いま「中国資本」によって、京都の伝統のある神社仏閣の至近の土地が次々と買い占められている。彼らが狙うエリアは前編記事『安くなった日本の土地…いま、中国人富裕層が「京都の不動産」を続々と買い占め始めた』でお伝えしたとおりだ。
セカンドハウスとして買うケースもあるが、彼らの多数はホテルや旅館などの宿泊施設保有を目的に買い占めに動いているという。
宿は中国資本ばかり
それは京都市が公開している『旅館業法に基づく許可施設及び施設外玄関帳場一覧』を見れば明らか。「華」、「紅葉」、「柳」、「禅」……と施設名称に使われるのは何とも雅な和の雰囲気を漂わせる漢字や熟語たち。
しかし、その施設の所有者を示す「申請者氏名」を確認するとどうだろうか。会社名こそ日本風だが、〈代表取締役劉〇〉〈代表社員蔡〇〇〉といった形で中国人らしき名前がずらりと並んでいる。
たった一社で京都市内に十数ヵ所の不動産を抱える所も少なくない。週刊現代はその中の一つ、中国の投資会社「蛮子投資集団」に注目した。京都の要所とも言うべき観光地をしっかりと押さえているからだ。
まずは金閣寺(鹿苑寺)。コロナ禍前には他の寺では見られない金色に輝く外観、そして拝観券として貰える「お札」目当てに中国人観光客でごった返したという。

そんな金閣寺から鞍馬口通り沿いに歩いて5分もすると紫野南花ノ坊町に着く。この中心部の一角に蛮子投資集団は不動産を有している。
施設の名前はそのまま「蛮子民宿金閣寺」だ。隣接する町、衣笠は閑静な高級住宅街で知られている。そこより割安で手に入るとあって、中国人にも人気のエリアだという。
しかし当の京都人はといえば、ほとほと困り顔だ。衣笠に20年以上暮らす主婦はこう漏らした。