2010.07.26

面白い×便利を実現するARの先駆け、Layarの面白さとは? 

 この連載の第一回目(「Twitterの次に来るサービスは何だろう?」)で私は下記のように述べました。

 ウェブの次の大きなトレンドは、デジタルとリアルを繋げるサービスだ。

 この瞬間もデジタルとリアルを繋げる試みが進展する中で、ARサービスは、その最前線を走っています。AR(Augmented Reality)は日本語で拡張現実と呼ばれ、その技術は『デジタル情報を現実世界に付加提示する』ことを可能にしました。

 一時期セカンドライフというサービスが全世界的に流行っていましたが、あちらはバーチャルリアリティー(コンピューターの世界に人間が入り込む)というジャンルで、拡張現実とは対を成す概念です。

 ではARと何か。その技術の醍醐味は『現実世界の見え方を変える』ことにあります。本日は、その面白さを世界にアピールする日本発のセカイカメラと、オランダ発のLayarというサービスをご紹介することから、ARサービスの可能性を探りたいと思います。

 一見複雑で技術的に聞こえてしまう"拡張現実"の面白さをシンプルに伝え始めてくれたのが、セカイカメラというスマートフォンアプリケーションです。

セカイカメラのスクリーンショット

 下を向きながら携帯電話を操作するのではなく、スマートフォンを目の前にかざし、現実空間にテキスト、写真、音声等をポストイットのようにエアタグ(空中に浮かぶタグ情報)としてその場に貼付けていく。

 エアタグはiPhoneの位置情報とそれを向けた方向から認識されます。

 ユーザーはカメラ画面を通して、以前その場に貼られたエアタグと出会い、その瞬間新しい情報を直観的に発見していきます。

 例えば、セカイカメラを起動してスターバックスに入ると、自分がその瞬間見ている空間上に、他ユーザーのおすすめメニューが表示されるのです。

 ウェブを通した情報入手は従来から可能でしたが、セカイカメラは現実世界を『見る』という行為自体から情報が得られる仕組みを創りました。IT系情報サイトTechCrunch主催のTech Crunch 50(*1)というスタートアップカンファレンスにて2008年、セカイカメラは衝撃的なデビューを果たし、国内での認知度は、日々高まっています。

 しかし、変化の激しいAR市場では海外での仕掛けもスピードアップしています。

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