本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』。多様性が叫ばれる今だからこそ、受け入れられた物語だと思います。 「普通」や「幸せ」は、ひとりひとり違うものだから。 『そして、バトンは渡された』あらすじ 何 […]
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]]>本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』。多様性が叫ばれる今だからこそ、受け入れられた物語だと思います。
「普通」や「幸せ」は、ひとりひとり違うものだから。
何人もの親の間を、バトンを渡されるようにして育てられた優子。でも、それはちっとも不幸なことじゃなかったし、彼女にとってはそれが「普通」のことだった。
産みの母を幼い頃に亡くし、父親とふたりだった家族に継母の梨花さんが加わり、その後実の父は海外に行き、梨花さんと優子だけになった。
その後は梨花さんの再婚相手・泉ヶ原さんを経て、現在は3人目の父・森宮さんと暮らしている。
やがて、優子は高校の同級生早瀬くんと結婚することになり、これまでの親たちに訪ねるのだが…。
昔であれば「普通じゃない=かわいそう=不幸」と思われそうな、優子の家庭事情。(実際一部の人からはそう思われている。)
これまでの日本の家族は「血がつながった親子が、同じ家に暮らす」ことが理想とされてきました。
それが「普通」で、そこからはみ出たものは「不幸」で「かわいそう」。そんな認識が無意識レベルですりこまれているほどに。
でも「家族」って、「幸せ」って、大切な相手と一緒にいて楽しいのが一番大事なんじゃないかな。それを、優子とその親たちは体現して見せてくれているような気がします。
優子の最後の父親になった森宮さん。友達ともめていた優子に「元気がでるから」と、ひたすら餃子をつくったり、優子にピアノプレゼントしようとして断られると落ち込んでみたり。
やがて優子が結婚相手を連れてくると「あの風来坊」といって父親らしく(?)邪険にするし。
森宮さんが思う父親像は、残念ながらちょっとずれている。
けれどそこがいいんだよなあ。こんな父親と暮らしてみたいと思うもの。
しかし、血のつながらない(しかも成長した)子どもを引き取ることに戸惑いはなかったのか。森宮さんのこんな言葉が、答えなのかもしれません。
自分の明日と自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日がやってくるんだって。
親になるって、未来が二倍以上になることだよって。(中略)
未来が倍になるなら絶対にしたいだろう。
この言葉のすごいところは、子供の明日を、自分の所有物と考えてないこと。
親は時に自分の挫折や期待を子どもに背負わせ、自分の人生の意趣返しをすることがあります。
でも、森宮さんや梨花さんは優子が「自分以外の未来」を見せてくれるのを、むしろワクワクして見守っているんです
それが、この親たちのすごいところだなあって思うんですよ。
私の森宮さんのイメージは、俳優の高橋一生さんです。映像化されたら高橋一生さんに演じていただきたい。
と、思っていたら、森宮さんは田中圭さんでした。でも、こちらの森宮さんもまたひょうひょうとしていて素敵でした。
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]]>『龍女の嫁入り 張家楼怪異譚』は中国・唐時代を舞台にした怪異譚。 幽霊を引き寄せてしまう青年と、彼に嫁いだ龍王の孫娘。この若夫婦が幽霊や妖怪の騒動に巻き込まれていきます。 『後宮の烏』シリーズの白川紺子さん初の単行本です […]
投稿 『龍女の嫁入り 張家楼怪異譚』白川紺子 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『龍女の嫁入り 張家楼怪異譚』は中国・唐時代を舞台にした怪異譚。
幽霊を引き寄せてしまう青年と、彼に嫁いだ龍王の孫娘。この若夫婦が幽霊や妖怪の騒動に巻き込まれていきます。
『後宮の烏』シリーズの白川紺子さん初の単行本です。
商人相手の高級旅館・張家楼の主人である琬圭は生まれつき体が弱かった。ある日、売卜者(占い師)から「幽鬼やあやかしを惹きつける体質」だといわれ、お祓いをしてもらう。
それが縁で、売卜者(実は道士)の娘を娶ることになった琬圭。しかし、その娘・小寧の正体は龍王・洞庭君の孫娘であり、人と龍の力をもつ少女だった。
幽霊や妖怪を惹きつける夫と、それを祓う龍女。ふたりの夫婦が遭遇した怪異とは…。
『龍女の嫁入り』には、中国古典の怪異譚が多く引用されています。
洞庭君の娘と人間の男の恋愛は中国古典『柳毅伝』にもありました。『龍女の嫁入り』では新たに洞庭君の孫娘と人間の男との婚姻譚が描かれます。
また、作中でも登場する虎は、単なる猛獣ではなく神や妖魔の類のもの。中国には「虎に喰われた人間は死後も虎に使役される」といった伝承があるそうです。
他にも歩く死体(キョンシー?)落ちぶれて人間に使役される神など、様々な怪異譚が登場します。
諸星大二郎の諸怪志異シリーズにも虎に喰われた人間の話がでてきます。
幽霊を祓う龍女の妻と、幽霊を惹き寄せる夫。病弱で幽霊や妖怪が見える琬圭は『しゃばけ』シリーズの若旦那を彷彿とさせます。
琬圭はその好奇心や体質から、幽霊に付きまとわれたり、時に彼らの頼みをきいてやったりします。
小寧はそんな琬圭を見て「人間て不思議だわ」と思いながらもついつい助けてしまうんです。
物語の最後、いつも助けられている琬圭が小寧を救うのですが、そこには琬圭の驚くべき出自が関わってきます。
これ以上はネタバレになるので言えませんが、白川紺子さんのこの新しい退魔ファンタジー、面白いですよ。
小寧はある理由から龍の姿をとることができません。そのため、龍宮では見下され、コンプレックスを抱えています。
もちろん、そんなことを周囲には言えず、勝ち気に振る舞っているのですが。
しかし、琬圭はそんな小寧を「龍の人間、両方の力を備えているんだよ」と言って、彼女を肯定してくれるんです。
琬圭自身も病弱だし、商売をしているので人の気持に寄り添うことが得意なのでしょう。
しかし、好奇心旺盛な琬圭は幽霊騒動にわざわざ首を突っ込んだりして小寧に叱られてしまいます。なんだかわざと叱られたくて幽霊騒ぎに首を突っ込んでいるようにも見えますが。
この夫婦の微笑ましくも不思議な日常を、もっと読んでみたいです。
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]]>『お江戸ファッション図鑑』は、町娘から花魁、庶民から大名まで。浮世絵に描かれた幅広い身分のファッション、髪型を紹介したイラスト本。 イラストも美麗だし、年代別に髪型やファッションを紹介しています。これがめちゃくちゃわかり […]
投稿 浮世絵ファッションを現代のイラストで再現『お江戸ファッション図鑑』 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『お江戸ファッション図鑑』は、町娘から花魁、庶民から大名まで。浮世絵に描かれた幅広い身分のファッション、髪型を紹介したイラスト本。
イラストも美麗だし、年代別に髪型やファッションを紹介しています。これがめちゃくちゃわかりやすい!
この本を読んでから2025年の大河ドラマ『べらぼう』を見たら、より理解が深まるんじゃないかなと。
『お江戸ファッション図鑑』では、時代や身分ごとの着こなしのほか、流行の柄や文様、ヘアアイテムやメイク道具、小物類まで細かく紹介されています。
インフルエンサーが身につけたものが流行るのは江戸時代も同じ。歌舞伎役者が用いた柄はそのまま役者の名前をとって「中村格子」「菊五郎格子」などと呼ばれ流行しました。
今でもみかける「かまわぬ」の模様などもこの頃からあるんですね。
吉原の花魁は当時のファッションリーダー。通常、私たちがイメージするのは、大きな髷にたくさんの簪をさした花魁ですが、この姿は江戸の後期になってからです。
この頃のファッションはまだ室町風。袖口が小さい小袖と呼ばれる着物に細い帯を合わせます。扇を持って踊る姿も描かれているので、わりと動きやすい服装だったのでしょう。
垂髪や唐輪とった、結ぶスタイルが主流だった江戸初期。その後、いわゆる日本髪の島田髷などに変化していきます。
室町スタイルのから、大きな帯や豪華な打掛へと変化してきた江戸中期。この頃から遊女の帯は前結びが主流になります。
蔦屋重三郎や喜多川歌麿が活躍した頃の吉原では、櫛を髪に刺し、簪を刺すスタイルが定着。
髪の毛一本一本が透けて見えそうな「勝山」と呼ばれる髪型は、歌麿の浮世絵にも表現されています。
中期からさらに豪華に進化していきます。そして打掛や中着は引きずるほどに長く大きく、華麗な刺繍や染で彩られます。
後期になるにしたがって、髪型は伊達兵庫とよばれる大きな髷になります。頭には大きな櫛と、何本もの簪が。これはきっと、頭が重くて首が疲れたことでしょうね。
この本では、町娘から大名の姫、夜鷹から花魁まで身分を問わず江戸の風俗を紹介しています。中には「陰間」「色子」といった春を売る少年たちの姿も。
陰間たちは女性の着物を着ていて、一見見分けがつかないんですが、髷の結い方や帯やが女性とは違うんです。
また、最下層の売春婦である「夜鷹」の姿も浮世絵に残っています。身分差はあれども、こうしたマイノリティーもこぼさず描いているのは、江戸時代の浮世絵の懐の深さを感じます。
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]]>『面白すぎて誰かに話したくなる 蔦屋重三郎』は、彼の生涯や写楽のプロデュース、当時の政治や経済を踏まえて時代の寵児・蔦屋重三郎を語る一冊。 大河ドラマ『べらぼう』の副読本としてもおすすめです。 蔦屋重三郎の生涯 蔦屋重三 […]
投稿 『面白すぎて誰かに話したくなる 蔦屋重三郎』伊藤賀一 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『面白すぎて誰かに話したくなる 蔦屋重三郎』は、彼の生涯や写楽のプロデュース、当時の政治や経済を踏まえて時代の寵児・蔦屋重三郎を語る一冊。
大河ドラマ『べらぼう』の副読本としてもおすすめです。
蔦屋重三郎(蔦重)は、吉原育ち。吉原というのははだたの娼館ではなく、文化人が集まるサロンであり、流行の発信地でもあったのです。当然、最先端の情報も入ってくる。
彼は持ち前の才覚で吉原のガイドブック(吉原細見)を手始めに出版業に乗り出していきます。
そして狂歌が流行れば狂歌本を、物語が流行れば物語本(黄表紙)をと、庶民の欲求を敏感に感じ取り、世に送り出します。
松平定信の政策によって商売に規制をかけられたり、資産を没収されたりと苦難もありましたが、晩年、世間をあっと言わせるような「写楽」の浮世絵をプロデュースしたのでした。
蔦屋重三郎の周りには知識人、作家、狂歌師、そして絵師など才能豊かな人々が集まってきます。
彼の交友関係を見ると山東京伝、若き日の十辺舎一九に葛飾北斎など、そして自ら育て上げた喜多川歌麿。教科書に乗るような有名人がずらり。
平賀源内とも交流があり、出版した吉原細見の序文を描いてもらっています。
その中で最も有名なのが謎の絵師・東洲斎写楽。その活動はたった10ヶ月。
写楽は美しく描くことが前提の浮世絵をリアルに描き、世間にインパクトを与えましたがその正体と活動については謎に包まれています。
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]]>『写楽 閉じた国の幻』は、写楽の正体に迫ったミステリ小説です。 果たしてこれはミステリなのか、それとも学術的な研究なのか。途中でわからなくなってきます。それくらい設定がリアル。 もしかしたら、こんな「写楽」の可能性もある […]
投稿 『写楽 閉じた国の幻』島田荘司 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『写楽 閉じた国の幻』は、写楽の正体に迫ったミステリ小説です。
果たしてこれはミステリなのか、それとも学術的な研究なのか。途中でわからなくなってきます。それくらい設定がリアル。
もしかしたら、こんな「写楽」の可能性もあるのじゃないか…と。
美術史家の佐藤は、偶然手に入れた謎の浮世絵について調べていた。しかし、ある時息子がビルの回転扉に巻き込まれ死亡。自責の念にかられ、自殺を図るも、息子の事故で知り合った美貌の大学教授・片桐に助けられる。
さらに、扉メーカーとの裁判の過程で訴訟相手の関係者から自説を否定されてしまう。出版社の常世田に請われ、対抗するため新たな研究に着手することに。
それは、幻と言われた写楽の正体に関わる謎だった。
蔦屋重三郎はお上の規制や自らの体調に鬱屈を感じながらも、ふたたび世の中を驚かすような案を探っていた。そんな折、勝川春朗(後の葛飾北斎)から、ある奇妙な絵を見せられる。
出版社の常世田、片桐とともに写楽の正体に迫る佐藤。歌麿の筆の特徴を残す写楽の絵、残された歌麿の言葉。そしてなぜ、誰も写楽の正体を語らなかったのか。
それらの史実をつなぎ合わせ、佐藤は誰も思いつかなかった「写楽」の正体を探り当てる。
実はその絵を描いたのは意外な人物だった。蔦屋重三郎は起死回生の策として、「べらぼう」な写楽プロデュース計画を実行する。
上巻では、主人公が写楽研究に没入するトリガーとして、当時起こった回転扉事故が詳細に描写され、当時の事故の衝撃を表しています。
社会問題を描く島田荘司先生らしい描写でした。
その事故はオランダの会社と日本の会社の合作であるというのが、後にちょっとしたヒントにつながっています。
『写楽 閉じた国の幻』の中で、蔦屋重三郎は先見の明を持った男気のあるプロデューサーとして描かれています。
彼は、常識にとらわれない発想で「写楽」を世に発表します。
写楽は現在では能役者・斎藤十郎兵衛説が一般的です。しかしなぜ、写楽本人が後に「自分が写楽だ」と語らなかったのか。
また、佐藤は「東洲斎写楽」と「写楽」は別人と推理し、さらに「写楽は歌舞伎をよく知らない人物」と仮定します。(芝居の脇役を描いているから)
そこでさらに、蔦屋重三郎は「写楽」という画家そのものではなく、「絵」を分業で作り出していくのですが…。あまり書くとネタバレになりそうなのでやめておきます。
それにしても、とある史実(オランダ商館長の江戸参府)と写楽の活動時期がぴったり合うというのは、果たして本当に偶然の一致なのでしょうか…?
さて、現代編で写楽の正体に迫り、江戸編では写楽を生み出し、また隠すところまで描かれましたが、いくつか謎が残っています。
このあたりは下巻のあとがきで島田荘司先生も続編を出したいとおっしゃっていたので、ぜひこの写楽について続編を書いていただきたいです。
投稿 『写楽 閉じた国の幻』島田荘司 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『答え合わせ』は、漫才師・NON STYLE石田明さんによるM-1、漫才の解説書。これを見ればM-1がより面白くなると思います。 石田さんは一部で「教授」と呼ばれるほどM-1、漫才の解説に定評のある方。実は私、今でも一番 […]
投稿 M-1、漫才の解説書『答え合わせ』石田明(NON STYLE) は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『答え合わせ』は、漫才師・NON STYLE石田明さんによるM-1、漫才の解説書。これを見ればM-1がより面白くなると思います。
石田さんは一部で「教授」と呼ばれるほどM-1、漫才の解説に定評のある方。実は私、今でも一番好きな芸人はNON STYLEなんです。
これ、私が一番知りたかった疑問です。去年のさや香の「見せ算」とか、笑い飯の「ちんポジ」とか、なんで二本目にそんなネタもってくんのよ…!
と常々思っていたんですが、石田さんの解説によると…
など、他にもいろいろ理由があるそうです。
なるほど~。あと、YouTubeの方でもフィジカル(会場とか)も影響があるって言ってましたから、M-1て本当に様々な調整が必要なんですね。
そうしたフィジカル面を分析して優勝したのが2023年の令和ロマン。
よく、M-1の前評判で準優勝までウケて、前評判のよい芸人が優勝できないことがあります。その理由についても的確に分析されています。
準優勝までは会場にお笑いマニア(パクチー好きに例えるのが絶妙)がいるからマニアックなネタもウケる。
でも、決勝会場はいわば寄席のように一般の客が多いため、準優勝でウケても決勝でウケるとは限らないのだとか。
石田さん、漫才の解説も的確ですが、それを表す言葉が絶妙なんです。
M-1で同じスタイルのネタを二回やることを「2階建て」、コアなお笑いマニアを「パクチー勢」など、言葉選びも面白い。
ちょっと普通では表さない、「ずれた」言葉なんだけど、めちゃくちゃわかりやすいのがさすが。
投稿 M-1、漫才の解説書『答え合わせ』石田明(NON STYLE) は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『古典夜話: けり子とかも子の対談集』は、名随筆家であり、骨董収集家で目利きの白洲正子、古典文学に造形の深い小説家・円地文子。 この博識な女流文学者2人が語る古典・芸術よもやま話です。 対談ではおふたりとも何気なく話して […]
投稿 カリスマ女性作家の、知的ガチトークバトル『古典夜話:けり子とかも子の対談集』白洲正子、円地文子 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『古典夜話: けり子とかも子の対談集』は、名随筆家であり、骨董収集家で目利きの白洲正子、古典文学に造形の深い小説家・円地文子。
この博識な女流文学者2人が語る古典・芸術よもやま話です。
対談ではおふたりとも何気なく話しているようですが、内容はかなり高レベル。これはお互いが深い知識を持っていないと成立しない。相手の質問に対して「わからない」ってことがあまりない。
必ず何かしらの応えを返しているんです。「知識がない」と言いつつも、会話の中に膨大な知識量を感じさせる。
なんだこの知的ガチトークバトルは…!
「悪口」や「こきおろし」は女性の会話に必要不可欠なアイテムです。そして、かたや伯爵令嬢、かたや大学教授令嬢という、やんごとなき女流作家も下世話な話は好きなようで…
役者の品定めや演技のダメ出し、男色(BL)など。話題多岐にわたって盛り上がっています。
しかしそこは知識と教養で裏打ちされているため、それほど下世話には感じないんですね。男色にしても歴史や文学、芸術性の高い高尚なものとして語られています。
役者批評では若かりし頃の18代目中村勘三郎を見て「あの坊やは名優になる」。
と、その才能を評しています。
果たして彼女たちの予言(?)は当たり、勘三郎は歌舞伎ファン以外でもその名が知られる名優となりました。
能に造形の深く、日本各地をフィールドワークで飛び回る白洲正子。源氏物語深い知識を持ち、歌舞伎の戯曲もてがける円地文子。
実際に研究、体験した教養人の話題は、ユーモアにあふれてわかりやすく、一般の知識のない私のような読者にも噛み砕いて教えてくれます。
たとえば「能」という古典芸能は難しくて近寄りがたい感じでしたが、、白洲正子さんの解説には親しみが持てました。
投稿 カリスマ女性作家の、知的ガチトークバトル『古典夜話:けり子とかも子の対談集』白洲正子、円地文子 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん』は、本好きにとっては旅行案内であり、宝探しの地図のような本。本好きのみなさん、ぜひこの本を片手に本屋目的で旅や散策を楽しんでみてください。 西荻窪から始まる 何がすごいってこの本、 […]
投稿 改訂新版 東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>『東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん』は、本好きにとっては旅行案内であり、宝探しの地図のような本。本好きのみなさん、ぜひこの本を片手に本屋目的で旅や散策を楽しんでみてください。
何がすごいってこの本、最初の街が西荻窪なんです。確かに西荻窪は昔から知る人ぞ知る古書店の集まる街ですけれど、「最初にここか…!」と驚きました。
代官山などおしゃれな街の店も紹介されていますが、ほとんどが東京郊外の街。そして、こうした郊外の店は他にはない魅力があるんです。
そのへんの本好きの塩梅を心得ているんですよ。
この本では、ユニークな形態の書店を多く取り扱っています。
また、こうした専門店がある一方で、昔ながらの街の本屋さんや、老舗古書店まで網羅しているのがうれしいです。
「1カ月に1冊も本を読まない人が6割」と言われています。でも、どんな世界にも好きが講じる人がたくさんいます。実はこの改訂版に掲載された本屋は増えているんですって。
文学フリマや自費出版も盛んなようですし、本への嗜好は「浅く広く」から「深く狭く」に変わってきているのでしょう。
私も『東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん』を持って、「わざわざ」本屋さんを訪ねる旅をしたいと思います。
投稿 改訂新版 東京 わざわざ行きたい 街の本屋さん は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>俳優・小林聡美さんのエッセイ『茶柱の立つところ』。日々の出来事がコミカルに描かれています。今回、久しぶりに読んだけれど、肩肘張らない感じがとてもいい。 肩肘張らないエッセイ 若い頃やマダム時代も、日常をコミカルに描いてい […]
投稿 『茶柱の立つところ』小林聡美 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>俳優・小林聡美さんのエッセイ『茶柱の立つところ』。日々の出来事がコミカルに描かれています。今回、久しぶりに読んだけれど、肩肘張らない感じがとてもいい。
若い頃やマダム時代も、日常をコミカルに描いていた小林聡美さんのエッセイ。そして今回の『茶柱の立つところ』では文章が洒脱というか、面白みが増していました。
老眼で見えない苦労を切々と語ったかと思えば、友達とのバスツアーで「おつまみこんぶ」を内緒で分け合ったり。失敗や普段の生活を包み隠さず書いています。
もう大女優さんなのだから、さぞかしおしゃれな生活をしているんだろな…。と思いきや、その生活は実にシンプル。
健康維持もピラティスではなく健康体操ですし。
おそらくほかの俳優さんだったら、「年より若く、美しく生きる」みたいなエッセイになっていたでしょう。でも、小林聡美さんひと味違うのです。
インフルエンザにかかった時、一人暮らしの不安を感じたこと。また、年を取った兄弟がが同じ顔になってきたことなど、日常の老いをコミカルに、そして正直に書いています。
お姉さんが職場で「小林聡美さんに似てますね」と言われて「誰それ?」とすっとぼけた話が最高でした。
私はユニークな文章に笑いつつも、彼女の「老いの見つめ方」に感銘をうけました。
加齢を嫌がったり、抗ったりせず、「こういうものなのか」と少しずつ受け入れていく感じがすてき。
この人がもっと年を取った時に、何を感じて、どんなことを書くのか、今から楽しみです。
小泉今日子さんと共演したドラマ『団地のふたり』も、同年代の女性を演じていて面白かったなあ…。
投稿 『茶柱の立つところ』小林聡美 は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>神楽坂にあるブックカフェ、かもめブックス。 かもめブックスは、校正会社・鴎来堂さんの経営するブックカフェ。そのためほかのブックカフェとはまた一味ちがったセレクトの本が楽しめます。 かもめブックスカフェ テラス席もあり、の […]
投稿 【ブックカフェ】校正会社が作ったかもめブックス は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
]]>神楽坂にあるブックカフェ、かもめブックス。
かもめブックスは、校正会社・鴎来堂さんの経営するブックカフェ。そのためほかのブックカフェとはまた一味ちがったセレクトの本が楽しめます。
テラス席もあり、のんびり読書しながらお茶が楽しめます。道路に面した側がカフェスペース。奥が本と雑貨コーナーになっています。
私が訪れた時は、トーストメニューが美味しかったです。もちろん珈琲も。
営業時間 | 11:00〜20:00 |
定休日 | 水曜日 |
住所 | 東京都新宿区矢来町123 第一矢来ビル1階 |
アクセス | 地下鉄東西線「神楽坂駅」矢来口よりすぐ |
ホームページ | https://kamomebooks.jp/ |
東京の個性的な街の本屋さんを紹介した本。かもめブックスも登場します。
投稿 【ブックカフェ】校正会社が作ったかもめブックス は 読書感想・日々の綴方(つづりかた) に最初に表示されました。
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