前編『清太の破滅は「自己責任」だったのか…『火垂るの墓』で高畑勲監督が本当に伝えたかったこと』に引き続き、『火垂るの墓』に詳しい3人の鼎談をお届けする。
原作者・野坂昭如の案内でロケハンへ
村瀬 戦時下の風景をどう描写するか、という課題もありました。高畑監督を除けば、主要なスタッフのほとんどが戦争を経験していない世代でした。そこで原作者の野坂昭如さんの案内で、神戸でロケハンをしました。
山本 私も美術について野坂さんに相談したことがあります。空襲を受けた後の街の色合いについて、なかなかイメージがつかめなかった。そこで野坂さんに聞いたのですが「焼け跡の色だよ」と一言。野坂さんは一筋縄ではいかない人ですから、自分で考えろということだったのでしょうね……。
山本二三/1953年生まれ。本作のほか『未来少年コナン』『もののけ姫』『時をかける少女』などで美術監督を務め、現在は背景美術会社・絵映舎代表
村瀬拓男/1962年生まれ。新潮社で映像や電子出版などの新規事業に関わり'05年に退社。その後は弁護士として活動している
叶精二/1965年生まれ。映像研究家。「高畑勲展」の企画アドバイザーと図録執筆を担当。高畑勲・宮崎駿作品研究所代表