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投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
人口学者、エマニュエル・トッドさんが日本の家族形態・文化から日本の将来に警鐘を鳴らしています。環境がまったく変わってしまったのに昔ながらのやり方を押し通そうとするところには本当に無理を感じます。また、日本人は勤勉に見せるのが得意ですが、トッドさんが思っているほど真面目ではないので、余計に心配です。
フランスの人口学者の冷静な分析
2022/05/25 09:52
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済学や政治学とは違った人口学者の観点から、また、アメリカやイギリスではなく、フランスという国からの、長期的で冷静な観点から、独自の分析が語られて説得力があります。ロシアのウクライナ侵攻後の情勢などを受けた、新たな考えなども読んでみたい。
日本の本当の危機とは
2021/12/10 16:47
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランスの歴史人口学者でソ連崩壊、トランプ政権誕生、イギリスのEU離脱を予想した著者が日本の本当の危機は何かを人口動態、歴史から説いている。真の危機は日本の少子化・人口減少が最大の危機。その原因には直系家族制があるとする。前半は著者の家族制から見た世界の現状や民主主義・ポピュリズムについての論評が示され後半に日本の歴史学者との対談が書かれている。多くは雑誌に掲載されていた論評をまとめてある。前半の日本の核武装・対ロシア外交への地政学的賛同、トランプ政治への賛同は読者の考え方、思想により評価が分かれる部分。後半の対談は面白かった。
ポストコロナを見据えて
2022/02/16 23:17
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界情勢と照らし合わせながら、日本社会が抱える危うさを鋭くついています。「絆」が弊害になるという持論に、これからの家族の在り方を考えさせられました。
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【「世界」と「歴史」を鋭く読み解く「現代最高の知性」】世界情勢を日本人向けに解説し、日本の危機は、コロナでも、経済でも、中国でもなく「直系家族の病としての少子化」だと直言する。
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文藝春秋への寄稿のコレクション。タイトル以外のテーマも盛りだくさん。人口統計をもとに、『中国が覇権国になることはあり得ない』と断じているのが印象的でした。
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筆者の専門である「家族構造」を切り口とすると、各国の社会体制や歴史を異なった視点で見れて面白かった。
例えば、資本主義はイギリスで始まり、アメリカではある種一番純粋なかたちで発展しているが、これはイギリス・アメリカで見られる「絶対核家族」(子どもが親元を離れて家族を構築する)による、個人の自由が尊重される価値観が
ベースになっている。一方、ロシアは「共同体家族」(子どもは親と一緒に住み続け、遺産相続は平等になされる)であったため、資本主義を受け入れられず共産主義となった。
確かにそのように考えると、資本主義や共産主義が発生した地域は必然だったと思わされた。
また、ソ連崩壊は、平等を行きすぎた結果、現実との歪みが生まれたのが原因で、昨今のアメリカにおけるトランプ政権誕生やイギリスにおけるブレグジットは、自由が行きすぎた結果としての保護主義への回帰と解釈できる、とのこと。
本書の構成が雑誌の連載を繋げているせいだろうが、読み進めることで議論が深まっていく感じがあまりなかったのが、少し残念。
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経済統計はうそをつくが、人口統計はうそをつかない(筆者=家族人類学者)
自然人日本人 5時からの民主主義
完璧さが長所でもあり短所
唯一の課題は人口減少
移民受け入れは多文化主義ではなく 同化主義で時間をかけて行う
高いGDPでも国内産業が空洞化した国は脆い:コロナ死者
米国
民主党 高教育水準の白人と連携するヒスパニック 黒人 米国人のリベラル
共和党 低教育水準の白人 米国人の真実
英米
資本主義をダイナミックに動かす「創造的破壊」 ←絶対核家族↔直系家族
ネーション(国民)英国の発明 →保護主義
民主主義=自民族中心主義 ←英国 プロテスタント・米国 白人社会
米国は求心力ある普遍的支配へ 日本は特権的な同盟国 ヨーロッパにおける英国
中国
人口規模大のため何にでも特化できる
内的矛盾を抱えたまま地球の重心のひとつへ
・人間の自由を重んじる社会や国が優位に立つ
・戦争は自分の力を過信するとき起る
・ポピュリズムはエリートが民衆の声を受け止めないときに台頭してくる
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筆者はソ連の崩壊とトランプ大統領の当選を「予知」していたという、人口学に詳しい歴史学者。
本書の中では、これまで世界が辿ってきたパワーバランスの変化や、現在の地政学的な問題やこれから取るべき道筋について語られる。それ自体は面白いのだけど…
このタイトルのわりに、本書の半分以上は日本以外のトピックについて語られる。タイトル詐欺!と、どうしても言いたくなる。(最近こういう本増えたよね…)
面白かったのだけど、事前の期待を(悪い意味で)裏切られたという意味で星三つ。
(書評ブログもよろしくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/2022/02/15/%E3%80%90%E3%80%91%E8%80%81%E4%BA%BA%E6%94%AF%E9%85%8D%E5%9B%BD%E5%AE%B6_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%8D%B1%E6%A9%9F_-_%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88
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コロナの死亡率が保護主義的傾向の強い日本や韓国では低くて、女性の地位が高いフランスなどでは死亡率が高いとのこと。
最後の日本人女性がモテる理由など、独自の分析が面白い。
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令和6年(2024)GWの部屋の大掃除で部屋の隅っこから発掘された本です、6月になってしまったので発掘された本館のレビュー書きのピッチをあげないといけないのですが、この本も読みかけの本でした。途中まででレビューを書こうとしましたが、面白そうな内容だったので、読み切ることにしました。
日本の将来が危機であることを、経済の面からではなく「日本型の家族制度」にあるという考えを展開していて、後半では、私も著作を楽しんでいる、磯田氏・本郷氏との対談も州力されていて面白かったです、最後まで読み切って良かったと思いました。
以下は気になったポイントです。
・米国の軍事的実力は見かけほどではない、その証拠に、ロシアは米国を軍事的に恐れていない。問題は、にもかかわらず、自惚れた米国が自分の実力を見誤り、各地で分別を欠いた挑発を行なっていることである。その結果が、イラク、イラン、シリア、ウクライナ、グルジア、アフガニスタンでの失敗であり、米国の介入による混乱が今度は東アジアにももたらされつつある(p11)
・日本はコロナによる死亡率を最小限に抑えたが、高齢者の健康を守るために若者と現役時代の生活に犠牲を強いた、日本のような老人支配の度合いの強い国ほど顕著である。高齢者の死亡率よりも重要なのは、出生率である(p15)
・個人主義的で女性の地位が高い国(英米のような絶対核家族)やフランスのような平等主義核家族で、死亡率が高く、権威主義的で女性の地位が低い国(日独韓)のような直系家族)で死亡率が低くなっている、これにはグローバル化の度合いが大きく関わっている。死亡率の低いグループでは、グローバル下でも暗黙の、保護主義的傾向が作用し、産業空洞化に歯止めがかかって国内の生産基盤と医療資源がある程度維持されて被害の拡大が防げた(p33)
・欧州では、EUとユーロ創設という形で、グローバリズムが貫徹された。特にユーロがフランスの国内企業を破壊した、対照的にドイツは単独通貨マルクよりもはるかに安いユーロによって、EU域内貿易でもEU域外貿易でも恩恵を受け、巨額の貿易黒字を積み上げた。(p34)
・米国を作った英国人たちは、そもそも人類の平等性を信じていませんでひた、まず先住民、続いて黒人、白人以外の人種グループに劣等のレッテルを貼ることで初めて、米国では白人は皆平等なのだと思えるようになった(p97)白人の範囲は、徐々に拡大された、最初は北欧州出身の移民、その後しばらくして、イタリア系・ユダヤ系の非キリスト教徒、第二次世界大戦後はアジア系移民も「白人扱い」に格上げ、(p135)
・英米人は資本主義をなぜ、うまく機能させる「創造的破壊」が得意なのか、その深い理由は伝統的家族形態の「核家族」にある。子供は大人になれば、親と同居せずに家を出て行かなければならない、これが創造的破壊を常に促していると考えられる(p112)
・人種的不平等、コロナ、医療政策を重視した有権者がバイデンに糖尿し、経済・犯罪と治安を重視した有権者がトランプに投票している、党の政策が良いかどうかよりも「そもそも何を問題とするか」とい��レベルで深い亀裂が生じている(p152)
・スペインのマドリードは、EUの中枢であるブリュッセルの指令に忠実なだけの経済政策(=通貨ユーロ価値の維持と緊縮政策)を行なっていて、国家としてのスペインに必要な経済政策を放棄している、そうであれば、カタルーニャ(州都:バルセロナ)の人々がスペインに自己同一かする必要も魅力も感じないのは当然です(p169)
・ユーロ導入により産業力の弱い国が自国通貨の価値を下げて競争力を得て生き延びることができたが、それが今では不可能になった。強く国=ドイツがフランス、イタリア、スペインの産業を破壊した、その結果、ドイツ以外の各国の産業破壊と失業率上昇である(p174)その結果、ドイツの輸出だけが一方的に増大する空間となった、最大の貿易黒字を出しているのは、ユーロ圏外でなくユーロ圏内である(p175)
・どの社会にも上位0.1%あるいは1%の富裕層がいて、上位9%、上位40%が続き、さらに下位50%の人々がいる(p189)いずれの場合も、結局は上位10%の富裕層が総資本の80%を所有、上位1%の富裕層が総資本の50%を所有する(p192)1945年以降の民主化により、下位50%は何も所有しなかったが、戦後に生じた変化の最たるものは、世襲財産的な中間層の出現である。上位10%と50%の間に、何かを所有する40%が現れた、何かとは、マイホームとささやかな貯金(p193)
・日本はドイツと同じ家族システムの国だが、一つ違うのは、イトコ婚(イトコ同士の結婚)の存在である。ドイツではほぼ皆無だが、日本ては歴史的に許容されてきた。(p210)
・日本人が直系家族としての意識を取り戻すのは、盆暮れの帰省ラッシュである、帰省ラッシュがなくなったら、日本の直系家族は消滅する(p220)
・家族というものを、親子関係、兄弟姉妹関係、内婚制が外婚制といった基準で分類すると五つに整理できる、1)絶対核家族(英米)、2)平等主義核家族(フランス北部、パリ、スペイン、イタリア北西部など)、3)直系家族(ドイツ、フランス南西部、スウェーデン、ノルウェー、日本、韓国)、4)共同体家族(結婚後も男は全員住み続ける、アラブ、トルコ、イラン)、5)外婚制共同体家族(イトコ婚を認めない、中国、ロシア、北インド、フィンランド、ブルガリア、イタリア中部、)この中で、最も新しいのは、共同体家族で古いのは「核家族」である(p214)
2024年6月2日読破
2024年6月2日作成
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タイトルから想像したことと内容があまりにも違って自分の頭ではなぜこのタイトルなのかついていけない。したがって面白い考え方なのにどうもしっくりこない、
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人口動態を元に国の未来を予測するトッド氏。
ユーモアを交えながらの鋭い指摘に目から鱗の連続だった。
氏の考察通り日本は先細っていくような気がしてならない。
その中でも緩やかにダウンサイジングして生活していきたいな。
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多作のエマニュエル・トッド氏の著作を、初めて読みました。トランプ大統領の話や中国の話が、切り口が新鮮で、おもしろかった。
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ソ連崩壊、トランプ勝利、イギリスのEU離脱など、歴史的変化点を見通してきた著者が、タイトルのテーマで何を訴求するのか関心をもって読み進めたが、半分肩透かしにあった。全4章構成のうち、最初の章のみであり消化不良気味である。
著者本人の問題でなく、出版社の方で、日本の現状に対するインパクトを考えた上でのタイトルであろう。その中でも、日本政府がとってきた政策が、高齢者の健康を守るために、現役世代と若者の生活に犠牲を強いている、という論舌は鋭い。
著者は決して経済や政治の専門家ではなく、人口動態や家族制度を調査する学者であるが、著者自身の専門を通した幅広い調査や深い洞察は、大変示唆に富んでいる。