソースのシミを検証
うっかり汚れたテーブルの上にスマホを置いてしまったという設定のもと、ソースのシミをファインウーブンにつけてみたところ、ソースの酢が染み込み、生地が傷んでしまったとのことです。
Source:iFixit, Patagonia
(lexi)