JSConf.jp 2024 開催レポート

11月23日にJSConf.jp 2024が開催されました。この記事では、開催者の古川がその模様をレポートします。

JSConf.jpは5回目の開催になりました。個人的にはここまで細々と長く続けてこれたことが良かったと思っています。ものすごく大きなカンファレンスにしようとか、たくさん人を呼ぼうとかあまり思っておらず、続けられる範囲の中で続けていけるといいなと思っています。とはいえ、発表の質は下げずに届けられると良いなと思っています。

140件以上のCfP⁠350名以上の参加応募

今回は非常に多くのCfPを頂きました。CfPから実際の発表に至るまで、スタッフの投票で決めており、過半数の投票があれば無条件で採用します。過半数を下回ったものに関しては開催者の古川が日本語と英語話者のバランスや過去登壇回数、発表ジャンルなどを見てバランスを取って決めました。

また、350名以上の参加応募がありましたが、実際の会場には200名程度しか入れることはできず、心苦しい思いをしました。最初に150名で開けて、様子を見て50名追加しようとしてたのですが、すぐに埋まってしまい、その後の50名もwaiting listの中から選出されるようになっていました。最終的には当日キャンセルも見込んで220名までチケットを登録できるようにしましたが、それでも入れなかった人が一定数以上でてしまいました。

オープニングからLightning Talk

そんなJSConf.jpでしたが、今年も無事開催できました。オープニングは僕がいつも通りに行動規範と会場説明などをしました。参加者にはTシャツとエコバッグを配っていたので、それを受け取りながら耳を傾けてくれました。

https://x.com/satoshoco/status/1860152549673959877より

今年は例年と趣向が違って最初からいきなりLightning Talk(以下、LT)をもってきました。毎回LTは最後のほうで発表していたのですが、今年は面白そうなLTが多く、選びきれなかったのが原因です。

おかげで最初から大盛り上がりでした。全部見た私の中で一番面白かったLTはJavaScriptを支えるエコシステム(漫才)です。漫才形式でコマンドラインツール、バンドラー、ランタイムと紹介していきます。漫才コンビのミルクボーイさんリスペクトの発表スタイルで、⁠おかんの好きなバンドラーがあってな』というフレーズが最高でした。

発表関連リンク:スライドYouTube

他にも面白い発表はいくつかありました。次点で面白かったのはあなたの知らないFunction.prototype.toStringの世界です。役に立ちそうで役に立たない話が最高でした。僕が好きな話は「誰得なのか?」という話が多いのですが、本発表もまさにそういう話でしたね。⁠荒業、荒業すぎてminifyで壊れる』というフレーズが好きでした。

発表関連リンク:YouTube

もちろん他にも面白い発表はたくさんありました。どれも面白かったのですが、個人的に面白かったものをピックアップしました。

幸せの形はどれも似ているが⁠不幸なプロジェクトはそれぞれの形がある by mizchi

ここからはセッションを取り上げます。面白かったセッションはいくつもありましたが、圧倒的情報の量と話の面白さ、独特のワードセンスも相まってmizchiさんの発表幸せの形はどれも似ているが、不幸なプロジェクトはそれぞれの形があるをまず選びました。

発表関連リンク:スライドYouTube

幸せなプロジェクトとはまだ何も起きていないプロジェクトであり、不幸なプロジェクトとは何らかの形で自分の予算が合わなくなり、身動きが取れなくなった状態という話でした。そこから実際にDevToolsを使ってボトルネックを見つけたり、どう見るかを解説していきました。個人的には「ソースコードに書いてある意味は見るな(それは錯覚になる⁠⁠」という話が良かったです。

リアルアセットとWebのシームレスな活用のためのパスキー by maxmellon (Kento TSUJI)

次に面白かったのはmaxmellonさんの発表リアルアセットとWebのシームレスな活用のためのパスキーでした。東急の乗り物に乗る際、ユーザーがログインに困って電車に乗り遅れるというシチュエーションから話が始まります。その人を救うためにどうするかというテーマで進行します。この「ツカミ」がすごく良かったです。課題が明確になり、どうやって解決するのかで一本のテーマとして成立させていました。

発表関連リンク:YouTube

最後にきれいな解決策だけでは終わらず、泥臭い改善の積み重ねがこういったユーザーの課題を解決する道であるという締めくくりを飾っており、非常にきれいな発表でした。

クロージング 〜JSConf.jpの今後について

最後に僕からJSConf.jpというカンファレンスの意義についてクロージングトークで話して締めました。その様子はYouTubeなどでは残っていないため、ここにメッセージとして話したことを残しておきます。


JavaScriptは非常に不完全な言語だと思っています。

  • 歴史的な経緯でよくわからない仕様があります。
  • テキストベースで毎回読み込むので時間がかかります。
  • 型がなくて、呼べない関数を呼んだ結果怒られます。
  • ブラウザの中だけでしか使えません。

でもそういう不完全な言語を周りのエコシステムがカバーしてきた実績があります。TC39はずっと仕様をアップデートし続けています。TypeScriptは型と開発効率をもたらしました。バンドラーがJavaScriptをまとめて圧縮することで読み込み時間を減らしました。Node.jsが、Denoが、Bunがサーバサイドでも動き、最近ではエッジサイドでも動作するJavaScriptが増えました。これらはエコシステムの力であると思います。

そしてそのエコシステムの力はコミュニティが活性しているからこそ起きることです。JSConf.jpがそういったコミュニティを活性するための一助になりたいと思っています。今後もやり続けることで貢献していけると幸いです。


こういった話で終わりました。来年ももっとたくさんの話ができる場所を提供し続けたいと思っています。

JSConf.jp オーガナイザー 古川陽介

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