映像も音楽もとても美しいのですが、「主人公が刺客なのにバレバレで何度もターゲットの家の内外をウロウロする」という点が気になってしまいイマイチ乗れませんでした。変な金色の仮面をつけて佇んでいるときもあったし、上品で完璧な映像の中に突然ワイヤーアクションが出てきてびっくりさせられたり。刺客なのか、目立ちたいのか( ´△`)ターゲットの権力者にここまでバレていて放置されているのはなぜなんだ(; ̄Д ̄)?
また、私の読解力の問題なのかもしれませんが、登場する人物の顔が似ている上に光を暗く抑えているので「今、誰が何の話をしているのか」というのは油断するとすぐ分からなくなります。登場人物は刺客の隠娘以外はけっこう説明的によくしゃべるのですが、その内容が分かりづらく、後半になってくるともう理解するのを放棄してしまいました。
ゴメン、私の頭が悪かった。
情景描写を楽しむ美術大作
とまあ文句を書いてはみたものの、正直ここまで美しい映画は見たことがありません。隠娘の母が紡ぐ琴のような楽器の現代的な音がたまらなかった!
「ストーリーを情景描写に昇華させた」ということが分かりにくさにつながり、また美にもつながっているので、「ストーリーが微妙なので面白くなかった」というのは矛盾してしまう作品なんですよね。この映画は「隠娘は元許婚を殺せなかった。」という事実を色んな自然描写…色、光、風で描いている、一枚の絵巻物みたいなものなんだと思います。
エンタメ作品としては人にお勧めできませんが、家でずっと流しっぱなしにしておきたいような映像でした。