30代独身、5年彼氏無し…自分への「世間の目が気になりすぎる」女性の生きづらい人生
胸がえぐられる…
孤独を楽しめるのが一人前の大人
なんてそれがずっと続くとは想定していないから言えること――
「何者にもなれない自分」を描き、『マッチングアプリで会った人だろ!』『普通の人でいいのに』などでSNSを中心に賛否両論の“バズ”を巻き起こしてきた漫画家の冬野梅子さん。その最新作となる『まじめな会社員』もまた、「自分のことのようでしんどい」「これは地獄」「読むと胸がえぐられる…」と、即刻話題を集めている。
主人公の菊池あみ子は、30歳の契約社員。漫然とマッチングアプリをやって早一年だが、彼氏はできていない。実のところ彼氏は5年おらず、もう欲しいのかもわからない…と思いながらも、一日で2人との“出会い”をこなすこともある。
「彼氏が5年いません、なーんて言ったら、世間は阿鼻叫喚。だから人前では絶対言わない」と語るあみ子。曰く、万が一バレたら即刻裁判にかけられる――。
「つまりあなたには25歳で別れて以来、交際相手がいないと? 誰とも? お聞きになりましたか皆さん! 被告はこの5年間誰とも付き合っていないのです」(※あみ子の妄想)
漠然とした不安はあるけど
「結婚は? 子供は? 孫の顔見せてあげたくない?」「老後は?」「今の仕事で生きていける?」「5年後の自分イメージできる?」想定される詰問はいくつも思いつくが、「…分かりません。何も考えていません」という答えが本音だ。
漠然とした不安はあるけど、こんな感じは結構楽しいと言うあみ子。しかし一方で、世間の厳しい目を、勝手に意識せずにはいられない。マッチングアプリに出会いを求めるが、男性と話していても「私のこと知ってほしいって気持ちにならないんだよなあ」と独り言つ。
そこには、「自分のゴールをまだ決めたくない」「何者でもない自分を認めたくない」けれども、「そんな自分がどう思われているか気になって仕方がない」という自意識が滲み出ているようにも思える。
本記事では、作者・冬野梅子さんに作品の構想を聞いた。