【社労士解説】ジョブ型雇用時代におけるフリーランスの生存戦略とは?
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「就職した~い!」
昨年の今ごろ、そう叫んでいたわたしは現在、業務委託の形でWorkship MAGAZINE編集部で働いています。
「フリーライター = 特定の組織に所属しない」とイメージされることも多いですが、今回はわたしがなぜこのような働き方をしているのか、業務委託で働くフリーライターの実体験を綴っていきたいと思います。
業務委託とは「企業に雇用されるのではなく、企業と対等の立場で業務の依頼を受ける」働き方です。受託者である業務請負人は、委託された仕事を完成させる義務が生じ、その成果物に対しての責任を負います。
なお「業務委託契約」とよく言われますが、じつは民法には業務委託契約という名称の契約はありません。
企業から依頼された業務を行い、報酬を得るものとして、民法で規定されているのは「請負」「委任・準委任」「雇用」の3種類があります。業務委託契約は「雇用」ではなく、「請負」と「委任・準委任」のどちらかとなります。
……な~んて、難しく書いてしまいましたが、わたしの場合は週に3日、Workship MAGAZINE編集部の一員として「準委任契約」を結んで仕事をしています。1日8時間 × 3日間 = 週24時間はWorkship MAGAZINEの仕事を専任でやる、いわば週に3日だけ会社員をやっているような感じです。
なお請負契約は「成果物の完成によって報酬が発生する」契約です。成果物が完成するまでの過程や時間は基本的に問われず、「定めた期間内に納品できるか」という点が重要になります。ライターなら「月5本納品で5万円」みたいな感じですね。
一方、委任/準委任契約は「成果物の設定がない」契約です。その会社の業務を決められた時間、時給や日給で働く感じです。とはいえ、Workship MAGAZINE編集部では、社員全員に月ごとの記事本数の目標があるので、週3会社員のような勤務形態のわたしにも、勤務時間に応じた目標があります。目標がないと永遠にサボり続けてしまいますからね……。
なお、委任契約と準委任契約の違いは民法656条で規定されていて、法律行為を委託する契約は委任契約、それ以外は準委任契約となります。ライターや編集者は法律行為ではないので、準委任契約になるわけですね。
フリーライターは、基本的に請負契約です。
業務委託の請負契約のように「月に〇本」という条件の場合もありますが、わたしの場合は「1記事いくら」の契約で1記事ごとに締め切りがあることが多いです。1記事に対して「1文字いくら」の契約が結ばれるケースもよく聞きますね。
わたしは業務委託で編集部に入っていますが、「週3日(24時間)勤務」のルールさえ守っていれば他は自由なので、個人の仕事も変わらず受けています。
根がぐうたらなので、会社の仕事を終えた後に個人の仕事をがんばる……とはなかなかいかないのですが、残りの4日で締め切りに間に合わせるようと奮闘しています。
あくまで私の場合ですが、会社員との違いは、勤務時間の自由度が高いことかなと感じています。契約で「週3日(24時間)勤務」と決まっていると先述しましたが、逆に言うと契約さえ守れば対等なやりとりができます。
もちろん編集部には編集長がいて、その下で働くわけですから、「対等だから」と指揮系統を勘違いしてはいけないのですが……。週24時間勤務のルールさえ守っていれば、突発的な予定変更にも柔軟に対応してもらえます。ありがてぇ~!
ライターは1週間前に次の予定が決まる……なんてことも多いのですが、取材や社外との打ち合わせさえ入っていなければ、「来週勤務日に取材が決まったので、3時間で帰ります。代わりに翌日5時間出ますね」なんてお願いもできちゃいます。
Workship MAGAZINE編集部は基本的には10時~19時(休憩1時間を含む)が勤務時間なのですが、たとえば「めずらしく早起きをしたので、9時~18時で出ます」なんてことも許してもらえます。遅刻はあんまりよくないですが、最悪ちゃんと8時間働けば許してもらえそうです(編集部注:遅刻はやめてください)。
業務委託には基本的に「残業」という概念もありませんし、業務時間外にある「社員研修」などにも参加義務はありません。「研修は任意で参加してもいいですよ」と言われているので、興味のあるものには積極的に参加するようにしていますけども。
そんな感じで働いているので、現在不満はほとんどありません。あ、忖度じゃないですよ。
何より大きいのは、収入に対するプレッシャーが減ること。業務委託で働いていると、決まった時間に対しての報酬が入ってくるので、収入の計算が立ちます。
一方、フリーライターは「1本いくら」で記事を書かなければいけません。前月の時点である程度見通しが立ってないと不安になりますし、月の半ばになっても書いてる記事本数が少ないと、「これじゃ生活できない!」ってどんどん焦ってくるんですよね……。せっかく企画を立てても、ボツになったり、先方が取材NGだったりすると1円も入ってきません。そういう時は絶望感に包まれて、どうしようもなくなっていました。
その焦りや不安がほぼ解消された、というのは思った以上に大きいです。生活マジ大事!
と、ここまでメリットばかりを書いてきましたが、デメリットもあります。
業務委託には自由がありますが、その反面責任も伴います。編集部内の目標は毎月達成したいし、自分が書いたり、編集を担当した記事が伸びてほしい~!という気持ちは以前にも増して強くなりました。自分の担当した記事が読まれないと、やっぱり会社に申し訳ない気持ちになってしまいますから。
また、「収入の大半を特定企業に依存する」状態はちょっと不安もあります。決して安くはない報酬をいただいている以上、コストに見合わないと判断されたら契約を解消されてしまいます。
これまでは、もし1社で仕事を打ち切られてもいいように、常時記事が書ける媒体を10以上キープしていたのですが、月の4割に相当する時間を特定の企業に使うとなると、そうはいきません。
たとえ十分な仕事ができていたとしても、新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、会社の業績が悪化すれば、契約の打ち切りはあり得ることです。会社に守ってもらえる正社員ではないので、そういう意味での安心はありません。
また、毎月請求書を出したり、年度末には確定申告をしなければならなかったりなど、面倒な事務手続きが必要なのはフリーライターと変わりありません。あくまでも「大口の継続案件がひとつできたぞ」というような感覚です。
色々書きましたが、個人的にはめちゃめちゃ満足しています。
これまで2年ほど、フリーライターとして活動してきました。インハウスライター/編集部の一員として、媒体に深く関わるのも、編集者として担当を持つのも初めてですし、35歳にして新たな挑戦をさせてもらえるのはありがたいです。
自分がライターとして感じた「これは嬉しかったな」「ここは困ったな」という部分を参考に、自分なりの編集者像を作ることも、自分の記事のPV数を見ながら、何がよかったのか、わるかったのかを考えることも、チームで分担して作業に取り組むのも、フリーライター1本で働いている時にはなかった面白さです。
もちろん、業務内容は会社にもよると思うのですが、業務委託という働き方と出会わなければ、このような仕事をすることもなかったわけで、一歩踏み出してみてよかったなぁと思います。
また、フリーライターは生活のリズムが狂いがちです。わたしが夜型というのもあるのかもしれませんが、「納期さえ間に合えばいい」という生活ではダラダラ仕事をしてしまうし、締め切り前は無理をしちゃうし……。家族がいればまだしも、ひとりでしっかりしたリズムを作るのはなかなかむずかしいんですよね。
フリーランス、生活リズム狂いすぎ問題。
Workship MAGAZINE
そのため、いきなり週5で8時間勤務の正社員はちょっと厳しいな、というのも正直なところ。週3日で時間も融通の利く業務委託という働き方が、今はいいのかなぁと感じています。社会復帰の一環としての、業務委託契約。
と、いうわけで業務委託を始めて4ヶ月目の少年Bがお届けしました。業務委託という働き方、個人的にはけっこういいのでは?と思っているので、仕事の方向性について悩んでいるフリーライターさんはぜひ考えてみてくださいね!
(執筆:少年B 編集:齊藤颯人)