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投稿者:Freiheit - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の観光産業は成長分野であると言う。しかし、商品開発などがないため、将来が語れない状態だと言う。日本人優越論に浸っているテレビ番組が多いが、イギリス人からの提言を聞く耳を持つ必要がある。
「新・観光立国論」とあわせておすすめします
2018/05/02 20:07
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投稿者:かもちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「新・観光立国論」の姉妹編というべき本。「新・観光立国論」が日本の観光産業全体を論じているのに対し、本作では文化財に焦点を当てる。少子高齢化・人口減少が避けられない将来、日本が生きてゆくためには観光産業に注力するしか道はないという筆者の主張を、元金融アナリストの目で冷静かつ客観的に論ずる。職人、伝統、専門家、といった、ある種アンタッチャブルなものに対しても鋭くメスを入れる。筆者自身があとがきで言っているように、「日本の伝統文化」というものに対してイギリス人の筆者が論評を行うことには、日本人としてはいろいろと感想、意見があるかもしれないが、本書をきっかけに日本の伝統文化や文化財に対する関心が高まり、さまざまな意見、議論が生まれれば良いと思う。最後に、筆者がこの国をとても愛してくれていることに感謝。
観光の核となる文化をなんとかせねば
2017/03/04 20:27
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投稿者:ちーさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
決して複雑なデータ分析を披露するのではなく、一般人にも十分説得力のある分析で日本の文化財保護や関連産業の課題をズバリと小気味好く指摘。
これから進むべき道の一つ
2016/10/22 08:54
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投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
わび、さびって日本文化を表す最適な言葉みたいになっているけど、古い寺社建築はド派手で、ある意味押しつけがましいところがある。文化行政に金をかけないですむ口実として、さび、さびが推奨されてきたのでは?そんな疑念を抱かされてしまった。
人口減少と経済衰退という悪しき関係を断ち切る方策として、著者は外国人観光客の取り込みを主張。そして、そのための手段として文化財を提示する。ただ、わび、さび文化を見たければ見にこいという既存の考えを振り払い、経済的な発展と文化力回復をともに成し遂げるための主張が詰められた一冊。
考えさせられること大でした。
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元ゴールドマンサックスの社員で、今は文化財修復会社の社長さんの語る日本の文化財の危機的状況について。
なんとなく恣意的な箇所が見られるような気がする。
文化庁が他の省庁に比べ「総合評価入札」を行っていないというのは、どれくらいの割合なんだろうか。ここデータ出せば積極性があるのに出さない理由は何だろうか。あと、下村前文部科学省大臣の名前を出す意味もよくわからない。社寺的な意味合いだろうか。あるいは大臣とパイプがあることを示したいのか?と穿ってしまうところがある。
ゴールドマンサックス証券出身ゆえに、データの意味合いについては理解しているかと思うのだが、データを出す出さないの統一性がないため恣意的なものを感じてしまう。もしや「データを見るとちがうんじゃないの?」という疑問が残る。
手前味噌でも自社のうまくいった事例を紹介した方が、この業界の活性化になったんじゃないかなぁと少し思う。
少なくとも、経営が危ないとされていた小西美術工藝社の建てなおしについては読んでみたい。(文脈から「やるべきことをやっていなかった」だけだったりするのかなとも少し思うけれども)
あと、ハコモノ行政で枠を作る時代は終わってる気がする。
文化を遺すためには人が必要。つまり、職人や地域の人が、この文化に誇りを持ち遺すべきだ、と考えるから行政が動かざるを得ないんじゃなかろうか。
これ、ターゲット誰向けの本なんだろ。
一般人にしたら「へー、文化庁が働いていないんだ、駄目だな」ってなるし、文化財を所有や修繕をしている関係者なら「ほー」ってなるし(どう働きかけるべきかの提言がないため)、国側なら「はいはい」で流される。
内部告発にしてはインパクトが薄いしなぁ……ホントに誰向けの本なんだろ。
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<目次>
はじめに
第1章 経済から見た「文化財」が変わらなくてはいけない必要性
第2章 文化財で「若者の日本文化離れ」を食い止める方法
第3章 文化財行政を大転換するため、まず「意識」を変える
第4章 文化財指定の「幅」が狭い
第5章 文化財の入場料は高いか安いか
第6章 文化財の予算75億円は高いか安いか
第7章 職人文化の崩壊
第8章 なぜ日本の「伝統文化」は衰退していくのか
第9章 補助金で支えるのは「職人」か「社長」か
おわりに
<内容>
『新・観光立国論』を書かれたイギリス生まれの現在伝統文化財補修会社「小西美術工藝社」社長による本。前回の著書とつながっていて、日本を観光立国させるためには、外国人のリピーターが大事だが、現在の日本にはそのためのソースがない。ソースとなりうるのは、「文化財」であるが、その文化財のあり方はお寒い限りである。それを是正するための提案がされている本である。本人が「外国人」であることを強調しつつ、外からの眼で、痛いところを次々と指摘している。保存行政、文化財の所有者の視点、職人とその会社、そしてそれを見ている我々日本人の考え方。ベースにある「御上」の視点が江戸時代から抜けきれない日本人。現在の「御上」である、行政の(強いては政治家の)「金儲け」主義。それが表面化している「文化財」。たしかに、授業との関連で、国宝を中心とする「文化財」にはよく足を運ぶが、何となく感じていた「不信感」を指摘してくれた感じだ。それは「これを見て何になるのかな?」という気持ち。私のような歴史に携わる人間はいいのだが、いわゆる「観光」で来る日本人は、駆け足で「ああ、見た!」で終わる(おそらく10分見ているかどうか)。海外の「文化財」をほとんど見たことがないので、著者の話を信じるしかないが、海外の「文化財」は「知る」以外に「学ぶ」「体験する」などがあるようだ。そして、海外は古代の「文化財」作成の技術が消滅した後で、芸材の職人が一から分析して、当時の「技術」を再現しているそうだ(だから、間違っているかもしれない)。日本は幸い、ギリギリで古来からの技術が残っているらしい(それも風前の灯火)。「観光立国」と関連させて、今こそ、すべてを見直し、「金」のとれる、リピーターが増える「文化財」を作ろう!という指摘だ。納得の論調である。ただ、日本の「御上」の腰は重いだろうな…。たぶん、数十年後に対策を立てるだろうが、遅いんだろうな…。哀しいけど現実。自分には何ができるか…。
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日本の観光を構成する文化産業の構造とその問題点について分析した本です。
ここで語られることは、
・人口増の時代には許されたことも、今の時代では通用しないのなら変わる必要がある。
・文化は特別であるという考えは正に今の時代には通用せず、文化を守るために、文化を産業化せざるを得ない。
・後継者を育てるには教育に対する補助もありうるが、前提として需要が増えなければならない。同様に、産業を持続させるには補償金を出すことではなく需要を増やす施策が必要である。
ということで、要は文化といえどもマーケティングと市場経済の中で他の産業と同列に生きていくしか道はないということです。
他方で、文化財を白日の下に曝すことで壊れてしまう、市場経済に任せるままだと「正しい」「伝統的」な文化が継承されない、といった負の外部性や市場の失敗を恐れる声があります。事実、今までの文化産業の大部分の領域が負の外部性や市場の失敗に属すると解され、市場を大きく歪めて保護されてきたと言えます。もちろんラディカルに市場主義を導入すべきとは言えませんが、徐々にシフトしていくべきでしょう。
このような事情は文化に限らず、伝統に保護されて歪められた市場の中にこれまでいた多くの産業が、この人口減の社会において「審判の日」を待っています。当該の産業構造がどうなっていて、構造をどう変えていかなければならないかの分析を、この本で行われたことをモデルケースに考える価値があるでしょう。
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日本は世界に誇れる文化財・伝統文化・伝統技術を持っているのに、その保護にお金を使わず、使い方もヘタという主張は理解できる。世界標準にあわせるだけで観光資源や雇用創出に活かせる要素は多いのだと感じた。そのためには、文化財を「冷凍保存」する従来の考えから、伝統や文脈の展示・継承へ転換する必要がある。
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外国人が書いているという、日本人として恥ずかしい事実。見るのは大好きなのに、それをどう守り発展させていくかは考えたことはなかった。
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この人最近テレビで見て経歴に驚く。
外国人&元アナリストの視点で提言するのは、なるほどという部分が多々ありました。京都に文化庁が移転されるらしいので文化庁長官とはいいませんが、京都市の参与とかになれば早いこと観光客も増える政策を出してくれるだろうし、文化財行政改革もやってくれる気がします。
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160629teporary-divorce。未完読pages only
宗教心なぞ謎。次は同著者他書も。
4
中6ー7
中53-56
大59-60
大61-64
68
大69-72
74
255
289-90
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金沢の金箔が中国製だったり,京漆器の漆が中国製だとの話に唖然とした.著者が指摘しているように,伝統だからとの世界に甘んじて,営業努力が足りないことは事実だろうが,当人たちがそれに気が付いていないことが大問題だ.文化財のあり方についても,確かに説明が十分でないことは事実だ.改善点が沢山あるということは,それだけまだ救いがあると考えたい.
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日本が経営していくと言うこと。
作者は小西美術工藝という、日本の古くからある建築物などの修理などを手がける会社の社長で、この本に書かれているような内容を複数の書に記している。
うがった見方をすれば、衰退している伝統工芸としての建築メーカーのアピールであるのかもしれないが、昨今しきりに騒がれているインバウンド、海外の方が日本に旅行にいらっしゃることについて、再度考えてみることができた。
というのは、海外の方が何故日本に?と考えると、分からなくなってくるので、私たちは何故、そこに旅行するのだろうか?で考えてみたら良いのだと考えた。
私は行ったことが無いが、ハワイや、グァム、ラスベガスなどのリゾートに行くのは、現在を忘れて別世界で夢の世界に浸ることだろう。そういえば、ディズニーリゾート、USJ、ピューロランドもそうなのかもしれない。
そのような体験で言うと、人が少ない大自然を訪問するというのも同じ感じではないだろうか。であれば、私は後者の方が好きかもしれない。
それに対して、京都、鎌倉、日光、または各地の城、城下町、はたまた寺社、仏閣を訪れたいというのはどういう思いからだろうか?
それは、今の歴史を積み上げて人たちが、どのような暮らしをしていたのか?その地域の文化、その時代の文化に触れてみたいからではないだろうか?となると、それができるだけわかりやすく、当時の面影を残した状態で見せてもらえると、あらがたいものとなるのであろう。
翻って現在のそれらの保存状況を見てみると、果たしてそれらができていて、公開されているかというと、案外そうでも無かったりする。また、写真撮影禁止となっているところも多く、現代であればSNSでここに行ってきたよ、素晴らしかったとアピールすることすらできない。
ヨーロッパに行くと美術館に行く日本人は多いだろうが、日本に来て歴史的建造物を訪問したいと思っているヨーロッパの方も多いと思われる。その時、安価に入場してもらうのではなく、見合った代金を頂き、しっかりと見ていただけるという建物の容姿、サービスも付加させていくことが今後必要になるだろう。
私たちも、海外で有名な観光名所に行って、えっ、てことがあると、もう2度と行こうとは思わないでしょうから。
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本書は著者のベストセラー新観光立国論の前身ともいえる内容である。本書では軽く流していた内容を新観光立国論では細かい数値を元に論理を積み上げて行く。全く同じ文面が並ぶため、新観光立国論を読んだ方は読む必要性はない。
国宝消滅 イギリス人アナリストが警告する文化と経済の危機
本書は新観光立国論を書いた著者の続編とも取れる。日本人が国宝をダメにしている、そう訴える著者の訴えは観光が好きな人間には共感を得られるであろう。
寺、城、旧館、など日本中の観光地に行って毎回するのは目を閉じて、過去の人達がどのように過ごしていたのかを想像するのだ。これが間違っている、何故目を閉じて想像するのか、それはそこには何もないからだ。どこも建築を守るため、人が触れてしまって貴重な品を破損する可能性をなくすために調度品などを撤去しているために、そこで何が起こったか、過去の人は想像するためには自己の豊かな想像力に頼る他ない。
新観光立国論に続く本書では、伝統的な建築の補修改修を生業とする著者による日本の伝統と冠される業界の非合理性、非効率性を指摘したなんとも厳しい指摘をしている。
本書を読み進める中で、新観光立国論のように簡単な論理展開で納得させる手法はうまいのだがなんとも面白みに欠ける。厳しい中にも救いがなければ、それは日本社会には受け入れられない。指摘は何度も同じ内容を繰り返す為に辟易してしまう。これは著者の責任ではなく、編集者にあると思うが。
また職人という職業を明らかにして行く中で給料の話をするのも、なんとも外国人だなぁと感じた。職人なんてのは深く考える思考は必要ないから高卒でいい、年収も付加価値からして400万が妥当。実際にそうなのかもしれないが、いくらなんでもキツすぎる。論は合っていたとしても日本人には受け入れられない。著者は日本に長く住まわれている事からかなり日本語は流暢かもしれないが、間に言語ではなく言い方の翻訳を挟むべきと感じた。
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元ゴールドマンサックスのアナリスト。現在は、重要文化財や国宝修復を行う、超伝統企業の社長。そんな著者が伝統文化に対して警鐘を鳴らす。この本を読みながら、昔読んだ、「美しき日本の残像/アレックス・カー」を思い出した。
日本人は日本の良さに気がついてない!とは言わないが、インバウンドブームで「日本の良さを海外に!」という前に、まずは自分たちが知らなければいけないことがたくさんある気がする。。。(個人的には、「クールジャパン」と海外に発信するのも大事だけど、自分が日本文化に関われば関わるほど、日本人自身も知りたいけど知る機会やきっかけがないだけなんだと。。。)
日本のことをもっと日本人に!笑
そんな危機感を伝えてくれる一冊。(相変わらず、外の圧力からじゃないと気がつかないというのは残念。。。でも、とてもいいきっかけを作ってくださっているので、この流れを途切らせないよう)