追記:2021年6月3日
Windows server 2012以降、FSMT (File Server Migration Toolkit)は一機能として、Windows Serverに統合されている。
docs.microsoft.com
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本文
これは2007年に投稿したエントリーで、以前のブログから引き継いだものに加筆したものです。
social.technet.microsoft.com
こういうものがあったか!と驚かされたツール。適当にTechNetを眺めていたときに、その存在を知ったツール。今まで気が付かなかったのが悔やまれます。
ファイル・サーバーの移行というと、条件反射的にRoboCopyで一発!と思い立つところですが、対象データが膨大だったりすると、段階移行の手順を踏まなければならず、各段階において、参照権限の関係で取り残されてしまうフォルダがあったり、後戻りが発生します。
このツールを利用すれば、そんな管理者の悩みがいくらか緩和されます。
できることは、フォルダやファイルのコピーはもちろんとして、
- アクセス許可、監査、所有権のコピー
- 無効なセキュリティ記述子の解決
- 移行元サーバーの共有フォルダの共有停止
- 失敗時の再試行、ロール・バック
などなど。特に2は地味な部分ではありますが、ありがたい!と思う管理者も結構いるのではないでしょうか。
また、DFS (Distributed File System)を利用している場合の、名前空間だったりUNCパスだったりの、分散ファイル・サーバーにまつわる諸々も自動解決してくれます。
ツールを起動すると、
- DFS統合ルート・ウィザード
- ファイルサーバー移行ウィザード
のどちらか一方を選択します。移行のためのプロジェクトを作成し、どのサーバーからどのサーバーへ、何を移行するのか?そのときどんなことをやるのか?などをすべてGUIで選びながら、要件を設定していきます。一通りの設定が終われば即実行!ではなく、検証です。
この検証も、ツールが実施してくれます。移行先の容量が足りないとか、移行データに不備があるなど、移行実施前に不測の事態に備えることができます。
移行対象データの総容量が膨大なときは、段階を踏んで、前回の途中から再開するたことも可能です。変更データは自動的に見つけて、差分的に移行してくれます。
また、すべてを一度に移行するには無理があるときには、最新のバックアップを移行先でリストアし、その差分、増分を移行して、移行時間を緩和したいところですが、そんな差分、増分の移行対応をこのツールでまかなうことも問題なし。
タイミングよく、緊急のファイル・サーバー移行案件が降ってきました。対象データもなかなかまとまった分量で、一晩での移行は難しそうです。もうすでに現場で実作業を担当する身ではないのですが、移行手段の一つとして提案してみようと思います。