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どーすんだろ、ソフトバンク
孫さんが手ぐすね引いて待ちわびた、ナンバーポータビリティ解禁日。とにかくこの日に間に合わせたくて色んな力技を駆使して(多分悲願であろう)携帯電話事業に参入しました。VodaPhoneをLBOで買収しましたが、明らかに高値でつかまされた感が否めない。買収された英VodaPhoneはきっと買収されたぜイヤッホウ!パーティでも開いていたに違いあるまい。1兆7000億円で買収に踏み切らせたのはMNP解禁日に間に合わせるためだったように思う。
このエントリで言いたいことは、
携帯事業参入のインパクトはYBB!の100分の1ぐらいしかく、MNPがもつユーザーへの影響力は非常に弱いので、このままだと携帯事業は縮小する一方じゃないか。
という警鐘です。
YBB!はなぜ成功したか
まさか2匹目のどじょうを狙っているんじゃないだろうな。明らかに質が違うぞ、YBBの成功と今回の携帯参入は。
YBBが大成功したのは、正に絶妙なタイミングで「ブロードバンド」というコンセプトを切り開いたからだと思う。正にこれこそ「予想外」だった。
ADSLに目をつけていて、既にキャリアとしてスタートした企業はYBBが始まるもっと前にあった。東京めたりっくという会社がそれ。過度な設備投資が引き金となって経営危機となり*1、ソフトバンクに拾われる形で買収された。
東京めたりっくはISDNが浸透し始めた頃に「ISDNの10倍早い」という触れ込みでビジネスをスタートした。これが一番のミスだった。彼らの敗因を挙げるならば「ISDNが浸透し始めた頃」にADSLを高値で売ったことだと思う。
その当時のインターネット回線のキーワードは「常時接続」だった。ダイヤルアップ⇒常時接続⇒ブロードバンドの流れを辿るのは業界関係者なら見えていたに違いない。だが、一歩先どころか二歩先を行ってしまったのが失敗だと思う。
「常時接続」が浸透し始めた頃はブロードバンドのコンテンツが非常に乏しかった。インフラを高速化しない理由が大多数のユーザーにはなかったのではないか?コンテンツが出揃い始めて、常時接続が当たり前の環境になった頃にISDNよりも安く圧倒的に通信環境が向上するサービスが登場した。それがYBB!だった。「コレだ!」と思わせる素晴らしい仕掛けだった。
携帯事業とYBBは全然違う
YBB!デビュー程のインパクトやサプライズ、フロンティア感が今回のMNPに対応した「予想外」シリーズには全く感じられない。とにかく破壊的な価格を提示すればいいんじゃないの的なワンパターン感が否めない。その値段も結局裏でごにょごにょして割高になる恐れもあるようだしなぁ。
MNPの解禁日に半年ちょっとの短期間でツギハギで取り繕って間に合わせることが、ソフトバンクの携帯事業の成長の「必須要因」であったとはどうしても思えない。MNPが落ち着くまではVodaPhoneブランドで良かったんじゃないだろうか。
どうしても、MNPにブレイクスルーを感じることができない。MNPになったから携帯を変える、というか携帯を変えない理由がなくなるという読みが間違っていることを、今回のMNP騒動は教えてくれたのではないだろうか。
AUが6日で8万人ゲットしたという報道がある*2が、毎週毎週8万人がMNPナイスって感じでキャリアを変えることなどあり得るのだろうか?良くて10万人をピークに、下降線を辿っていくと思う。8000万人という携帯電話市場の10万人を奪い合っても、パーセントに直すと「0.00125%」だ。でも、APRUが8000円だとすると8万人だと6億4000万円。80万人奪うと640億になるのか。金額にするとインパクトが違うし、パイが小さいとわかっていても同業他社が喧嘩売ってる以上見過ごすわけにもいかないよなぁ…。
さて、ソフトバンクはYBB!までとは行かなくても、今後の成長のためにはブレイクスルーが必須。端末か、プランか、Yahooとのコラボか。どういう視点で勝負してくるかは今後も要チェックだろう。