無線LANシステムは、製品の低価格化やノートパソコンへの搭載、さらにはホットスポットの登場により、今年は一気に普及しそうな勢いだ。そういった流れもあり、今ではそれほど珍しくはなくなった“インターネットホテル”も、最近では無線LAN方式で提供するところが現われてきている。
今回は、インターネット接続回線が用意されているホテルや旅館、ペンションなどの施設の中から、宿泊時にも無線LAN接続が行なえる“IEEE 802.11b対応の宿”をいくつか集めてみた。
●無線LANのある温泉宿記事タイトルからも想像できるように、この特集のきっかけは“ホットスポット”にひっかけたくだらないダジャレであった。しかし、Googleで試しに検索してみると、無線LAN設備のある温泉宿というものがけっこうあるものである。
もちろん、本来の意味でのホットスポットサービスではない。インターネットホテルの延長にあるサービスで、単にそれが無線化されているというだけであるが、ケーブル不要で使えるメリットは大きい。さすがにお風呂につかりながらというのは無理かもしれないが、都会のインターネットホテルとはまた別の使い方がありそうだ。ただし、宿によって無線接続できる場所が異なり、必ずしも客室で利用できるわけではないことに注意したい。
なお、ここに挙げた温泉宿のうち「うめや旅館」では宿泊者向けのみならず、本来の意味でもホットスポットサービスを展開している。「ホットSPA!っと」という名称で、今後は他の旅館や商店などにもサービスを拡大していきたいとしている。大手通信事業者のサービスはまだ都市部が中心だが、こういった取り組みが活発になれば、シャレではなく温泉地がまるごとホットスポット化するところも出てくるかもしれない。
■みどりヶ丘温泉 サウナビジネスホテル(北海道帯広市)ペンションや小規模なホテルでも、無線LAN設備を導入しているところが増えているようだ。宿そのものは[温泉+無線LAN]とは言えないかもしれないが、温泉地などリゾートエリアに立地しているということで、ここであわせて紹介したい。
それほど規模が大きくないため、無線LANの設置が比較的手軽に行なえるという理由も大きいだろう。また、個人オーナーという運営形態は導入までの意志決定が速い。さらに、そもそもITの活用に積極的なオーナーも多いことと思われる。
その証拠に、それぞれウェブサイトにおける情報提供にも力が入っている。施設の案内や空室、予約申込みなどはもとより、中にはライブカメラを設置してペンションの内部や周囲の様子まで配信しているところもある。インターネットユーザーにとっては、予約するにも実際に泊まるにも非常に便利である。
ただし、留意しておかなければならないのは、すべての施設が必ずしもインターネットまでブロードバンド接続状態ではないということだ。上で紹介した温泉宿も含め、ペンションなどのリゾート施設は立地場所の性格上、ADSLなどのブロードバンドサービスでカバーされていないところもある。バックボーンがISDNや128kbpsの専用線などのところもあるということは事前に理解しておくべきだ。
■北軽井沢ペンションレアール(群馬県吾妻郡長野原町)ちなみに、件のダジャレからはちょっと離れて都市部のビジネスホテルなども見てみると、やはりここでも無線LAN方式でインターネット接続回線を提供するところが現われている。インターネットホテルの館内回線といえば、一般的にはVDSLなど既存の有線回線を利用する方式で構築される場合が多いが、規模によっては無線LANのほうがはるかに低コストで導入できるメリットがある。
その一方で、客室によっては基地局との位置関係により電波状態が異なり、接続品質に差が出てしまうというデメリットもある。こういう問題に対して、例えば「ビジネスホテル湊屋」では、ホテル内の各客室における電波状況のデータをウェブサイトで掲載するなど配慮している。客室で無線LANが使えることをうたっている他のホテルでも、一部電波が届かない客室があることも当然考えられる。予約時に使える部屋を指定しておくほうが無難だろう。
今回は、IEEE 802.11b対応の宿27軒についてピックアップしたわけだが、これは現在INTERNET Watchで把握しているものに過ぎない。全体のほんの一部だろうし、今後も続々と増えることが予想される。ところが、無線LANが使えるというような条件で検索できる宿泊予約サイトなどはまだ見あたらないようである。そこで、最後に2つのサイトをお勧めしたい。
「PBNews Hotels」は、インターネット接続回線が用意されているホテルの情報を集めているサイトだ。5月17日時点で国内のホテル約380軒がリストアップされているほか、海外も合わせるとその数は450軒以上にも及ぶ。各ホテルごとに所在地と接続方式についての簡単な説明、ホテルのサイトへのリンクなどが用意されている。無線専門というわけではないが、無線/有線の区別が明記されているため、そこで判断できるはずだ。
一方、「FreeHotspot.jp」は無線LAN接続スポットが専門の情報サイトだが、その名の通り、本来の意味でのホットスポットが対象。特に誰でも手軽に利用できる“フリー”のスポットを扱っているということで、宿泊者限定のサービスとなるホテルなどは対象外となっている。確かにホテルについてもいくつかピックアップされているが、レストランやロビーなど公衆向けサービスを展開しているスポットだ。ただし、別途「無線LANを利用可能なホテル」として、宿泊者向けサービスを展開しているホテルやペンションについても一覧表を掲載してフォローしているので十分に参考になるだろう。
■PBNews Hotels(2002/5/20)
[Reported by [email protected] / Watchers]