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【森保ジャパン 光と影】(上)最後まで選手の意見をふんだんに取り入れる「合議制」

スポーツ報知
延長戦に向けて円陣を組んで気合を入れる日本代表の選手たち(カメラ・小林 泰斗)

◆カタールW杯 ▽決勝トーナメント1回戦 日本1(PK戦1―3)1クロアチア(5日・アルジャヌーブ競技場)

 日本サッカー史上初となるベスト8にあと一歩届かず、2大会連続のベスト16で日本代表のカタールW杯は終わった。スポーツ報知では、ロシアW杯後の2018年7月に発足した森保ジャパンの4年半を検証。第1回は、森保一監督が取った選手の意見をふんだんに取り入れる「合議制」について取り上げる。

 最後の最後まで、森保監督は選手の声に耳を傾けた。PK戦。円陣の輪で、指揮官は選手たちにキッカーの希望を募った。5秒間の空白。南野、三笘、浅野、吉田、遠藤、覚悟を持った5人が自ら手を挙げた。「みんな、勇気を持ってチャレンジすることを選手たちは見せてくれた」。PKのキッカー、順番は監督が指名するチームもあれば、選手の意志に託すチームもある。森保監督は後者を選び、そして敗れた。

 ドイツ、コスタリカ、スペインとの対戦が決まった後、チームは大きな“転換点”を迎えた。9月のドイツ遠征。指揮官の元に、吉田、長友、川島、柴崎、遠藤という古参の5人が訪れた。選手たちの意見をまとめ、破壊的な攻撃力を持つドイツに対し、3バック(5バック)での守備をベースに戦うというシステム変更を含めた提案だった。吉田は「本当に忙しかった。宿舎でも、ほとんど自分の部屋にはいなかったぐらい」と明かす。1度の話し合いで結論は出ず、ピッチで、ホテルで、何度も議論を交わした。

 一方で森保監督は、アジア最終予選の基本布陣4―3―3から、本大会に向けては鎌田をトップ下に据えた4―2―3―1に変える決断を下し、9月の2試合(米国、エクアドル戦)から採用。選手たちの意見にあった3バックもわずかな時間は試したが、ドイツとの開幕戦には4―2―3―1で臨んだ。しかし、ドイツに圧倒された前半を終え、ハーフタイムに3バックへの変更を決断。チームは歴史的勝利をつかんだ。

 スペイン戦前にも準備段階の2トップから、選手の進言を聞き入れて1トップに変更。意見を柔軟に取り入れた采配は、1次リーグで強豪撃破の偉業を引き寄せた。まるで“合議制”にも見えるスタイル。森保監督は、もともと周囲の意見を取り入れながら強化してきたが、サッカー界では確固たる信念の下で選手からの意見など取り入れない監督も多い。日本代表は現代サッカーの最先端、欧州のトップリーグでプレーする選手たちが大半を占める。森保監督にはJリーグ・広島での国内経験しかない。世界基準の構築は、選手たちに頼らざるを得ない苦しさはあった。(特別取材班)

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