「11月の今月読む本」その2 2015年No.1 ノンフィクション登場!

2015年11月12日 印刷向け表示
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朝会は静かに続く。久しぶりの早朝ということもあり、みんなまだ半分寝ているようだ。いつもはチャチャを入れたり突っ込んだりの仲野も麻木も湿りがち。人の揚げ足を取ることにかけては、広告マンより才能があると思われる内藤でさえ「なんだか今日は静かだね」とこそこそ囁かれる始末である。

しかし機運は高まってきていた!

内藤順

グアンタナモ収容所 地獄からの手記
作者:モハメドゥ・ウルド・スラヒ 翻訳:中島 由華
出版社:河出書房新社
発売日:2015-11-19
スーパーベターになろう!
作者:ジェイン マクゴニガル 翻訳:武藤 陽生
出版社:早川書房
発売日:2015-11-15
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コネクトーム: 脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか
作者:セバスチャン・スン 翻訳:青木薫
出版社:草思社
発売日:2015-11-18
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「今月読む本」は「まだ読んでないけど面白そう」という精神が基本である。この3冊は、朝会当時まだ発売されていない本。悪名高い収容所の囚人の手記とか、ゲームにおける新しい効用、そしてHONZでもおなじみの翻訳者・青木薫さんの脳科学最前線の本ともなれば興味しんしん。発売日には書店で見てみよう。

足立真穂 

デザインのひきだし26
作者:
出版社:グラフィック社
発売日:2015-10-15
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ここで小爆発が起こる。いつも「誰も見たことのない本」を用意してくる足立らしく、グラフィック社から出ている紙見本の本が超美しいのだ。紙を使うデザイナーにとって、質感は何より大事。でも一般の人でもなんとなく欲しくなってしまう。すりすりすりすりとみんな触り続けてる。地元の殿様を網羅した国衆ガイド、大好きなJAMSTECの台所など、さすがの選本。

堀川大樹

ダニ・マニア チーズをつくるダニから巨大ダニまで (増補改訂版)
作者:島野 智之
出版社:八坂書房
発売日:2015-10-23
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生命はいつ、どこで、どのように生まれたのか (知のトレッキング叢書)
作者:山岸 明彦
出版社:集英社インターナショナル
発売日:2015-09-25
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原子力と人間の歴史 ドイツ原子力産業の興亡と自然エネルギー
作者:ヨアヒム ラートカウ 翻訳:山縣 光晶
出版社:築地書館
発売日:2015-10-24
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クマムシ博士の堀川はブレない。微少な生き物に対する愛情は山よりも高く、海よりも深い。「えー、ダニなのぉ?」という麻木の抗議にも「いいやつなんです」と弁護。アストロバイオロジーの先駆者が語る命の根源、ドイツにおける原子力に対する考え方の変遷など、さすがに科学者らしい。それにしても、こんなに厚い本を読むのは村上浩くらいかと思っていたのに。 

 久保洋介

水中考古学 - クレオパトラ宮殿から元寇船、タイタニックまで (中公新書)
作者:井上 たかひこ
出版社:中央公論新社
発売日:2015-10-22
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すごい!  磁石
作者:宝野 和博
出版社:日本実業出版社
発売日:2015-06-25
古代ギリシャのリアル
作者:藤村 シシン
出版社:実業之日本社
発売日:2015-10-15
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そういえば久保は古代史の本を多く紹介している。意外とロマンチストなのかもしれない。アトランティス大陸やらタイタニックやら海底にはお宝がいっぱいだ。古代ギリシャのイメージを一変させるらしいこの本も魅力的。磁石は最近の工業の発展の中では欠かせないアイテムなのだそうで、日本の技術はすばらしいらしい。

新井文月

残酷な王と悲しみの王妃2
作者:中野 京子
出版社:集英社
発売日:2015-10-26
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図説 真田一族
作者:丸島和洋
出版社:戎光祥出版
発売日:2015-10-20
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中野京子さんの本はハズレがない。それにしてもよくネタが続くと感心する。外国人が感じる京都の感動は意外なもの。レビューはこちら。来年の大河ドラマの影響で山ほど出ている真田もの。この本を選んだのは甲冑の写真や図がたくさん出ていたからだそうだ。やはりイラストレーターだけのことはある。

アーヤ藍

資本主義に希望はある―――私たちが直視すべき14の課題
作者:フィリップ・コトラー 翻訳:倉田幸信
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2015-10-09
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多縁社会
作者:篠原 聡子
出版社:東洋経済新報社
発売日:2015-08-28
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世界はこのままイスラーム化するのか (幻冬舎新書)
作者:島田 裕巳
出版社:幻冬舎
発売日:2015-10-15
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今回初登場のアーヤ藍。ドキュメンタリ映画の配給会社の取締役なのだが若い。つい先ごろ中南米を旅行し、いろいろなカルチャーショックを受けたそうだ。この3冊もその影響か、近代マーケッティングの父・コトラーの本はいいよ、と成毛のお墨付き。様々な家族が一緒に住む家に泊めてもらう経験をしたとか。比較宗教学者とイスラム学者と対談も面白そう。

秋元由紀

アメリカを変えた夏 1927年
作者:ビル ブライソン 翻訳:伊藤 真
出版社:白水社
発売日:2015-10-23
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旅の書物/旅する書物
作者:
出版社:慶應義塾大学出版会
発売日:2015-09-29
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近代測量史への旅: ゲーテ時代の自然景観図から明治日本の三角測量まで
作者:石原 あえか
出版社:法政大学出版局
発売日:2015-09-28
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こちらも初の朝会登場、秋元由紀。アメリカの弁護士であり翻訳家でもある。分厚い上下本『沈黙の山嶺 第一次世界大戦とマロリーのエヴェレスト』を読んだ仲野徹が「よくもまあ、あんなに長い本の翻訳を…」と感嘆していた。アメリカにとって1927年というのは平和の象徴のような年だったのだそうだ。旅と本とは相性がいいが、それを研究するってどういうこと?測量史は冒険の宝庫なのだとか。それにしても大学出版会の本をこんなに読んでいる人がいるんだなあ。

山本尚毅

代替医療の光と闇 ― 魔法を信じるかい?
作者:ポール・オフィット 翻訳:ナカイサヤカ
出版社:地人書館
発売日:2015-09-30
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JA解体―1000万組合員の命運
作者:飯田 康道
出版社:東洋経済新報社
発売日:2015-09-25
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技術の道徳化: 事物の道徳性を理解し設計する (叢書・ウニベルシタス)
作者:ピーター=ポール フェルベーク 翻訳:鈴木 俊洋
出版社:法政大学出版局
発売日:2015-10-13
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信じる者は救われる。しかしそこに莫大な金額が必要なのはおかしい。代替医療に関してはサイモン・シン『代替医療解剖』が思い浮かぶが、様々な訴訟を抱えてしまったらしい。日本郵政が上場した今、次はJAの解体がささやかれる。「技術の使用者である人間の道徳から、人間と機械の相互作用の中にある道徳へ」という分かったようなわからないような本も大学出版会。

塩田春香

冒険歌手 珍・世界最悪の旅
作者:峠 恵子
出版社:山と渓谷社
発売日:2015-09-18
虫屋さんの百人一種
作者:NPO日本アンリファーブル会
出版社:出版芸術社
発売日:2015-07-16
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ゴリラ 第2版
作者:山極 寿一
出版社:東京大学出版会
発売日:2015-09-02
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この朝会の前日、早朝に内藤順は塩田春香に叩き起こされている。「朝会、みんなどこにいるんでしょう?」という問いに「明日だ…」と不機嫌に答えた内藤。ああ、これは一生言われるなあ、と思っていたところ、最終走者である塩田が紹介した本が大爆発した!2015のN0.1だ!と成毛が叫ぶ。『冒険歌手』の内容を聞くうちに、スクリーンに映し出されたアマゾンの在庫がどんどん減っていく。あまりの凄さにみんなその場で買っているのだ!今朝レビューがアップされた、急げ!この本のインパクトが凄すぎて、あと2冊は何を言ったか覚えていないけど、どちらも面白そうではある。

いやはや、意外な展開であった。朝会から5日にして『冒険歌手』を読み終わったメンバーがすでに5人。『殺人犯はそこにいる』以来のヒットだ。私もどこに紹介しようか、迷っている最中である。

さて、欠席者とおまけ本、そして昨今の出版事情解析は次回のお楽しみ。『冒険歌手』より面白い本は登場するのか。請う、ご期待。

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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『決定版-HONZが選んだノンフィクション』発売されました!